低価格指向は続かない。 |
格破壊」と呼び、前々回は「高感度低価格」と言った。言葉は違っていても中身はあまり今と変わらない。 これは、本誌98年3月号の「新型のディスカウントストアが活躍する」や、98年11月号の「チープシックブランドのブームが来る」でも書いたことだが、人々が長期的に物を見て計画性が強くなるため価格に敏感になる期間が4年、短期指向でセツナ的になるため価格にに対して関心が薄れる期間が4年の約8年サイクルで消費者の価格感度は増減している。この循環を私は『アリ⇔キリギリス』と呼んでいる。 価格感度が高くなる『アリ』の流行は、「節約生活のススメ」(宮崎えり子著)がベストセラーになった98年の末ごろが今回のピークである。 |
そして、サイクルから見ると今年の消費者は、価格感度が高いアリのピークから、価格感度が
低くなる『キリギリス』のピークへ向かう途中にいる。これからの『低価格志向』はだんだん実績の伴わない仮需バブルになっていく。 この仮需バブルは、前回の低価格志向のときも発生している。マスコミが「価格破壊」と騒ぎ、流行語にまでなったのが93年から94年にかけてであるが、本当の『価格破壊』はそれよりずっと前に起こっていた。 スタートは89年前後である。高いものから売れていく高額消費ブームが続いていたが、その流れが変わってきたのがこのころだ。 象徴的なのが、ヤングの特選インポート離れで、より高価格なものから伸びが落ちてきた。そのインポート離れをくいと |
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-3段目− | |||||
(01年9月11日、追記) 今日(01年9月11日)の繊研新聞に、ファーストリテイリング「ユニクロ」の既存店が前年割れを起こしたとの記事があった。8月既存店売上高が2年11ヶ月ぶりに、1.9%減になったとのことだ。 [アリ⇔キリギリス]の流行のように、直接目に見えなくて、しかもゆっくりした流行は、それが流行であるとの認識がしづらい。ハヤリモノであると考えないから、振り子が逆に振れるときが来るという発想がなかなか持てない。 ユニクロが良いときはそれがいつまでも続くと考えがちだし、いったん悪くなるとどんどん悪くなると考えがちだ。だが、ハヤリモノはスタリモノであるが、スタリモノは時間がたてばハヤリモノに返りざく。 いったんかげりが出た小売店が、時間がたっても回復しない場合があるのは、反省のし過ぎが原因であることが多い。 |
自店の特徴が時流から外れている場合、それを反省して微調整するのは当然やるべきことである。だが、もとに戻れなくなるほど変えてしまうのは反省のし過ぎである。それでは、向風が追風になったとき、その時流の風に乗れなくなってしまう。 今は、消費者の価格感度がかなり落ちているが、しばらくすれば必ず上がってくる。これは、人間の本能の変化であるから必然である。 これから、日本の景気がどうなるかは私にもわからない。たとえ予測をしても的中率は他の人と五十歩百歩だろう。だが、消費者の価格感度がこれから上がってくることは断言できる。 ユニクロが反省のしすぎをしなければ、今までの成長軌道に再びのるのはそれほど先ではない。 もっとも、今回のような大爆発を再び起こそうというのであれば、98年のフリー |
スのような大当たりが必要だが。 (2001年9月11日更新) |
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01/10/15