「ピンポイント」「大量供給」 マッシュホールディングスの「ジェラートピケ」・ マックスの「ホッチキス」・寺西科学工業の「マジックインク」・セメダインの「セメダインC」・呉工業の潤滑剤「KURE5-56」・旭化成工業の「サランラップ」、岩波書店の「広辞苑」・ショウワノートの「ジャポニカ学習帳」・リーガルコーポレーションの「リーガルシューズ」・レゴジャパンの「レゴブロック」・タマノイ酢の「すしのこ」・ミツカンの「味ぽん」、キユーピーの「キユーピーマヨネーズ」・永谷園の「お茶漬けのり」・カゴメ「トマトジュース」・カルビー「かっぱえびせん」と「ポテトチップス」・赤城乳業の「ガリガリ君」・亀田製菓の「ハッピーターン」・原田のラスク「グーテ・デ・ロワ」・味の素の「味の素」、テレビ番組「機動戦士ガンダム」・テレビのち
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映画の「男はつらいよ」や「宇宙戦艦ヤマト」・映画のちテレビの「となりのトトロ」…。
何十年も人気が落ちなかったうらやましい商品があります。販促にはたいして金をかけているわけでもないのに売れ続けます。広告宣伝している場合も、売るためというよりも忘れられないようにするためです。循環要因*1の循環もこの商品には関係ないように見えます。何もかも特別扱いのVIP席にいるようです。こういう商品があなたのところにあったら楽ですよね、変なドジを踏まないかぎり売れ続けるのですから。商品が止まるのではないかという恐怖から開放されます。あなたは枕を高くしてぐっすり眠れます。 流行を超越して売れ続けているようにみえる物は、初めから流行を超越していたわけではありません。逆です。ロングセラータイプのさまざまな商品で、 水平飛行に移る前の |
急上昇している時期を調べると、その商品の特徴と、当時活性期だった循環要因が一致していることがわかります。言いかえると、初期の段階では、普通のヒット商品なんです。つまり、その時点では、ロングセラーになれなかった他の短命ヒット商品とそれほど違わないのです。 では、ヒット商品のなかでは圧倒的に多い短命型と、少数派の超ロングセラーでは何が違うのでしょうか。 超ロングセラー商品は、その他大勢の短命ヒット商品とは違った特徴があります。ロングセラーの多くは、発売されてしばらくは苦戦をしています。人気が出たのは数ヵ月後から1〜2年後です。出すのが早すぎたのです。この文の初めの部分でロングセラーの例をいろいろ出しましたが、そのどれもがスタート直後に苦戦しています。 |
早すぎるほどのタイミングで出せば、客が本当に心底ほれているタイミングで、つまりその商品を支持する循環要因が活性化している時にまとまった量を展開することができます。
そうなれば循環要因の支持が無くなった後も、ほれていたことがあるという思い出で、客は付き合いを続けてくれます。だから、他の商品が避けられなかった浮き沈みから、自分だけ脱却できたわけです。
超ロングセラーには、初めから爆発的にヒットしたというタイプもあります。このタイプのロングセラーも、その巨大な需要に何とかこたえようと、メーカーは大増産をしています。やはり、消費者が心底ほれている期間に大量に供給しています。 超ロングセラーを作るのに、いかに早さと量が大事か例を出しましょう。まず、量の大切さを示す例からです。アサヒビールがスーパードライを発売したのが87年です。当時は薄味の流行がスタートしていました。スーパードライは他のビールに比べて発酵をより進めています。アルコールは濃くなっていますがエキス分は減っています。つまり薄味で |
苦くありません。今の常識で、薄い、苦くないと言っているんではありませんよ。当時のビールの常識で考えると苦くないということです。いくらビールだからといって、水っぽさを強調するわけにはいきませんから、スーパードライは「辛口」と宣伝しましたが、実際は薄口です。
スーパードライを出すときは、社長をはじめ経営陣はみな反対したそうです。供給側からみると、それまでの経験を否定した、不安で恐ろしい商品でした。それが売れに売れて初年度だけで、2億7000万本(大ビン換算)売りました。我々はその後のスーパードライの大躍進を知っていますので別に驚きませんが、当時としては驚異的数字です。 ビール業界は、スーパードライが出る前年まで、外見の新奇さで売ろうと容器戦争をやっていたくらいで、味に関しては保守化していました。それまでの挑戦がキリンラガービールにことごとく 跳ね返された経験から、味を大きく変えることはタブーになっていました。どこのメーカーにとっても、「ドライ」ビールは出すのがためらわれる商品でした。 |
それで、他社は、追随商品を出すのに、アサヒからまる1年も遅れてしまいました。これは、同じ年の87年に、花王からコンパクト洗剤の「アタック」が出てから、ライオンが同じコンパクト洗剤「ハイトップ」を出すまでにまる1年遅れたのに似ています。
ライオンは、過去に、コンパクト洗剤を出して失敗していた経験からナマスを吹いてしまって、すぐに追随商品を出すことができませんでした。それでライオンは洗濯洗剤のシェアを大きく落としました。
1年遅れで他社は、スーパードライをコピーしたビールを出してきましたが売れませんでした。「ドライ」ビールの流行はすでに終わっていました。でもスーパードライは売れつづけました。スーパードライを飲んで感激したオジサンたちが、「ドライ」ビールの流行が終わった後も飲み続けてくれたんです。 スーパードライの勝因は二つあります。一つは、消費者が心底ほれてくれる、循環要因の活性期で出したこと。もう一つは、売れると分かったら大増産をかけたことです。 |
消費者が心底ほれているうちに大量供給すれば、大勢のシンパをつくることができます。2億7000万本売ったということは、お客様がそれだけ飲んだということですが、それだけ作ったということでもあります。計画よりちょっと余分に売れたくらいで
すぐに品切れになってしまう最近の食品業界の事例と比べるとその大胆さが分かります。当時の社長がバブルオヤジタイプだったことがアサヒにとって幸いしました。
これは、98年にフリースで当てたユニクロ(ファーストリテイリング)の勝因と同じです。ユニクロはフリースがまだ高く売れるうちに、つまり消費者がまだ本気でほれているうちに安く大量に売りました。そしてそれでも足りないと分かると大増産をかけました。アサヒのスーパードライとユニクロのフリースが、必ずしも相似形の結果になっていないのは、フリースがファッション商品であることもありますが、ユニクロがフリースの大量供給を始めたタイミングが理想の時期より遅かったことも関係しています。 |
新製品がヒットするかどうか前もって知りたいというので、テスト販売が盛んです。地域や対象者を絞り込んでチョコっと売ります。その結果を見てから、全国展開を検討します。小さく始めますから、売れなかったとしても痛みが小さいというわけです。ですが、これをやると、ヒットするはずだったのに、テスト販売したためにヒットできないということが起きます。 失敗した新製品のほとんどは出すのが遅すぎたんです。早すぎて失敗したということはほとんどありません。たいていの人間は、成功事例が積み重なってからでないと、不安と恐怖で動けませんから遅すぎるタイミングで出したがります。「高い輸入品で大当たりしている」「ケシツブみたいな零細企業でヒットがでた」「外国でも成功事例がある」「それに近いものがすでにヒットしている」などなど、さまざまな安心材料を求めます。商品企画書なんて、こういった話のオンパレードですね。 |
テスト販売も、そういう安心材料の一つなんですが、これをやるとよけいに遅くなります。先ほど言いましたように、超ロングセラーは、短命ヒット商品よりさらに早さと量を求められます。テスト販売はこの要求に逆行しています。 あなたが新製品の責任者で、記録的大ヒットや超ロングセラーを本気で望んでいるのなら、テスト販売をしてはいけません。初めから本生産で全国展開すべきです。 それでは恐ろしすぎて、あなたの頭にシラガが増えるかもしれません。でも超ロングセラーのためです。我慢してください。新製品を大成功させるには、センスよりも、IQよりも、度胸が大事です。 |
2 チキンラーメンが関東より関西で人気があるわけ超ロングセラーの条件であるスタートの早さと量のうち、今度は、早さの大切さを示す例をあげましょう。今度も食品の話です。
日経流通新聞02年2月16日付に、袋ラーメンの地域別ランキングが載っています。 そのランキング表で、チキンラーメンを見ると、近畿圏が2位、首都圏が6位です。人気が西高東低になっています。それも、かなり急傾斜です。 人気の西高東低は昔からありました。以前、チキンラーメンは人気が落ちたために販売が中止されていたことがあります。そのときでも関西では売られ続けていました。 なぜ、人気が西高東低なんだと思いますか。 最初に売られた時期が、関東と関西では違うのです。 日清食品は、今では大手企業ですが、チキンラーメンが発売された58年ごろは零細 |
企業でした。そのためお客様に大量に見せるタイミングが、西と東で違ってしまいました。だから、定番として生き残る力も東西で違ったんです。
チキンラーメンは、店頭実需だけを考えれば出すのが早すぎた商品ではありません。でも、小売店や問屋の人気、つまり仮需を含めると早すぎた商品です。それで、発売当初は苦労したようです。 でも、チキンラーメンは定番として生きのこりましたし、日清食品も、インスタントラーメン大競争に勝ち残ることができました。初めは苦労させられましたが、十分に元が取れています。 日清食品は、カップヌードルの時も似たような経験をしています。 71年にカップヌードルが発売された時、初めは問屋さんや小売店に総スカンをくってしまいました。袋入りインスタントラーメンの実売価格が20円ちょっとの時代に100円もしたのですから無理もありません。しかも、めんの量が当時の常識の半分なのですから。 歩行者天国で直売したり、自動販売機を |
作ったり、非常食として役所に売り込んだりと、消費者の目にとまるようにするのに大変でした。チキンラーメンの時代と違って、日清食品という社名のブランド力がすでに
あったことから考えると、カップヌードルを市場に認知させるほうが、チキンラーメンより大変なことだったのかもしれません。
でも、カップヌードルは、カップめんというそれまでなかったジャンルを作りましたし、その中でも、高いシェアを維持しつづけています。 インスタントラーメンを例にあげましたが、これは、他の商品でも同様です。つまり、苦戦からスタートするほど早い時点で始めないと、大変革なしに続く長期のヒットビジネスは難しいことになります。 苦戦しろと言っているのではありませんよ。もちろん初めから大当たりがいいに決まっています。ただ、遅すぎるより早すぎるほうがましなんです。とくにロングセラーにすることを考えると断然早すぎる方が得です。 タイミングのちょっとした違いで、定番として残れる能力が大きく異なってしまう例 |
としてチキンラーメンの話をしましたが、例をもう1つあげましょう。
このごろのレディスジーンズにはストレッチが入っているものがありますね。ジーンズにストレッチが入っていたほうがよいのかどうかはそのときの流行しだいですが、 入れると機械的に売りづらくなるということはありません。でも以前の若者は、ストレッチジーンズをあまり支持していませんでした。どちらかというとタブーでした。 ヤングでは売れなかったストレッチジーンズは、昔は「のびのびジーンズ」といって、ミセス(シラガ染オバサン)では定番としてそれなりに売れていました。 のびのびジーンズはミセスには売れましたが、ヤングには売れていませんでした。チキンラーメンは西高東低でしたが、のびのびジーンズの場合は老高若低です。なぜだと思いますか。 「今のストレッチデニムと違って、昔ののびのびジーンズ時代は技術が未熟だったので、ヤングの感性を満足させる風合いを持たせることができなかった」なんていう後講釈 |
を言ってはいけませんよ。その「未熟な技術」のストレッチジーンズを欧米の若者は抵抗なく受けいれていたんですから、技術は定番になれなかった理由としては関係ない。
答は簡単です。ストレッチデニムが日本で大量に供給されるようになったタイミングが、ヤングがストレッッチに心底ほれる時期に間に合わなかったんです。それで、定番として残ることができませんでした。欧米では間にあいましたので、ヤングの定番として生き残りました。 日本でも、ヤングでは間にあいませんでしたが、ミセスでは滑り込みセーフでしたから、定番として残ることができました。 カップヌードルは発売時に小売店や問屋から総スカンを食って苦労しましたが、超ヒット商品や超ロングセラーの発売時には、 こういう苦労話が付きものです。そのとき直販に変えたり、別な小売りルートを開拓したり、とにかく消費者に見せる努力、わたす努力をした人が成功しています。 そういう努力や情熱を、拒否反応を示している問屋や小売店を説得するのに使った人 |
は、たとえ成功しても短命です。理由は分かりますね。問屋や小売店は安心を求めます。新しいものは売れた実績がありませんから怖いです。それで仮需は実需より大幅に遅れます。問屋や小売店が説得に応じた時は、循環要因のシーソーの逆が上がる直前なんです。
あなたが開発したものを、超ロングセラーにする自信があって、中間業者を説得することに失敗したなら、彼らを説得するのに時間を空費してはいけません。グズグズしていると超ロングセラーは短命ヒット商品に、短命ヒット商品は大外れに変化してしまいます。 超ロングセラーになる商品は、発売時に消費者は心底ほれています。消費者に見せる努力、わたす努力をしてください。結果さえ出せば、中間業者の好き嫌いなんて1日で逆転します。 |
3 超ロングセラーは変えるとこける消費者が本当にほれているタイミングで大量に供給することに成功した商品は、大変革なしに人気を保つことができるという長所があります。でもこれは、大変革を受け付けないという欠点でもあります。
人気を過去の思い出に頼っているために、その思い出を壊すような変革には拒絶反応がでるんです。
98年にアメリカ映画の「ゴジラ」が公開されました。賛否両論と言いたいところですが、実際は否ばかりでした。とくに54年に公開された日本映画の初代「ゴジラ」を見ている人の反発が大きかったのが印象的でした。 ゴジラ映画のフアンには、ゴジラ映画とはこういうものだという思い込みがあって、それに反するものは受け付けません。古典芸能のフアンと同じです。でも、いくら、 ほれた時の思い出が強烈であせなかったとしても、思い出は遺伝しませんから、世代交代が起こるとジリ貧になります。 |
初代ゴジラを見たときに20歳だった人は、現在は70歳代です。すでに昔のゴジラを知らない人のほうが圧倒的多数になりました。50年生まれの私も子供のとき、初代ゴジラをスクリーンで見た記憶がありますが、封切りではなかったと思います。ゴジラ映画の寿命はつきたようです。つらいところです。 これは食品でも同じです。ロングセラーの味や容器を変えるのは食品業界ではやはりタブーになっています。 「消費者に浸透したカゴメのトマトケチャップも平成元年(一九八九年)につまずく。容器を昭和四十一年(一九六六年)以来のチューブからボトルに変えたが、『しぼり出しが悪い』『最後まで使い切れずもったいない』などのクレームが消費者から殺到した。見慣れない新パッケージがカゴメ製品だとわからない客も多く、混乱を招いた。 翌年にはチューブに戻したが、シェアは一時、四〇パーセントまで落ち込んだ。カゴメ営業本部一般マーケティング部の寺田直行 |
マーケティンググループ課長は『調味料などの身近な食品については、消費者が意外と保守的なことがわかった』と苦い教訓≠語る。」
(日本経済新聞社編発行「徹底分析長生き商品の秘密」215nより)
ロングセラーにも寿命があるとメーカーも分かっていますから、変えるのはタブーだからといって、そのままほっとくわけにも行きません。本家本元は、さわらぬ味にたたりなしとそのままにしておいて、それとは別な味や容器を並行して出します。でも、ロングセラーを変化させた商品は、初めのトライアル需要はつかめてもたいていはすぐに落ちてしまいます。新しい味や容器は、消費者にとってただの浮気相手でしかなかったわけです。 人気が落ちた変り種をそのままにしておくと、儲からない商品が増えて、本家の儲けを食いつぶしてしまいます。それで、ロングセラーの別味、別容器は引っ込めざるをえなくなります。出しては引っ込め、出しては引っ込めをくり返します。そのためのコストは、本家が忘れられないための話題づくりと割り切ります。 |
でも、どうせ引っ込めるとわかっているのなら初めから期間を決めてしまえというので、ロングセラーの変種はこのごろ期間限定が増えました。
超ロングセラーは変化を受け付けないという悩みは他も一緒です。長生き商品、シニセブランド、シニセ店、シニセメーカー、シニセ営業スタイルなどが共通に持っている悩みです。 ファッションでも、トラッドとはこういうもの、アメカジとはこういうもの、サーファーはこうでなくちゃとアダルトの皆さんはこだわっていらっしゃいます。 その見えないワクから外れると、とたんにお客様が減ります。ですから、アダルト向けアパレルメーカーや小売店は、苦戦が始まった時に 思い切った刷新がなかなかできません。変えるとガタンと落ちます。変えなければズルズル落ちます。古いお得意様を捨てる覚悟ができるまでスランプ が続きます。 |
ロングセラー商品の弱点をお話しましたが、ロングセラーがそういう悩みを持つようになるのは、かなり後になってからです。あなたがその超ロングセラーの仕掛け人なら、
あなたが現役の間は大丈夫です。落ち込みの不安を持たずに仕事ができます。
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4 マイナーチェンジでロングセラー ヒット商品が、その好調を維持するには方法が2つあります。1つは商品のスタートのタイミングを早くすることです。これについて今お話ししています。もうひとつの方法についてはトップページで触れています。
スタートのタイミングを早くするとは、他企業よりも早くという意味ではありません。循環要因が支持していてくれるうちに大量供給できるように早くという意味です。そうすれは、循環要因が支持してくれなくなった後も、ほれていたことがあるという思い出で消費者は付き合いを続けてくれます。 心底ほれているタイミングに間に合わなければ、ライバルより早く始めていたとしても、なんとかヒットできるタイミングにぎりぎり間に合ったとしても、ロングセラーにはなりません。流行の終わりとともに消えることになります。 消費者の気持ちでみてドンピシャリのタイミングなのに、他社より遅れているということはまずありませんから、大当たりのタイ |
ミングは、必然的にどこよりも早くなります。それもダントツで早くなります。でも、そのタイミングで行動するには、電信柱のテッペンに立たされたような心細さを覚悟しなければなりません。全員が悲観的にみている低迷株を、自分一人だけで買いまくるようなものです。
口で言うのは簡単ですが、なかなかできることではありません。だから、超ロングセラーはめったに出てこないんです。
今までの話は商品単位での超ロングセラーの話しでした。似たようなことはブランド単位、事業部単位、企業単位でもあります。 よく、シェアがトップなら儲かるが、シェアが下位だと儲からないと言いますね。たしかに、いろんな商品をみても、シェアの大きさと利益には相関が見られます。 だったら強引にシェアと取ればいいんじゃないっていうんで、リベートだ宣伝だと金をかけて、かえって儲からなくなっている企業があります。シェアが低いから儲からないんだから、そんな事業部は売ってしまえと、かなり乱暴なことをやって人気者になった外国の経営者がいましたね。 |
でも、シェアと利益の間に相関があるからといって、因果関係があることにはならないんですよ。統計で因果関係を証明するって大変なんですから、儲からないのはシェアが原因だなんて、そんな簡単に決め付けないで欲しいな。
日本国内のシェアのランキングと、外国でのシェアのランキングが大きく違っている業界があります。そういう場合を調べてみると、そこの国へ本格的に進出した順番とシェアが一致していることが多いんです。先に進出したところがシェアが大きくて儲かっています。その成功を見て後から進出したところはシェアが小さくて儲かっていません。 おもしろいことに、先に進出した企業の製品は、後から進出した企業の製品より、その国では品質や性能に対する評価が高いんです。日本国内で売られている物と同じであってもです。その国の人達は、我々とは違う順番で商品やブランドを見たんです。だから評価が我々とは違うんです。 後から始めたところは、時流に乗っている |
とき は一時的に人気が出ても、流行が終わって市場が縮むと、あるいは安定期に入ると、先行しているところより落ち込みが激しくなります。 となると、シェアの下落をそのまま放置するか、先行しているブランドより安くするか、販促費をメチャメチャかけるしかなくなります。たいていは三つとも少しずつやりますから、
>シェアが低くて儲からないという状態になります。 つまり、シェアが低くて儲からない本当の原因は、その国でやるのが儲かっている企業より遅かったということなんです。 各企業のシェアの大きさと、その商品を、その事業を本格的に始めた順番には強い相関があります。利益の大きさと、その商品を、その事業を本格的に始めた順番にも強い相関があります。強い相関×強い相関=相関ありですから、シェアの大きさと利益の大きさとには相関があることになります。 これは、個々の商品単位、個々のブランド単位、個々の事業部単位、個々の企業単位など、どの階層レベルでみても、はじめた早さ、シェア、利益の関係は同じです。 |
より長期的利益で比較した場合ほど、スタートの速さの重要性が際立ちます。
あなたが超ロングセラーを得るためには、国内で初めてでなければなりません。2番手でも超ロングセラーになれるのは、1番手が、零細すぎるなどの理由で、大量供給に手間取っている場合だけです。その場合でも、あなたが早くはないのは同じですから、1番手になった場合に比べて成功の確率は低くなります。 もし、1番手になるタイミングを逸してしまったら…。そのときは別な切り口(循環要因)を見つけて、その切り口での一番手になりましょう。 あなたが経営者なら、新製品企画やブランド開発、研究開発などを短期間の成果だけで評価してはいけません。 発売直後の成績だけで評価すると2番手以降のライバルでも高得点になってしまうかもしれません。でも、超ロングセラーになった場合 |
と短命ヒットでは、 企業の利益はまるで違います。 ですから、新製品企画やブランド開発、研究開発などは、売り出されてからかなりたった後の成績も加味して評価すべきです。 *1循環要因 流行の主因。一定の周期で循環している。 (次は「マイナーチェンジでロングセラー」) |
(^^♪(^^♪ちょっと脱線(^^♪(^^♪ 森田洋一です。このページを紙に印刷してみました。それを読んでみて思ったことは、ずいぶん偉そうにしているなぁということです。液晶画面の文字を読んでいる分には感じないんですけど。活字にすると、なんか教えてやっているという感じになっています。エラソー。 これはいかん。このページをみている人は別に私の弟子じゃないんですから。 それで、文章をさらに柔らかくすることにしました。ふざけて書いているように見える部分もありますが、本当は真剣なんでお許しを (^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪ このページの最上部へもどる |
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モード工学 森田洋一
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