−流行記事 02年9月〜03年7月の1段目−                           トップページへもどる
(新聞記事切抜き)
日本経済新聞03年7月2日付1面より
変化探る   足踏み景気
不安抱え 選別消費

豊かなシニアが下支え

 ー中略ー
  良い物を安く買いたい消費者と需要掘り起こしに懸命な小売業者。両者の綱引きは続き、実質国内総生産(GDP)ベースの消費支出は今年1-3月期に前期比0.2%増とほぼ横ばい状態が1年以上も続く。所得減傾向の中でも、それまでの消費を落とさない「慣性」消費が続いた面が大きい。世代で見ると支え役はシニアだ。
  シャープの液晶テレビ「アクオス」。1台50万−70万円(店頭実勢価格)はする30型と37型の大型モデル購入の6割がホームシアターを楽しみたい50歳代以上だ。
  高島屋東京店(東京・中央)では電動ベッドが3−6月に前年比で2倍売れた。40万―50万円と通常

シニアバブルが発生する

ベッドの2倍以上で、50歳以上の夫婦の購入が多い。もともとは介護用だが、背もたれが電動で上がる機能が健康な人に受けた。
ー中略ー
  阪急百貨店のカード会員の購入1回当たりの平均単価を年齢別に分析すると、60−64歳が6万円で最も高い。30歳前後での低下傾向が止まらないのとは対照的に、60歳代は増加傾向が続いている。
  第一生命研究所が家計調査をもとに試算したところ、世帯主が60歳以上の高齢者世帯の消費性向は2003年1−3月期が87.2と前年同期に比べ6.5ポイントも上昇した。20歳代は下がり、30歳以上59歳以下は横ばい。シニア層の消費意欲だけが旺盛だ。
ー以下略ー
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読紙感想文
 
  消費性向と相関が強い流行要因に「キリギリス」というのがあります。イソップ物語の「アリとキリギリス」に出てくるキリギリスです。刹那主義の流行です。
 
  キリギリスが支配している時には、我慢すれば買い換える時期を先に延ばせる耐久消費財を、我慢せずにすぐ買い換える人が増えます。キリギリスとは逆の、物事を長期的に見るアリが支配している時には、耐久消費財を長く使って現金を残そうとする人が増えます。
 
  家計調査をすると、耐久消費財に対する支出が数年ごとに増えたり減ったり交互に繰り返しているのがわかりますが、それは、キリギリスの流行にサイクルがあって、それと耐久消費財の支出額が強い相関を持つからです。
 
  また、キリギリスの時には、なくても困らないがあるとうれしいという  
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−流行記事 2段目−
タイプの消費財を購入する人も増えます。
 
  それで、キリギリスの時期にはAV家電やスリーナンバー車などのように、必需品ではないが手に入るとうれしいというタイプの耐久消費財が特に売れるようになります。
 
  この記事に、通常のベッドの価格の2倍以上する電動ベッドや、200万円以上するゴルフセットがシニアに売れているという話が出てきますが、こういうのも必需品でない耐久消費財ですから、キリギリスの時期ではならの流行です。
 
  将来に備えて現金を、現金のままや現金に換えられるもので持っていようという発想が、刹那主義になっているキリギリスの時期には弱くなりますので、消費ブームが起こりやすくなります。将来のことを考えるから貯蓄をするんで、考えなければ、使っちゃったほうが楽しいですから。
 
  シニア層の消費意欲だけが旺盛なのは、全世代で考えた場合、 
キリギリスが支配している時期がもう終わりだからです。
 
 キリギリスの流行に限りません。どんな流行でも、年齢によってそのピークの時期が異なります。年齢が高くなるほど流行のタイミングが遅くなります。  
  ですから、支持者がシニアだけに偏ったら、その流行はそろそろ終わりだと考えなければなりません。  
  この記事では、シニア世代の消費意欲が旺盛な理由を、シニア世代の純資産が、他の世代に比べて突出していることで説明しようとしているようです。でも、資産の突出は以前から言われていることなので、今年からの出来事に使うのは無理があります。それを無理にこじつけると、資産が突出している間はシニアマーケットだけがニッコニコという間違った予測をしてしまいます。
 
  若い人たちの財布の口が閉まってきたときに、シニアの財布の口がまだ開いているものですから、キリギリスの終わりにはシニア市場にみんなが殺到するということがよく起こります。財布の口が閉まるのが後になるというだけで、結局閉まるのですから 
シニアバブルは崩壊します。
 
この文、03年7月24日記
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流行記事 3段目
(新聞記事切り抜き)
繊研新聞03年6月25日付1面より
大手アパレル・SPA
ヤングキャリアで
         
上質化路線
価格引き上げ高級ライン

  大手アパレルメーカー、SPA(製造小売)が、百貨店を主力販路とする大型ヤングキャリアブランドで、「質感向上」を切り口にしたMDを強めている。今秋物では、欧州からの輸入素材の比重を高め、パターン、縫製を見直すなどして価格を上げたり、一格上のラインを立ち上げる動きも目立つ。中心客層である団塊ジュニアの感度が上がり、より上質な商品へのニーズが高まっていることが背景だ。高級感、上質感を提案することで、客単価を上げると同時に、新規顧客を獲得しようというねらいもある。
 
  オンワード樫山は「23区」で、今秋から既存ラインよりも一格上の
ブランド内ブランド「23区ゴールドレーベル「を都心百貨店のインショップ10〜15店で販売する。「海外ラグジュアリーブランドに負けない物作り」〜
ー以下略ー
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発展段階に進化してしまいました。それは、他の事を犠牲にしてまで低価格を追求しても、元が取れないキリギリスが来ていたからです。そのことに気がつかないで値下げ断行をやってしまい、痛い目にあって向きを変えたということです。
 
  現在の大手アパレルは、当時とは逆方向に間違っています。
 
  今のヤングキャリア市場では、すでにキリギリスは終わっています。それとは逆のアリの時期に入っています。消費者の価格感度が上昇してきています。各ブランド間の浮沈をみても、それは明らかです。つまり、価格を安くするための努力や犠牲は報われるようになっています。
 
  人間は怠け者で臆病です。同じような経験を何回もしてからでないと行動は変わりません。リスクを意識しているときはなおさらです。
 
  供給側の人間は、価格が高いと苦戦、価格を上げると苦戦、他所様も高いところは苦戦、安いところは
読紙感想文
  物事を計画的に長期的に見なくなり刹那的になるキリギリスという流行要因が、人々の頭の中で優勢になると、消費者の価格感度が落ちてきます。将来に備えて現金を残しておこうという気持ちが薄れるからです。
 
  キリギリスの時期は、購買選択の判断基準の中で価格の占める重要性が下がります。価格を抑えるための努力はなかなか報われなくなります
 
  これが、ユニクロが苦戦した理由のひとつですし、発泡酒が売れなくなった理由のひとつです。
 
  以前は、中国生産で価格を半分にすると宣言していた大手アパレルもありましたが、いつの間にやら次の 
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流行記事 4段目
好調ということを何回も何回も経験してから、考えや行動が変わります。上への報告が変わるのも、同じようなことを何回も経験したあとです。  
  報告を受けた人間も、同じような報告を何回も受けたあとで自分の主張を変えます。
 
  大きな組織では、情報がせき止められる箇所がいくつもあり、伝言ゲームの末端にいる、組織のトップのとこまで行くのにえらく時間がかかります。それで、トップの言っていることが変わるころには、情報の賞味期限が過ぎてしまっています。
 
  今回も、タンコブを作ってからの軌道修正が避けられないようです。
 
この文、03年7月27日記
 
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(新聞切り抜き)
繊研新聞03年6月24日7面より
「夏色夏素材」で狙いは鮮明
百貨店ミセス 夏の端境期対策
「完全買い取り」や別注で
             売れ筋確保

  大手百貨店は今夏のミセス向け婦人服の端境期対策で、盛夏のイメージを前面に出したプロパー企画を重点的に拡大している。昨年までの数シーズンは「秋色夏素材」などの名称で、秋のトレンドを先取りした商品を早期展開してきたが、ファッション消費の先買い傾向に陰りが見え、暑さが続くうちは商品の動きが鈍いため、夏の売れ筋をアレンジした期中新企画主体に転換した。大手アパレルメーカーが、店頭情報をもとにした百貨店の要望にこたえる機運を強めていることも背景にある。
  ただ、端境期に適品を確保するためには、従来以上に早めの仕掛けが必要で、消化率契約導入や別注、完全買取の取り組みが増える傾向にある。
―後略―
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読紙感想文  
  「秋色夏素材」は、価格の面では、去年の時点でシーズンインする前からすでに弱気でした。つまり、「ファッション消費の先買い傾向に陰りが見え」たのは、去年ではなくて一昨年です。
 
  それが、誰の目にも明らかなほどに、数字にはっきり表れるほどにドスンと落ちたのが、その次の年の去年です。
 
  去年、(シニア)ミセスで「秋色夏素材」が苦戦した理由は2つあります。1つは、「常経験」の流行です。非日常性がトレンドから外れていたのです。それで、シーズンの先取りが、消費者にとって新鮮ではありませんでした。常経験が流行しているときは、ハデハデディティールにとって、柄物にとって、季節の先取りにとって不利になります。シンプルな服がジャストシーズンに売れるようになります。
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流行記事 5段目
去年の冬に、コートなどの防寒物がなかなか動き出さなかったのも、秋物が遅れたのと同じで、「常経験」の流行です。
 
  「秋色夏素材」の人気が落ちた理由の2番目は、その色です。去年の夏の(シニア)ミセスでは、春夏の季節感と一致した色がヒットしていました。秋物の色を売るのにはすこし早すぎました。
 
  今夏のミセスは、常経験とは逆の、「超経験」のタイミングにあります。季節の先取りは去年とは逆で、当たりです。色に関しては中立です。秋冬らしい色も春夏らしい色も同じくらい新鮮だというタイミングです。      
  で、結果は、「夏色夏素材は、期待したほどではなかったがまあまあであった」ぐらいに落ち着くでしょう。仮需正当化則(売れると思っていたものは、売れたことにしたい)が働きますし、仮需の影響を排除して実需だけをあらわす統計数字もめったにありませんから。
  この文03年6月24日記
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(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。一昨年(03年)は冷夏だ、異常気象だと騒ぎましたが、これは昔も同じです。国会図書館で調べましたが、異常気象で苦戦した、売れなかったという話は昔からあります。いつの年でも、苦戦している人はいますので、毎年誰かが異常気象を叫んでいます。
 
  たとえば、96年の11月にウールコートがなかなか売れ出さなくてやきもきしていた人たちがいます。百貨店紳士服を担当していた大手アパレルの人たちです。「やっぱり気温の高さには勝てないよな」「今年は、夜になっても生暖かいしね」。つまり、ウールコートが売れないのは、誰のせいでもない、寒くならないからだというわけです。
 
  でもね、この年は、レディスヤングや
OLではウールコートが9月、10月から売れていました。テレビも新聞も「ウーロン茶(茶色いウールロングコート)が売れている」と騒いだシーズンです。売れてりゃ誰も天気の話なんかしません。
 
  もちろん、これが逆になっている
シーズンもあるわけです。そのときはレディスヤングの担当者が高気温をなげきます。売れてるオチャン担当者は気温のことなんか言いません。  
 
  オシャレなカサは晴れの日も売れます。つまんないカサは雨の日しか売れません。天気の影響を強く受けるということは、そもそもその商品がファッショナブルじゃないということです。客がつまんないと思っているから天気の影響が強くなるのです。
 
  魅力的な商品は天気の影響をあまり受けません。だから、天気のせいにしたくなったら、商品の鮮度を上げることです。でも、これはしんどい。で、たいていの人は楽なほうを選びます。天気だけが悪者にされます。だから、売れていない人にとっては、どの年だって冷夏だし暖冬だし長雨です。売れてる人と売れていない人では、天気はいつだって違います。
 
  こういうのって、50年前も今も変わりません。きっと、これからもそうなんでしょうね。
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
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流行記事 6段目
 繊研新聞03年6月7日付より抜粋)
 
ビームス
構造改革を本格化
MD見直し、カード活用
 
  ビームスが新たな段階を迎えている。03年2月期決算では創業期初の減収となり、着手していた構造改革を本格化している。
ー中略ー
  減収は主力ブランドでMDのバランスが悪化したのが要因。主力のメンズカジュアル「ビームス」、レディスストリートの「レイ・ビームス」(レイ)などで個性が際立ち、それを好む熱狂的なファンをつかんだが、一方で客離れも起きた。同時期にコンサバベーシック、エレガンスの流れが強まり、対応する商品を揃えたものの、規模の大きさとイメージの強さから、消費者には伝わらず、これを補うためのブランドも準備できなかった。
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読紙感想文
  セレクトショップという言葉がカッコいいというので、猫も杓子も[うちはセレクトショップです」と言うようになりました。それでセレクトショップの意味があいまいになっていますが、もともとは、「店主や店長が、自分の感性や思い入れを優先させてセレクトしたものを仕入れて売っているショップ」という意味だったはずです。
 
  現在は、そういう意味でのセレクトショップが苦戦しています。
 
  今の消費者は、小さなこだわり、小さな差別化に反応しなくなっています。今までの自分や他の人とちょっとだけ違ってるコトやモノに関心がないのです。この流行を私は「同一視」と呼んでいます。
 
  以前は、後加工などでわざと汚したり、古着っぽくしたりして、手工業製品らしさを装った商品に人気がありました。でも今では、そういったものの値崩れがひどくなっています。
 
  かわりにキレイめカジュアルに人気があります。機械生産っぽいデザイン、大量生産っぽいデザインが受け入れられています。これも同一視です。
 
  01年ごろに「自称セレクトショップ」ブームが起こったのは、それ以前の数年間は、そういうこだわりショップにお客さんが入っていたからです。それで、名前だけでなく、内装や商品もパクった店が増えました。
 
  今はすでにセレクトショップバブルは崩壊しています。ビームスの苦戦がライバル店と比べて際だっているのは、そのバブル崩壊からの逃げ足がよそより遅かったからです。
  この文03年6月19日記
 
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流行記事 7段目
(新聞切り抜き)
繊研新聞 03年4月30日付け1面より
 
日常になじむエレガンス
03〜04年秋冬
     東京コレクション
重ね着したりバランス崩したり
               (青木規子)
ー前略ー
ヨーロッパでもトレンドとなっているスタイルが、東京ならではのバランスで登場した。どのテーマにも共通して、エレガンスが表現されている。
  東京発のエレガンススタイルは、完璧すぎないのが特徴。バランスを崩すのに多用されたのは重ね着。
ー後略ー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
繊研新聞03年4月30日付け14面より
03〜04年秋冬東京コレクション
キッチュ、ダミー、ゆがみで崩す
新バランスの東京エレガンス

変化でつくる自分らしい表現

 
  03〜04年秋冬の大トレンドは「クラシックなエレガンス」。欧米コレクションではそれをストレートに表現していたが、東京では正統派エレガンスをうたいながら、素材や丈、色や組み合わせのバランスでキッチュな要素を加えるブランドが光った見えた。あえて使う安っぽいラメ生地や、布のはみ出し、極端すぎるアシメトリーなどの手法は、西欧的エレガンスの基盤のない東京の若手デザイナーにとって、自分らしさの唯一の表現手法だったようだ。   (高橋牧子)ー後略ー
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読紙感想文
  欧米のコレクションが自信たっぷりに正統派ドエレガンスにシフトしているのに比べて、東京コレクションがエレガンスに徹することができないでいるのは、今の日本のストリートがエレガンスではないからです。
 
  日本では、エレガンスブームがとうに終わり、エレガンスブランドは生き残りをかけて、今までのラインをカジュアルにシフトしています。
 
  エレガンス系の中での勝ち負けを見ても、相対的にカジュアルにシフトしているタイプの人気が、そうでないものを上回っています。市場のカジュアル化に対して、どのエレガンスブランドともいろいろ対策をとっているのですが、それでも苦戦しがちです。土日でもお客さんが来なくて、売り場がガランとしている店が増えています。
 
  エレガンスブランドを増やしすぎたファッションビルは苦戦を続けてますし、そのなかで、新しく導入したカジュアルブランドだけが元気いっぱいです。   
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ー流行記事 8段目−
  あなたが東京コレクションに参加しているデザイナーだったとしたら、こういう状況でどうしますか。欧米のデザイナーと同じドエレガンスをやりますか。それとも、今の東京のストリートが支持しているドカジュアルをやりますか。どっちに徹するのも不安でしょう。どっちも怖いでしょう。
 
  自分だけが、同業者と逆の方向へ行くと夜寝られなくなります。だって、当たればデカイですが、外せば一発で命がなくなりますもの。自分以外はみんな当たりになるのですからこれはつらい。同じ外すのなら、よそと同じことをやって外すほうがまだましです。
 
  だからといって、ほめてくれたのは業界内の人だけで、お客さんはみんなそっぽを向いてしまったというのも困ります。売れて何ぼですから。
 
  で、どっち付かずの真ん中を行くのが一番安心だということになります。
       市場予測
  欧米のコレクションと東京コレク
ションでエレガンスの取り入れ方に大きな差ができたのは、それぞれの市場の流行が、このエレガンス度に関しては大きく違っているからです。違っているというのは、東京の市場がもともとカジュアルだという意味ではなくて、エレガンスが流行するタイミングが欧米とは大きく違うという意味です。
 
  今の東京のカジュアルの流行は本物で、これから何年も続きます。今後しばらくは、カジュアルファッションに関しては、日本が欧米を凌駕します。世界の最先端になります。
 
  ということは、欧米のデザイナーやアパレルがカジュアルウエアを企画するときは、東京のストリートが気になってしょうがなくなるということです。今すぐにとはいいませんが、じきにそうなります。
 
  欧米のファッション業界の人間が、日本へカジュアルファッションの偵察に来るようになります。欧米のコレクションで発表されるカジュアルウエアが東京の ストリートの1年遅れになります。  
  こういうことは過去にも何回か起こっています。やはり、日本でカジュアルの大ブームが何年も続いた後です。
 
  2度あることは3度ある。3度あることは4度ある。今回も同じことが起こるはずです。
  この文、03年6月16日記

 
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−流行記事 9段目−
新聞切り抜き)
 
03年3月31日付繊研新聞より
ブランド頼みでは続かない 
岐路に立つ新興専門店創業の原点へ一から客作り
大分・パーフェクトブルー 4年で16店に成長

  雑誌などへの媒体露出をテコに急激に売り上げを伸ばし、ブーム沈静化とともに縮小したり、消えていく――そんなブランドに依拠して運命を共にする新興専門店は少なくない。ブランドの力で売れていたのを、「自分の店の力=実力で売れた」と錯覚しがちだからだ。地方都市にも、ここ数年の新興ショップブームに乗って規模を急拡大した専門店があるが、ブームが収まった今、改めて持続的な企業への脱皮を模索する動きが出ている。大分市のパーフェクトブルーも、そんな岐路に立つ新興専門店の一つだ。
〜略〜
  東京を中心に雑誌などで話題の旬のブランドをいち早く大分に持ち込むことで、「玉(商品)さえあれば自動販売機のように売れていた」のが変調をきたしたのは、昨年秋以降。
〜略〜
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性能やデザインに妥協するようになります。全く同じあるいはほとんど同じ物を繰り返し買うようになります。他人と同じ物や事を欲しがります。こういう時期には、個性や差別化が価格に転化しづらくなります。
 
 前回の同一視のタイミングには、インポートセレクトショップやインディーズが苦戦しました。でも、彼らの全てが消えたわけではありません。生き残るところがありました。今回も生き残るところがやはりあります。
 
  そして、生き残り組みがやる対策は、これまでの生き残り組みがやったことと同じです。ブティック生き残り、マンションメーカー生き残り、DCブランド生き残り、インディーズ生き残り、インポートセレクトショップ生き残りがやったこととほとんど一緒です。
 
  これは逆の個性をもっったショップやメーカーでも言えることなのですが、自分の個性が時代に受け入れられなくなったとき、向かい風を受けるようになったとき、反省と改革をやりすぎて、もとの個性を完全に失うところが
読紙感想文
  新興ブランドや新興専門店が苦戦している。これは業界の大多数の人が知っている事実になっています。だから、業界紙の第一面に大きく乗ったのです。一部の人しか知らないことでしたら、まず記事になりません。半分ぐらいの人が知っていることでしたら、一面には載りません。
 
  新興ブランドや新興専門店が苦戦しているのは、現在が「同一視」だからです。 
  同一視というのは、消費者が、物事の相違点よりも共通点に関心を持ち、評価する流行です。
 
  同一視の時の消費者は、商品の細かい違いには関心を持たなくなります。
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−流行記事 10段目−
たくさん出てきます。そこでは、次の復活のタイミングに復活できなくなります。
 
  「ここ数年の新興ショップブーム」という言い方には、消費者が実際に支持している実需の話と、新興ショップを作りたがる、あるいはそこと付き合いたがるという仮需の話との区別があいまいです。去年の前半の時点ではブームはすでに仮需中心になっていました。実需はすでにダウントレンドでした。つまり、バブルです。それがはじけたのが「昨年秋以降」なのです。
   この文03年4月1日記
 
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(^^♪(^^♪ ちょっと脱線(^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。営業の本などによく出ている話に「イエス、バット話法」というのがあります。お客さんの話を真っ向から否定すると嫌われる。だから、「そうです、そのとおりです」と肯定しておいて、反論はその後にしろ…という話です。
 
 でも私のコンサルティングにはこれは使えません。誤解される危険があるからです。
 
  わたしのお客様は業界の人です。供給側の人です。だから仮需を愛しています。実需と仮需がピッタリ一致することはまずありません。実需の話をするということは、程度の差こそあれ仮需を否定することになります。そのときあいまいな言い方をすると仮需を全面的に肯定しているように取られる危険があるんです。
だって、愛しているんだもん。
 
  へたをすると結論が逆になってしまう可能性があります。だから、ここぞというときにはズバっと断定的に言わざるをえません。でも、これって嫌われるんだなぁ。愛しているものを否定されるんだから、ムカっとくるのは分かるんだけどね。
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪ 
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−流行記事 11段目−
(新聞切り抜き)
'03年2月5日付 繊研新聞より

検証百貨店向け婦人コート
非ウールシフトも裏目に

不鮮明だった商品変化
実需の見極めが課題

〜略〜
  02〜03年のコートは当初、非ウールの早期展開を計画するところが多かった。8月に先物が動いたこともあって9月に投入するところが増えたが、9、10月と高温のため動きが鈍く、10月下旬にやっと上向いてきた。
〜略〜
鮮度
  気候の推移は予測しづらいが、早期の商品投入に反省も出ている。気温が低かった‘01年9月の状況がそのまま昨年のMDに反映しているため、暑かった10月までの不振で各社とも生産にブレーキをかけた。結局、生産は、ダウンを中心に非ウールの追加をかけつつ、年内販売品にとどめたところが
多かった。
  気候だけでなく、トレンドが不鮮明で、前年の商品から変化させられなかったこと、このためダウンなど値頃な非ウールで需要を引き出さざるを得なかったこと、などが今シーズンの特徴だった。
  〜略〜
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇
  売れ出すのが遅れたのも、トレンドが不鮮明なのも「常経験」の流行からくる結果です。トレンドが不鮮明だから売れ出すのが遅れたのではありません。直接の因果関係はありませんが、同じ原因から発生していますので相関関係はあります。
 
  つまり、トレンドが不鮮明な年はシーズン物の立ち上がりが遅くなります。シーズン物の立ち上がりが遅いシーズンは、トレンドが不鮮明になります。繰り返しますが、どちらも因果関係ではありませんよ。常経験の流行から発生した結果です。親子の関係ではなくて兄弟です。
 
  常経験の時はシンプルな物が売れますので、プリントが苦戦します。先ほどと同じ理屈でいうと、プリントが苦戦する年はシーズンの立ち上がりが遅くなります。シーズンの立ち上がりが遅い年はプリントが苦戦します。これって、覚えておくと便利ですよ。
   この文03年2月5日記
読紙感想文
  重衣料が売れ出すのが遅れたのは気温のせいではありません。百貨店ミセスが「常経験」のタイミングだったからです。常経験の時は商品の新鮮さに対する感激が薄くなりますので、季節の先取りをする人が減ります。それで、防寒物は寒くならなければ売れなくなります。
 
  同じように「トレンドが不鮮明で、前年の商品から変化させられなかったこと」も常経験の流行です。常経験のときは新しいデザインにあまり感激しないのです。それで、ベーシックな定番デザイン以外は売りにくくなります。そのため業界全体が苦戦します。
―――11――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ 




 
−流行記事 12段目−
(新聞切り抜き)
'02年9月12日付 繊研新聞より

挽回!下期に挑む
量販店衣料品責任者に聞く
公明正大な関係作り
既存店は5%増へ

イズミ取締役衣料品部長 金子崇史氏
  ーー上期の売り上げはかなり好調と聞いているが。
  上期の既存店売上高は前年同期比3%増になった。7月が6%減と大きな谷間になってしまった。
  --やはり天候が大きな原因か。
  いや、まず自分達のやってきたことを反省すべきだと思っている。というのは、これまで比較的順調だったのは昨年7月から実施した前倒しの結果だった。それが一巡して攻めよりも逃げの展開になったのではないか、旬の商品をちゃんと陳列できたのかどうか、どうも「後入れ先出し」(先に陳列した物より後から陳
列した商品だけが売れていく現象)の売り方になってしまったのではないかなど、いろいろ反省点はあると思っている。景気や天候ではなく商品企画の問題だと考えている。
 〜略〜

◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇
 
 
読紙感想文
  森田洋一です。季節商品が売れ出すのが例年より早くなるときと遅くなるときがあります。売れ出すのが早いときはその分落ちるのも早くなります。
 
  夏物の時期の末期に、今までの商品を売りつづけるのか、秋物の匂いがする商品に切り替えるのかの判断に担当者は頭を悩ませます。季節商品が早く売れ出して早く止まる年は、夏物を無理して引っ張るより早めに秋物に切り替えたほうがベターですし、そうでない年は、涼しくなるまで夏物を売り続けたほうが良くなります。
 
  02年夏のミセスは、季節商品をジャストシーズンで買いたいと思っていました。季節先取り物には手を出さない年でした。そのときに多くの量販店や百貨店は、商品の早期投入早期撤退をやりましたので、ミセスの気持ちとの間にミスマッチが起こりました。ミセスが夏物を探しているときに、秋物の匂いがする商品が並んだのです。当然動きません。夏物のほうの在庫は足らなくなり売り場に
―――12――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ

 




−流行記事 13目−
空きができました。見切りロスと機会ロスが同時に発生しました。
 
  これが‘02年7月の「魔の1ヵ月」です。
 
  消費者が季節商品を早めに手に入れようとする流行を「超経験」と私は言っています。非日常性の流行です。
 
  新しい季節の商品が店に並んだとき新鮮な気持ちがしますね。衣替えをしたばかりの人も新鮮に見えます。これは、その服が流行のあっているかどうかとは別なことです。合っていればもちろんのこと、そうでなくともシーズンの初めは新鮮です。その新鮮さを高く評価する流行が「超経験」です。
 
  「目に青葉、山ホトトギス、初ガツオ」という言葉がありますが、、この初鰹をありがたがる流行が超経験です。
 
  これと逆の流行が「常経験」です。去年(‘02年)のミセスは常経験のタイミングでした。夏の物は暑くなってから、秋の物は涼しくなってから、冬の物は寒くなってから買おうとしました。  
だから、季節商品の切り替わりのタイミングが遅いほうにずれました。
 
  今年(03年)のミセスは超経験に変わります。ミセスといっても年齢に幅がありすぎますけど、百貨店や量販店の中心顧客を想像してくださいね。だから、季節商品の切り替えの時期は早めが正解です。
 
  けれど、小売店側は前年の反省から、シーズンを遅くまで引っ張ろうとしますので、今度は、前年とは逆方向のミスマッチが発生します。
 
この文03年1月21日記

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―――13――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ

 




−流行記事 14段目−
(新聞切り抜き)
繊研新聞 ‘02年2月28日付1面より
年10回の展示会は当たり前
店頭投入まで一ヵ月未満
ヤングレディス
企画は大変でも
的中率アップ

  レディスヤング向けメーカーが展示会の回数を増やしている。年6回は少ない方で、年8回から10回が流れになっている。中には毎月展示会を開いている例さえある。店頭投入までの期間は1ヵ月未満だ。背景には商品寿命の短命化、トレンドの高回転現象などがある。多頻度に変えてから業績が伸びたメーカーは多い。関係が密になりパートナーシップが高まったと取引先にも好評だ。引き付けた提案で的中率は向上するが、「年中、展示会に追われて、これでは持たない」と企画の
現場からは不安の声も出ている。
―以後略―
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  こういう時は、企画を実売時期から離したままにしておくと、店頭で売れる期間が短くなりすぎてしまいます。悪くすると、商品が止まってから店頭に並ぶことになります。
 
  それは困るので、対立視の時期は、実売時期に企画を近づけようとします。同じものが多くないことや、以前と違っていることを消費者や小売店は支持しますので。展示会の間隔の狭いことや、企画点数の多いことが、対立視の時期は欠点でなくなります。
 
  それで、そのことに気がついて他社より先に展示会を増やしたメーカーの業績が良くなります。成功事例が増えてくるにつれて、それを真似するメーカーも増えてきます。それを繰りかえしていって臨界点に達すると、各社いっせいに展示会を増やす競争をします。増やしていないメーカーが増やすのはもちろんですが、増やしていたところはさらに回数を多くします。
 
  でもそのころになると肝心の消費者は、商品の小さな違いに関心を持たなくなり、同じものを何回も買うように   

読紙感想文
 
  消費者が商品の細かい違いにこだわり、デザインに妥協しない流行を、「対立視(たいりつし)」と私は言っています。
 
  対立視のときの消費者は、同じものを何回も見るとすぐにゲップがでます。
 
  店内に同じ物がたくさんあるとゲップが出ます。他の店と同じデザインを見るとゲップが出ます。街で同じ格好を見かけるとゲップが出ます。自分がすでに似たものを持っていると購買意欲がなくなります。それで、メーカーや小売店が強気になっているものの商品寿命が短くなります。
 
  アパレルメーカーにとってこれは、売れ筋であることに気がついてから止まるまでの期間が短くなることです。
―――14――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ





 
−流行記事 15段目−
なり、他人と同じものをほしがるようになリ、どこの店にもあることを嫌わなくなる「同一視」の流行期に入っています。
 
  同一視(どういつし)というのは対立視とは逆の流行です。対立視の後には同一視の流行があり、同一視の後には必ず対立視の流行があります。つまり、替わりばんこです。
 
  当時(02年)、ファション雑誌の影響力が上がっていましたし、その雑誌が広めた流行語がセレブ(トレンドリーダーの有名読者)だったのをみても、よそと同じものをすぐにパクって安く出す日本型SPAで、業績好調組みが出てきたのでも、同一視の復活は明らかでした。
 
  つまり、当時のメーカーの多くは、消費者の要求とは逆の方向へいっせいに突き進んだことになります。実需の裏づけのない供給側のフィーバーですからバブルです。そのバブルが破裂した結果が現在です。
 
この文 04年3月31日 記  
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(^^♪(^^♪ちょっと脱線(^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。「お前の考えをこの(衣料品)業界で受け入れてもらうのは大変だよ」私は、小売店をやっている友人にこう言われたことがあります。 
 
  「だってこの業界は、流行は予測できないものだ、予測しようとしても外れるものだという前提で仕組みを作ってきたんだから。それを前提にして、リスク分担してきたんだから。ということは、流行が予測できると認めることは、それまでやってきたことを部分的にせよ否定することになる。これってつらいんじゃないかなぁ」
 
  人間は、不幸になることはもちろん、幸せになることでも変化にはチュウチョする。これは、サルだったころから、もっと原始的な生物だったころから持っている本能です。私にもありますからよく分かります。 
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
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