| 注、以下の文は00年12月に書かれ翌年載ったものです。 「ユニクロ」(社名ファーストリテイリング)の快進撃が続いている。1999年秋冬は、1900円フリースを850万枚も売り世間をあっと言わせたが、今年も快調だ。第1四半期(9〜11月)の売り上げは強気の計画のさらに上をいき、前年同期2.65倍に上った。 マスコミも破格の扱いで、ビジネス誌紙だけでなく、このところ一般誌紙やテレビにまで取り上げられている。 以前は「ユニクロ、何それ?」と言っていた私の女房も今では大のフアンで、家族の着る服は下着まで全部ユニクロになってしまうのではないかと私を恐れさせている。 業績もマスコミの扱いもユニクロがダントツであるが、ほかにも業績の良い低 |
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価格チェーンは多い。ダイソーやマツモトキヨシ、しまむら、良品計画などの評価が高く、ここ数年は代わりばんこにマスコミに登場している。 「低価格に振れた市場価格はさらに下がる」「これからも市場の勝者は『安さ』を武器にしたところである」と言っている人が多いが、本当にそうだろうか。それを解くカギは8年前にある。 「アリ」から「キリギリス」の時代へ 92年から93年にかけて、今のユニクロと同じようにマスコミの寵児となっていた低価格チェーンがあった。「青山商事」である。 当時の記事を読み返してみると、今のユニクロと驚くほどよく似ている。 それ以前から業界誌紙では注目さ |
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れていた企業であったが、東証一部上場を果たし、ダウンタウンに進出してからは、その突出した業績もあずかって、自分たちとは各が違うと無視していた百貨店などの旧勢力を震え上がらせた。 マスコミの受けも良く、経済・ビジネス誌紙からテレビにまで毎日どこかで取り上げられていて、今のユニクロ以上のフィーバーぶりであった。 当時のマスコミが説いていた青山商事成功の秘密はこうである。 青山商事は、早期大ロット発注、全量買い取りにより、高品質と低価格の両立を実現した。売る側がリスクを負うことで、ファッション産業に製販を貫徹するシステムを築いた。 また、スーツはワーキングウエアであると割り切ることで、企画のコストとリスクを軽減した。これも、カジュアルウエアはパーツであると割り切っている今のユ |
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| −流行予測 2段目− | |||||||||||
| ニクロに似ている。 当時は、バブル崩壊直後で今と同じように低価格志向が広がっていた。「価格破壊」と呼ばれていた時期である。青山商事以外にもナイスクラップやポロクラブなど、価格訴求型ビジネスが急成長していた。 過去にさかのぼってみると、消費者が低価格志向になる時期は、一定の間隔で機械的に繰り返し来ていることが分かる。1周期○○のサイクルで、消費者の価格感度が増減している。 消費者の価格感度が増した時期を、前回は「価格破壊」、前々回は「良品廉価」または「高感度低価格」と言っていた。私はこの流行を「アリ」と言っている。イソップ物語の「アリとキリギリス」のアリである。 人々が物事を長期的、計画的に見るようにななる時期が○○の周期で繰り返し来る。すると、将来のために今を我慢しようと言う考えが強くな |
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る。現金志向が強くなるので、価格に敏感な人が増える。価格破壊も流行なのだ。 ユニクロの活躍はしばらくお休み 実はユニクロもその当時の急成長組の一つだ。92年8月期の売上高は、前年同期比ほぼ2倍の143億円である。 だが、マスコミが注目したのは青山商事のほうだった。ユニクロの規模がまだ小さかったこともあるが、スーツが売れなくなっていたタイミングだったので、エレガンス分野での青山商事の1人勝ちが目立ったというのが大きい。 「エレガンス志向」にも、「アリ」のようなサイクルがある。約△△年周期で機械的に循環している。 92年は、80年中ごろのメンズDC(デザイナー&キャラクター)のヒット |
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仮需さまは神様です |
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で始まり、シャネル、アルマーニ、ジュンコ・シマダへと続いたエレガンスの流行が終わった時期である。当時、百貨店では、それまで栄華を誇っていて「ポロ・ラルフローレン」「Jプレス」「ブルック・ブラザーズ」の御三家が苦戦に転じ、ヤング向けDCブランドのメッカ「丸井」が減収大幅減益に苦しんでいた。 だから、エレガンス商品が値崩れしていく流れにうまく乗った青山商事の突出ぶりが目立ったのである。 だがそれは、エレガンスの人気が急落しつつあるがまだ完全には終わったいないという短い間でだけ通用する成功パターンである。事実、青山商事もこの直後に苦戦組の仲間入りをしている。 92年ごろにエレガンスに代わって急成長していたのはカジュアルである。カジュアルの流行は約7年続き、ヒップホップ、平成ブランド、日本型SPA(製造小売業)、セクシーカジュア |
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| −流行予測 3段目− | ||||||||
| ルと次々にヒーローを生んだ。 だが今は、そのカジュアル分野の値崩れが激しい。無地のTシャツなどは1000円以下が当たり前になってしまった。 カジュアルの人気が急落しつつあるがまだ完全には終わっていないというタイミングに、今回うまくハマったのがユニクロだった。ユニクロ成功の理由としては、企業努力が大であることはもちろんであるが、運の良さもかなり働いている。 「アリ」の流行にも、「カジュアル」の流行にもサイクルがある。つまり終わりがある。○○と△△という周期から見て、21世紀の始まりの年は、どちらも終わっているタイミングである。だから、ユニクロの躍進もしばらくはお休みとなる。 カジュアルは逆風へ でも 2005年に大復活するゾ これからの数年間は、「エレガンス」 |
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と、「アリ」とは逆の「キリギリス」が市場を支配する。 こういう時期を直近で探すと85年から88年にかけてになる。ジュンコ・シマダやJ&R、ピンキー&ダイアン、ティファニー、ルイ・ヴィトンなどが人気になった。ボディコンスーツが象徴するヤングエレガンスの金ピカ時代だ。 二つの流行が当時と一致しているというだけだから、全く同じことが起こるというわけではないが、当時とかなり似たところがあるに違いない。 ファッションリーダーの年齢が高くなり、スーツなど重衣料に強いところに春が来る。欧米のコレクションの影響を強く受けるようになり、パリコレ参りが復活する。カジュアルウエアは価格訴求でも売れなくなり、「キレカジ」だけが生き残る。 すでに、バーニーズジャパンの高価格スーツが売れているという。「キリギリス」と「エレガンス」の流行はもう始まっているのだ。それがマス市場に広がってくるのがこれからである。 |
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この流れが大きく変化するのが2005年ごろである。この辺りから人々の頭は「キリギリス」から「アリ」に変わる。当然、ユニクロの業績が急上昇してくるだろう。 ユニクロの人気と「アリ」の相関はいつまでも続くわけではない。以前は「アリ」との相関が強く、それに合わせて業績が変動していた大手量販店が、今回の低価格品ブームではカヤの外だったことからも想像はつくことだ。だがユニクロは、社長も企業もまだ若い。次の「アリ」の時期にも活躍が期待できそうである。そうはいっても、マスコミ人気の復活はないかもしれない。 2005年ごろはエレガンス商品が値崩れするタイミングである。だから、エレガンス商品を売る企業の中に、それを安く売ることで独り勝ちするところが出る可能性が高い。その企業が、この時期のヒーローになる。 |
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| −流行予測 4段目− | ||||||||
| 2010年に国産デザイナーがブームになる 青山商事が人気を誇った92年ごろは、古着ショップや路面の個店、インポートセレクトショップの興隆期であった。消費者が他人と同じものを着ることを嫌がり、デザインに妥協できなかった時期である。こういう流行を私は「対立視」と呼んでいる。□□のサイクルを持っている。 当時は「対立視」の流行期であるから、本当は、青山商事が唱えていて大ロット早期計画生産の「重在庫主義」や、企画軽視のスーツ仕事着論は時流から外れていた。ただそのマイナスを、低価格のプラスが覆い隠していたのだ。 事情は今回のユニクロブームでも同じである。今もやはり商品寿命が短くなり、売れ筋がバラバラにばらけて小売店やアパレル問屋を悩ませている。大手下着メーカーのキャンペーン商品が思うほど売れていないのを見ても分かるよう |
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に大量生産大量販売は時流から外れている。ユニクロがうたう「良品廉価」のプラスがそのマイナスを覆い隠している。 だが、次の低価格志向が始まる2004〜5年ごろは、他人と同じものを欲しがり、同じデザインを何回も買う、大量販売に向いた「同一視」の時期である。だから、この時期のヒーローは、前回の青山商事、今回のユニクロ以上の活躍をする可能性が高い。 低価格エレガンスの後はカジュアル全盛の時期が来るが、「アリ」の流行が続いているので、平成ブランドのようなチープカジュアルとなる。バブル崩壊後のように、ローティーンやハイティーンがトレンドリーダーに復帰するだろう。 2008年ごろになると「対立視」が復活するため、小ロットを強調する手段として、大人から見ると汚れているとしか見えないデザインがヒットする。 その後、「キリギリス」が復活しデザイナーブランドが良くなるが、カジュアル革命が継続しているので日本のデザイ |
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ンが欧米より先を行ってしまう。それで国産デザイナーブランドのブームが着て、それを欧米のデザイナーがコピーするようになる。 (モード工学研究所所長) ファッション販売01年3月号より04年4月25日転載 注意:現在の仮説では、08年は対立視ではありません。逆の同一視です。対立視になるのはもう少し後です。(06年3月15日加筆) ![]() |
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