流行予測を新聞記事で 1998/05～02/03トップページへもどる

ＤＣブランド、彼氏を魅了 消費不況でも売り上げ好調 シックさ重視 　　モード系の売り上げが伸び始めたのは昨年の秋冬物からだが、今年の春夏物が店頭に並び始めてその傾向が顕著になっている。 　　ワールドがデザイナーの菊池武夫氏と組んで開発した「タケオキクチ」ブランドは、９７年秋冬物の売り上げが前年同期に比べ既存店だけで４５％伸びた。４月も５５％増。ダークカラーで細身の三つボタンスーツ（６万３千円）、シンプルな半そでシャツ（４千８百円から）などが売れ筋商品。９６年秋から、トレンド色の強い商品や単価の低い商品を充実する商品政策に転換した結果、中心顧客が２５歳以上から２０代前半に変わり売上高が伸び始めた、という。 　　カルバン・クライン　ジャパン（東京･港）の			「ＣＫカルバン・クライン」も３月の前年同月比伸び率が３０％。ビジネス用ではなくファッションとして着るスーツを投入。黒いスーツとシャツに、ブルーのネクタイを結ぶといった着こなしの提案が好評だ。スーツは８万－１０万円するが「大学生の定番アイテムになった」 　　　〔・・・・・・･〕 　　若い女性の流行が、パンツスタイルから女性らしさを重視したフェミニン路線に変わり「ボーイフレンドにシックな装いを求め始めた」（アパレル関係者）からだ。これまでカジュアル一辺倒だった、１０代後半から２０代前半の男性のファッション意識も再び高まっており､「本格的な装い」を目指し始めたようだ。   （日経新聞1998/05/12付より抜粋）   ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇			読紙感想文 モード工学の森田洋一です。 左の文は98年5月12日付の日本経済新聞からの抜粋です。私がこの文を書いているのが2014年の８月ですから16年前の記事になります。   20歳前後の男性が､仕事用ではなくファッションとしてスーツを着ています。コテコテのエレガンスですね。それが一般経済紙の記事にまでなったのですから、コテコテエレガンスがスタートしたのはこれよりだいぶ前だと推定できます。現にこの時点ですでに「定番アイテム」になっているのですから古い。   若い男性が「カジュアル一辺倒だった」のは１９９１年前後です。女性の場合は、これよりもう少しタイミングが早くなります。その後２年刻みでエレガンスシフトが

３回起こり９７年前後にトップエレガンスになりました。トップエレガンスというのは、ようするにコテコテエレガンスで、エレガンスの流行がピークになっている状態のことなのですが、ピークというととんがっているみたいなので、最近はトップエレガンスと言っています。トップエレガンスの時期が97年前後だと言いましたが、それは魅力のタイミングで判定した場合で、供給側は消費者の後追いで動きますので、統計上の数でカウントした流行はそれよりピークが遅くなります。   〔カジュアル･エレガンス〕という循環要因は周期が１２年です。一方の極から反対の極までだと、その半分の６年になります。この記事の後、また２年刻みでカジュアルシフトが起こり、２００３年前後にトップカジュアルになりました。それがまた逆方向に動いて２００９年前後にトップエレガンスとなり、その後６年かかって、２０１５年前後にトップカジュアルです。もう一度言います。ヤングメンズのトップカジュアルは２０１５年前後、つまりこれからです。あなたが供給側の人間でコテコテカジュアル担当なら、今のポジションを堅持してください。			エレガンスに浮気なんかしてはいけませんよ。上品カジュアルの担当なら、許される範囲で下品カジュアルに寄せましょう。   もしあなたがエレガンスの担当なら、やはりカジュアルに寄せるべきですが、下品カジュアルにまで変えることはありません。変えてもいいですけど超大変ですからね。トップカジュアルの時期でもエレガンス好きの人やエレガンスしか選択できない立場の人はいますから、その人達にカジュアルっぽいエレガンスを売れば、カジュアル全盛時代をしのげますし、その方が楽です。次のトップエレガンスが２０２１年前後、その手前の７合目エレガンスが２０１９年前後ですから、その時期が来るまで辛抱しましょう。   では話を戻して、１９９１年ごろのカジュアルから思い出してみましょう。当時は裏原宿がブームでした。古着ジーンズが売れていました。なかには数十万円もするものがありました。本物でなくても中古加工は人気でした。タトゥーやボデイピアスが流行していました。			黒人ファッションが人気でした。アルマーニに代表されるソフトスーツが売れなくなっていました。ビームスやシップスのようにキレイだけれど堅苦しいカジュアルがダウントレンドでした。パジャマを着て街を歩くのが流行しました。こういうのをハウスカジュアルと言っていました。秋冬にハヤッタのがマウンテンパーカーですね。私も着ていた記憶があります。ストーンウォッシュのフライトジャンパーＭＡ－１がヒットしました。ダウンベストや、ポケットだらけのフィッシングベストが売れていました。アスレチックウエアがブームでした。一年中が夏のリゾートだったミジェーンが売り上げを爆発させたのもこのときのカジュアル期です。若作りがブームでした。おばさんがミセス売り場をスルーして、娘と同じ売り場で服を買っていました。ＮＢＡ（全米バスケットリーグ）のレプリカユニフォームやキャップ、Ｔシャツが売れていました。なかでもエアジョーダンがはいていたバスケットシューズが超人気で、何万もするのに取り合いでした。下着では極細ふんどしのようなＴバックショーツがヒットしていました。デカパイブラジャーも売れてましたね。健康サンダルのビルケンシュトックがヒットし、

その偽物が街にあふれました。僕も当時はいていました。ただし偽物の方です。   このトップカジュアルは長くは続かず、１９９２年から９３年にかけてエレガンスへの揺り戻しが起こりました。たとえばセクシーカジュアルの流行です。セクシーつまりエロいというのは、社会のタブーに触れているのでその部分では約束事軽視のカジュアルですが、女は女らしくあれと主張しているわけですから、そこのところは約束事重視のエレガンスになります。   キャミソールドレスが売れました。セクシーカジュアルが着れない世代でも挑戦できたアイテムでした。キャミソールドレスは上品ワンピースですからこの部分はエレガンス、下着を連想させるデザインをアウターとして着るところがカジュアルです。   アールジーンを覚えていますか。きれいなエレガンスジーンズの流行がありましたね。あなたが若くて当時を知らないのなら大先輩に聞いてみて下さい。			懐かしがると思いますよ。ジーンズというアイテムそのものは、私が若者だったころはそれだけでカジュアルだったし、今でもカジュアル寄りアイテムなんですが、アールジーンではそれが目一杯エレガンスシフトしていました。当時はこういう上品できれいなカジュアルのことをクールカジュアルと言っていました。   当時は女子高生がルーズソックスをはいていました。Ｖネックセーターも流行しましたね。ルーズソックスは女子高生が学校の制服を着ているときにはいていたソックスです。制服を着ることがファッションなのですから、その部分ではエレガンス（束縛）です。でもその制約のなかでぎりぎりまで校則外しをしたのがルーズソックスです。この程度のカジュアル（自由）でも許せないというんで、校則で禁止した高校がかなりありました。とくに偏差値の高い進学校がだめでした。   トラッドやアイビーが流行しました。ダッフルコートなどがたくさん売れました。カラードレスシャツが売れました。ドレスシャツはドレススーツのインナーですから			ほっとけばエレガンスですが、それに派手な色が付いていました。…という具合にカジュアルなのかエレガンスなのかどっちなんだ、はっきりしろいと言いたくなるファッションの時期をへて、冒頭の記事にあるＤＣブランドスーツのようなドエレガンスの流行になったわけです。   現在もここ数年間は、エレガンスとカジュアルのチャンポンが流行していましたね。でももう終わりです。終わりといっても当時とは向きが逆。これからはトップカジュアルのタイミングです。下品で汚くてラフなカジュアルがヒットします。   【この文2014/08/09に記載】 【関連ページ】 山がなくても着るマウンテンパーカ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

景気自律回復へ試練■ 消費 じわり追い風 買い替え・所得増の兆し 　　東京・神田の雑居ビルの４階。23の特別区が共同で運営する「粗大ごみ受付センター」では89台ある電話がなかなかつながらない。 増える粗大ごみ 　　「ごみを引き取ってほしい」。都民からの電話は4月以降前年を上回り、7月は約12万6千件と前年比12％の伸びを記録した。「冷蔵庫や洗濯機などの白物家電に加え、ワープロ、パソコンなどのごみが増えてきた」（東京23区清掃協議会）のが最近の傾向だ。 　　「粗大ごみの増加は大型耐久消費財の買い替えが起きている証拠」とさくら証券の宅森昭吉チーフエコノミストは観察する。日本電気大型店協会によると、6月のパソコンの販売台数は前年同月より67,2％増加した。冷蔵庫、洗濯機も1％強増えた。 　　家計にはかすかに３つの追い風が吹いている。			まず耐久消費財が買い替え期を迎えつつあることだ。7月の新車販売台数は前年比０,９％減と３ヶ月ぶりにマイナスとなったが、「登録をする陸運局の稼働日が１日少なかったためで、実質は４,１％増」（日本自動車販売協会連合会）。車種別の販売台数も本田技研工業のミニバン「オデッセイ」がトヨタ自動車の小型車「ヴィッツ」を６月に始めて上回り、比較的値段の高い車にも動きがある。   （日本経済新聞2000/08/05付より抜粋）   ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇			読紙感想文 可処分所得に占める耐久消費財の支出額の割合を時系列でとってみると、上昇と下降を順番に繰り返しているのが分かります。これは、「アリ⇔キリギリス」という流行要因のシーソーの上がったり下がったりと耐久消費財への支出額に強い相関があっるからです。   流行要因のほうは一定の周期で循環していますので、それと強い関係のある耐久消費財の支出額にも、ゆがんではいますが循環が表れます。   以前、お客様の部長さんの自宅に招かれたとき、居間に大きくて高そうな新品のテレビが置いてありました。「すごいですね～」と感心すると、「いやぁ、今まで使っていた

テレビが調子が悪くてね。」とてれていました。   あなたの家のテレビが調子悪くなったら、どうしますか。 １、我慢して使い続ける。 ２、修理を頼む。 ３、新しいテレビを買う。   物事を長期的に考えない、セツナ主義のキリギリスが支配している時期の消費者は、このうちの３番を選ぶ人が増えます。だって、古いテレビを見ているより、新しいテレビのほうが楽しいじゃないですか。   ３番の「新しいテレビを買う」を選択するとフトコロが寂しくなりますけど、先のことを考えないキリギリスの時期ですので気になりません。   あなたがテレビを買い替えることにしたとして、どんなテレビを買いますか。 １、最低限の機能だけを持った低価格なものにする。 ２、今まで使っていたものと同等か、ちょっぴり			バージョンアップしたものを買う。 ３、超豪華なデラックステレビを買う。 物事を長期的に考えない、セツナ主義のキリギリスが支配している時期の消費者は、このうちの３番を選ぶ人が増えます。だって、しけたテレビよりデラックスなほうが楽しいじゃないですか。   ３番の「豪華なテレビを買う」を選択すると財布が軽くなりますが、セツナ主義のキリギリスの時期ですから気になりません。   先ほどの部長さんですが、豪華テレビを買ったのは、ちょうどこの新聞記事が出たころでした。   セツナ主義のキリギリスが支配している時期は、耐久消費財が売れますが、そのなかでも超豪華なもの、楽しいけど無くてもすむもの、割高な価格のものが売れます。マンションなら億ションですし、乗用車なら、スポーツカーやスリーナンバー車です。家電なら、冷蔵庫や洗濯機のような、今の人にとって必需品になって			しまった白物家電より、あればうれしいけど無くても生活に困らないＡＶ家電の方が売りやすくなります。   衣料品でも、バブル時代に入るちょっと前に、高いものから売れていくということを経験しましたね。   （この文 03年８月３日 記載）   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

在庫確保したのに追いつかず …「そばめし」また販売停止 [ 　　ニチロは9日、冷凍米飯「そばめし」を一部地域で14日から販売停止すると発表した。そばめしは販売量の急増で生産体制が追いつかず、昨年12月下旬から１ヶ月間供給を停止し、1月22日に販売再開したばかりだった。] [　　1月の販売再開以降、1週間で200万食分の注文が殺到。月産160万食の同社の生産能力では対応できなくなった。 　　そばめしはマスコミで評判となり、昨年秋から販売が急増。] （０１年２月１０日付　日経新聞より抜粋） ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇			読紙感想文 モード工学の森田洋一です。   冷凍焼きそばと冷凍焼き飯は、本来別々に買って食べるものです。それを混ぜたらヒットしました。   本来別々であるはずのものを一緒にしたらヒットしたというタイプの流行を、私は「開放系」といっています。   去年の冬に「ハイブリッド加湿器」がヒットしました。加熱方式の加湿と、布に風を当てる方式の加湿が1台にまとまっていて、両方のやり方で加湿するため、加熱方式だけと違って霧が見えないという長所があります。これも、2つの方式が１つにまとまっているのですから「開放系」の流行です。			このごろのシャンプーは、単品よりもリンスやコンディショナーとセットになったものに人気があります。これも「開放系」です。パソコンのオールインワンも、日本では定番になって人気が安定していますが、流行がスタートした時点では開放系の流行でした。   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ヒットの裏側　動物の写真集ブルーディブック 　　動物のユーモラスな姿を集めた写真集「ブルーディブック」シリーズが売れている。2000年11月に出版した青い表紙の1冊目「ブルーディブック」が55万部、今年6月末に出版した赤い表紙の「ディア　マム」も10万部を突破した。 　　本の特徴は写真と文章の組み合わせの妙にある。動物の様様な動作や表情を擬人化し、「癒（いや）し」のメッセージを込めた文章とともに一枚一枚見せる。例えば、木の上で休んでいるライオンの写真に「全然元気なんか出ない」という一文。あたかも動物が本当にそう言っているかのような錯覚さえ覚える。 　　　　　〔・・・・・・〕 　読者は女性が８割で、20代が中心。「寝る前に何度も読んでいる」「プレゼントに送りたい」といった感想が寄せられているという。			（日経新聞2001/08/04付より抜粋）   ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ 読紙感想文 モノクロ「写真と文章の組み合わせの妙」で人気が沸騰したものに、写真週刊誌というジャンルを作ったフォーカスがあります。先ごろ廃刊になりましたが、初期のころのフォーカスはブルーディブックに似ていました。近い例では、カラー写真ですが、'99年に写真と文章の組み合わせでヒットした本に、幕内秀夫の「粗食のすすめレシピ集」があります。前回の流行期では、エッセーと料理の写真を組み合わせた、栗原はるみの「ごちそうさまが、ききたくたて。」がありました。92年にヒットしています。もっと以前にもどると、毎日グラフのような写真雑誌が人気だった時期もあります。写真集の流行は過去に何回も来ています。			写真集のヒットは具象の流行と強い相関があります。転写(具象)プリントのＴシャツを考えると、それを見た人の頭の中で、Tシャツのイメージと、プリントが描いているもののイメージがいっしょに重なります。全く別なもののイメージが混ざります。銅像を考えても同じことで、上野の西郷隆盛の銅像を見ると、我々は西郷さんを見たつもりになりますが、実際に見ているのはブロンズの塊です。西郷隆盛とブロンズの塊が、見た人の頭の中で共存してます。 本物の西郷隆盛は具象ではありません。リアルさというてんでは銅像の西郷よりはるかにリアルです。何しろ本物ですから。でも、銅像と違って別なものとのイメージの混合が起きませんので、具象ではありません。具象とよばれるものでは、表現しているものと表現の手段として使っているものが別です。   前回の具象の流行期にヒットしたものに、宮沢りえのふんどしカレンダーや、ヘアヌード写真集がありました。宮沢りえは、このカレンダーによってますます

人気が上がりましたし、ヘアヌード写真集を出して大金を手に入れた人もいます。これとは逆に、ヘアヌード写真集を出して人気が下落した人もいます。同じことをやっても、タイミングが違うと逆の結果になります。   具象のように「混ざる」流行を私は「開放系」と言っています。そばめしみたいに本当に混ざってしまう流行も開放系ですが、消費者の頭の中だけで混ざるものも開放系です。 現在は、開放系とは逆の「閉鎖系」がヤングではすでにスタートしています。つまりこれからしばらくは具象の流行はお休みです。   【この文、01年10月19日に記載】   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆			PhoTones Works #987 / PhoTones_TAKUMA

美白市場なお熱く メーカー低価格商品続々と 10－20代にも照準 市場規模、10年で2000億に倍増 　　　　　〔・・・・・・〕 　紫外線によるシミ、そばかすを防ぎ、肌を白く美しく見せる「美白」用化粧品の市場が急成長している。97年ごろからの美白ブームに加え、ここにきて十代の女性を中心にした肌を真っ黒に焼く「ガングロ」ブームが去ったことが需要を押し上げているようだ。各メーカーは「ガングロ」を“卒業”して「白」に回帰してきた１０―２０代の女性を狙って、低価格の新商品を相次いで発売しており、競争が激しくなってきた。 　　　　　　〔・・・・・・〕 　　資生堂は、「美白用化粧品の市場は90年代前半までは利用者の７割以上が４０代以上と中高年が中心だった。しかし、最近の市場の中心は２０代、			３０代で、さらに１０代まで低年齢化が進んでいる」と分析している。 (読売新聞 ‘０1年８月３０日付より抜粋) ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ 読紙感想文 ガングロは、海、山のリゾートやスポーツで似合います。海はやっぱり日焼けしていなくちゃ。私みたいに、なかなかきれいに焼けなくて、すぐ、ヤケドをしたみたいに赤くなるのはさまになりません。若いころは色黒の人がうらやましかったなぁ。   美白は結婚式や葬式などの冠婚葬祭で似合います。ガングロに喪服は似合いません。ドラマでも、夫に死なれて泣き崩れる未亡人は色白と決まっています。日焼けが好きな女性も、ウエディングドレスを着る前は日差しに気をつけるんじゃないですか。つまり、ガングロはカジュアルなシーンで似合います。			色白はエレガンスです。だから、年配の人は、自分の娘にはガングロを許しても、本人は色白にこだわるのです。   当時は、エレガンスの流行の末期に当たります。売るほうは大量供給が怖くなくなっていて、消費者は徐々に飽き始めた段階です。それで、各メーカーは、シェアを奪おうと相次いで低価格の商品を出して「競って」いたわけです。   衣料品で考えれば分かりますね。値段が高いと止まってしまうが、思い切って値を下げると大量に売れてシェアが取れる。これって、もうすぐおしまいってことですよね。各メーカーが同じように、低価格の商品で競争を仕掛けたということは、前の年の00年（平成12年）にはすでに、売れるかどうかは価格しだいという状態になっていたということです。 【この文、03年07月29日に記載】 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

しなやか、自然なムラ 脚光浴びる ジンバブエコットン 　　アフリカ南東部の内陸国、ジョンバブエ。ここで栽培される綿が注目されている。有機栽培、手摘みということで量産されているわけではないが、しなやかで、やわらかく、品質の高さが評価されている。糸そのものに自然なムラがあるため、洗いをかけて独特の色落ち感を出したジーンズが市場に出ている。秋冬物で企画したアパレルメーカーも多く、生産が追いつかないほど売れているというブランドもある。   （繊研新聞200１/10/25付より抜粋）   ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇			読紙感想文 素材の流行は、原料とその加工方法で語られることが多いのですが、原料や加工方法は消費者にとってはあまり重要ではありません。   重要でないという意味は、消費者に、買った理由、買わなかった理由を聞いたときに、原料や加工方法の話がでてこないということではありません。行動を起こした後の消費者は、自分を正当化させる理屈、自分を安心させる理屈、他人を納得させる理屈を欲しがっていますから、その理屈のための理屈として、原料や加工方法の話をしたがります。とくに、中高年の場合はそうで、原料の話をとりわけ熱心に語る人もいます。でも原料や加工方法は、消費者が現実に行っている購買選択の基準としては重要ではありません。   消費者が、実際の買い物で、購買選択のものさしとして重視しているのは、素材に関してはその感覚です。			見てくれ、触った感触、持った感じが重要です。ジンバブエコットンは、柔らかくて自然なムラがあります。その特徴が流行しました。自然なムラのある素材は、ジンバブエコットンでなくても、今まで売れていました。また柔らかい素材は、ジンバブエコットンでなくても売れていました。柔らかくてしかも自然なムラのあるジンバブエコットンが売れるのは当然です。   流行の各要因からみると、今夏のジンバブエコットンは、ヤングレディスですでにダウントレンドに入っています。上昇中に見えるのは、仮需が急拡大しているからです。   【この文 0１年10月29日 記載】   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

年10回の展示会は当たり前 店頭投入まで１カ月未満 ヤングレディス 企画は大変でも的中率アップ 　　 　　レディスヤング向けメーカーが展示会の回数を増やしている。年６回は少ない方で、年８回から１０回が流れになっている。中には毎月展示会を開いている例さえある。店頭投入までの期間は１ヵ月未満だ。背景には商品寿命の短命化、トレンドの高回転現象などがある。多頻度に変えてから業績が伸びたメーカーは多い。関係が密になりパートナーシップが高まったと取引先にも好評だ。引き付けた提案で的中率は向上するが、「年中、展示会に追われて、これでは持たない」と企画の現場からは不安の声も出ている。 （繊研新聞2002/02/28付より抜粋） ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇			読紙感想文 消費者が商品の細かい違いにこだわり、デザインに妥協しない流行を、「対立視（たいりつし）」と私は言っています。対立視のときの消費者は、同じものを何回も見るとすぐにゲップがでます。店内に同じ物がたくさんあるとゲップが出ます。他の店と同じデザインを見るとゲップが出ます。街で同じ格好を見かけるとゲップが出ます。自分がすでに似たものを持っていると購買意欲がなくなります。それで、メーカーや小売店が強気になっているものの商品寿命が短くなります。   アパレルメーカーにとってこれは、売れ筋であることに気がついてから止まるまでの期間が短くなることです。こういう時は、企画を実売時期から離したままにしておくと、店頭で売れる期間が短くなりすぎてしまいます。悪くすると、商品が止まってから店頭に並ぶことになります。			それは困るので、対立視の時期は、実売時期に企画を近づけようとします。同じものが多くないことや、以前と違っていることを消費者や小売店は支持しますので。展示会の間隔の狭いことや、企画点数の多いことが、対立視の時期は欠点でなくなります。   それで、そのことに気がついて他社より先に展示会を増やしたメーカーの業績が良くなります。成功事例が増えてくるにつれて、それを真似するメーカーも増えてきます。それを繰りかえしていって臨界点に達すると、各社いっせいに展示会を増やす競争をします。増やしていないメーカーが増やすのはもちろんですが、増やしていたところはさらに回数を多くします。   でもそのころになると肝心の消費者は、商品の小さな違いに関心を持たなくなり、同じものを何回も買うようになり、他人と同じものをほしがるようになリ、どこの店にもあることを嫌わなくなる「同一視」の流行期に入っています。同一視（どういつし）というのは対立視とは逆の流行です。

対立視の後には同一視の流行があり、同一視の後には必ず対立視の流行があります。つまり、替わりばんこです。   当時（02年）、ファション雑誌の影響力が上がっていましたし、その雑誌が広めた流行語がセレブ（トレンドリーダーの有名読者）だったのをみても、よそと同じものをすぐにパクって安く出す日本型ＳＰＡで、業績好調組みが出てきたのでも、同一視の復活は明らかでした。つまり、当時のメーカーの多くは、消費者の要求とは逆の方向へいっせいに突き進んだことになります。実需の裏づけのない供給側のフィーバーですからバブルです。そのバブルが破裂した結果が現在です。   【この文 04年03月31日 記載】   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

古着風･微妙な色濃淡… ベビー服大人の流行映す 質感･デザイン性を重視 団塊ジュニア世代が出産する年齢に差し掛かり、ベビー服に大きな変化がおきている。古着風など大人の流行をそのままに反映した商品が売れ始めたのだ。高度経済成長の達成後に生まれ、豊な消費環境の中で育った団塊ジュニアの求める子供服は、従来とはひと味違うようだ。 （伊藤忠ファッションシステム　川島蓉子）   　　ヴィンテージ（古着）風のジーンズにセクシーなプリントが施されたＴシャツ、最新流行を取り入れた衣料品が並ぶ。大人向けの店ではない。アパレルメーカー、リトルアンデルセン（東京・渋谷区）が販売する子供服だ。 　　これまで子供服と言えば、身動きが楽なカジュアルなものか、子供らしいものが多かった。			最近、売れ行きを伸ばしているのは、大人服の流行をそのまま反映した商品だ。大人向けの服を扱っていた店も、こうした需要に目をつけ、続々とベビー服に参入してる。 　　３月１日には、新宿の高級専門店［バーニーズ　ニューヨーク新宿店」が開業以来の大幅改装を実施、９階にベビー用品売り場を初めて設けた。「大人の服と同等の質感やテーストを持ったベビー服が市場になかった」と、商品部バイヤーの佐野陽子氏はベビー用品新設の狙いを説明する。 　　例えば、同店で扱う「プー・アンド・ザ・ダック」のワンピースは、この春の大人服の流行を加味して、薄手の綿素材にロマンティックな刺しゅうが施してある(２万５０００円）。オープンして１ヵ月程度だが、品薄になる人気ぶりだ。「マリオン・フォール」のカーディガンも１万５０００円と高額にもかかわらず、よく売れているという。 　　伊勢丹新宿店本店は3月7日に改装し、ベビー・子供用品売り場の海外ブランドを拡充した。改装テーマは「親子三代の店作り」。大人風の子供服が売れている最新トレンドにすかさず対応したのだ。			(日経流通新聞 02年03月30日付より抜粋) ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ 読紙感想文 子供服が大人の服の模型のようになる時期があります。違っているのはサイズだけ。あとは大人と同じ。そんなおしゃまな子供服がたくさん売れます。   子供服が子供服らしさを強調する時期もあります。子供服はやはり子供服らしくなくちゃぁね、とみんなが考えます。子供服らしさのこだわりから外れたデザインは売りづらくなります。   子供服は、大人っぽくなったり子供っぽくなったりを交互に繰り返しています。今年は、子供っぽい子供服が売れる年です。購買選択権がジジババにある場合は大人っぽい子供服が売れる場合もありますが、

母親が買う場合にはすでに、大人の模型服は売れない時期に入っています。   これは子供服に限りませんが、シーズン初期は古い売れ筋が一時的に復活します。それで、売上数字を機械的に信用すると、シーズンの立ち上がりは去年の流行が続いているように見えますので、大人の模型服がダウントレンドになっていることが分かりにくいかもしれません。でもそれはシーズンの初めだけです。。4月、5月、6月とシーズンが深まってくるにつれて、大人の模型の子供服は売れなくなります。   大人のデザインの子供服の勢いが鈍ってきたのは去年（‘01年）の夏ごろからです。人間は現状認識を変えるのを嫌いますので、実需が鈍ってきたのにもかかわらず仮需は強気のままでした。去年の夏以降、大人デザインの子供服やベビー服は、実需の			裏付けのない業界思惑だけの人気になっていきました。つまり、バブルです。今年はバブルが崩壊して、方向転換と後始末で苦しむ年になります。   この記事に、大人風子供服の成功例として、伊勢丹本店ベビー子供服売り場の海外ブランドが出てきます。その説明の写真に「売り上げ２割増と好調な伊勢丹新宿店の『ボンポワン』」とありますが、写真に載っている売り場の正面に出ているマネキンはベビーピンクのカバーオールを着ています。ベビーピンクのカバーオールを大人は着ないと思います。あなた、着ますか。これを着るのはやはりベビーだけでしょう。ボンポワンはベビー服らしいデザインのベビー服を売っているのです。   話を大人風の子供服の話に戻しますと、そういう物が売れている時期には、子供風デザインが大人の服に進出するという流行も起こります。サイズでも子供服風の流行はあって、ボディコンのピチピチ服の流行と重なったときは、ヤングが子供服をわざと着るようになります。			【この文 02年06月05日 記載】   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

14/05/10、dokusi030702より一部を分離独立させてこの新ページを作る。
14/08/09, dokusizeroより「消費じわり追い風」をこのページへ移す。「ＤＣブランド、彼氏を魅了」を加筆。
14/08/26、［ＤＣブランド彼氏を魅了」を掲載、dokusizeroより「ブルーディブック」「ジンバブエコットン」「年10回の展示会は当たり前」【ベビー服大人の流行映す」をこのページへ移す。