基準点(参照点)が現状より上だとアクティブになる
基準点(参照点)が過去にあり、それが現在より高かったら。その人はマイナスの損失を避ける動機でプラスの利益を得る行動を取るようになるのではないでしょうか。その場合、プラスの利益を得る動機でプラスの利益を得る行動を取る人よりアクティブになるのではないでしょうか。
 
木下藤吉郎は村長の息子だったという説があります。二宮金次郎の家は富農だったそうです。松下幸之助は幼少のころ家が裕福でした。戦後の混乱期の日本人は戦前の豊かな時代を知っていました。その豊かさの記憶が行動に駆り立てたのでしょう。モスバーガーの創業者は、米国に赴任していたころの豊かな生活に戻りたかったのが起業の動機だそうです。

 
この「元に戻りたい」が政治的集団行動になった
 
のが革命でしょう。幕末に、下級武士の社会的、経済的地位が下落したとき、彼らを過激な行動に駆り立 てたのは、元に戻りたいという思いでしょう。明治時代にしたかったわけではありません。
 
山本七平さんによると、昭和初期の青年将校は庶民に本音ではばかにされていたそうです。彼らの基準点(参照点)は尊敬されていた昔にあったと思います。
 
1950年代の流行語に「駅弁大学」があります。学生と教授の数が増えインフレを起こしたとき、尊敬されていた昔に戻りたいとアクティブになったのが、全学連や全共闘、進歩的文化人でしょう。だから、学生でなくなると同時におとなしくなったのでしょう。
 
どの革命運動も過激派は地方出身者ですが、それは、あるべき現在が、栄光の過去の時点で止まっているため、惨めな現実が許せないためだと思います。
 
(この文、2010年11月13日に記載)
 
過激派は地方出身者
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−トレンド予測 2段目−
 
自分自身の基準点を現状の自分より高くすれば、マイナスの損失から逃れる動機でプラスの利益を得る行動が取れます。その結果アクティブになります。自己啓発本によく出てくる「目標を書いて持ち歩く」「目標を達成した自分を具体的にイメージする」というのは、それを人工的に起こそうとしているのでしょう。でもきついよね。
 
逆に自分自身の基準点を現状の自分より低くすれば、プラスの利益を得る動機でマイナスの損失を避ける行動を取ることになります。そうすれば転落の不安から逃れられます。仏教のいう「悟り」とはこういう状態のことでしょう。でも本気でやったら生活力なくなりますね。
 
値頃価格の保守性も基準点で説明できそうです。昔カメラは家一軒よりも高価でした。それが庶民にも買える値段まで落ちたとき
 
アマチュア写真家のブームがおきました。買えない価格だった時代を知っている当時の人にとって、カメラは実際の価格の何倍も魅力的だったはずです。
 
基準点は保守的ですが動かないわけではありません。価格の基準点も実際の価格に遅れて下落します。両方の価格が近づくにつれて魅力のプレミアムも無くなっていったのでしょう。
 
マイカーブーム、パソコンブームも同じ理屈でしょう。アパレル産業が急成長したのは、服の価格が若者でも買えるレベルまで落ちてからです。今の中国がそうですね。
 
(この文、2010年11月15日に記載) 
 
【関連ページ】
流行も分解すれば超単純
(理詰めのトレンド予測第1章4節より)
 
池田信夫blog 新しい意思決定理論
 
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このページ作成 ’10年11月20日、レイアウト変更2014/09/04
 
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