ページの表題 マイナーチェンジでロングセラー  トップページへもどる読紙目次へもどる

−トレンド予測 1段目−   
大当たりをとった商品が、その好調を維持するには方法が2つあります。1つは商品のスタートのタイミングを早くすることです。これについては、ロングセラーはこうして作れというページでお話ししています。
 
「ロングセラーはこうして作れ」では、定番として生き残るのに早さがいかに大事かお話しましたが、スタートのタイミングを早くするとは、他企業よりも早くという意味ではありません。消費者が本当に心底ほれているうちに大量供給できるように早くという意味です。そうすれは、流行が終わった後も、ほれていたことがあるという思い出で消費者は付き合いを続けてくれます。
 
できるタイミングにぎりぎり間に合ったとしても、ロングセラーにはなりません。流行の終わりとともに消えることになります。  
   
 
消費者の気持ちでみてドンピシャリのタイミングなのに、他社より遅れているということはまずありませんから、大当たりのタイミングは、必然的にどこよりも早くなります。それもダントツで早くなります。
これは、電信柱のテッペンに立たされたような心細さを覚悟しなければなりません。全員が悲観的にみている低迷株を、自分一人だけで買いまくるようなものです。 口で言うのは簡単ですが、なかなかできることではありません。だから、ロングセラーはめったに出てこないのです。また、すでにスタートしてしまっていて、他社と横並びになった後のビジネスでは、この方法は使えません。
 
ロングセラーを作るにはもう1つのやり方がありまして、それは、外れた流行要因から順番に、それまでとは逆のやり方に切りかえていくというものです。
   
これは、何が外れたのかが分かっていなければなりませんから、頭を使います。そのかわり、早すぎるくらい早くやる方法に比べると心理的負担は小さくてすみます。 これは、一部分を変えるだけのマイナーチェンジです。だからそれほど辛くないのです。
 
その一部分も、好調を維持する程度でよければ、正反対にまで変える必要はありません。 もしも、あなたがヨーカン屋だったとします。甘いものが売れない時代になったときに、塩センベイ屋にならなければならないかというと、そんなことはありません。 甘いものが流行から外れているときでも甘党はちゃんといます。甘党は、そういうときでもヨーカンを買ってくれますし、食べてくれます。
 
もちろん食べてくれるといっても、甘い物が流行している時期の甘党ほどには買ってくれませんし
 
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−トレンド予測 2段目−
食べてくれません。しかも、甘くない時代に支持する甘さは、甘いものが売れているときに甘党が食べるヨーカンに比べると甘味が弱くなっています。それでも、甘党は、他の人よりは甘味を支持します。
 
甘いものが苦戦する時代のヨーカン屋は、客が気づかない範囲で砂糖の含有量を減らしたり、甘くないことを堂々宣言したヨーカンを開発したりという努力が必要です。  
でも、それまで自分の店に来てくれた客の平均は、日本人全体の平均より甘いものを支持してくれたわけですし、甘くない時代だって他の人より甘いものを支持してくれるはずなのですから、甘味を全面否定する必要はありません。
 
これは、ヨーカンでなくても同じです。 小泉内閣の前の森内閣は人気がありませんでした。でも、自民党に投票した人だけでカウントした支持率は、そうでない有権者を含めた支持率よりも高率でした。森内閣だけで はありません。 
   
与党に投票した人の内閣支持率はいつだって、全体でカウントした支持率よりは高いのです。
 
ある店、あるブランド、ある商品を今まで支持してくれた人たちは、それが持っているクセが好きなのですから、その個性が流行から外れているときでも、もともとその店、ブランド、商品を支持していなかった人よりは、相対的にその個性を支持しつづけます。流行から外れているわけですから、そのくせを弱める必要はあります。でも全面否定する必要はありませんし、すべきでもありません。ですから、早すぎるんじゃないかと思えるほどのタイミングでスタートさせる方法に比べると、マイナーチェンジを繰り返すやり方でロングセラーを作るほうが、技術はともかく気持ちの上ではやりやすいと思います。
   
 
          モード工学代表 森田洋一
 
ご意見ご感想などございましたらお教えください。メールには代表の森田洋一が全部目を通しています。気楽にどうぞ。  
mm@e−yosoku.com
 
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このページ最終更新 12年02月01日