ページタイトル Lサイズが復活する      トップページへもどる
  (2001年7月16日追記) 
  大きくてぶかぶかの服が売れるときがある。小さくてピチピチの服が売れるときもある。
  服のサイズの流行にはいくつかの流行要因が関係しているが、なかでも重要なのは体積の増減の流行である。体積の大きいものが新鮮な時期と体積のが小さいものが新鮮なときがあって、それが交互に繰りかえしている。
  L体積が流行しているときはトップスの幅が広くなる。S体積が流行しているときはトップスの幅が狭くなる。より厳密にいうと、[L体積⇔S体積]という流行要因は、トップスの幅の流行と強い相関をもつ。
  ヤングレディスでみると、今は[Lサイズ]の流行期のタイミングになっている。だからといってSサイズは全く売れないといっているのではない。 消費者は、そのとき惚れているものだけを買っているわけではないからだ。以前に惚れていたという思い出で買っているものもかなりある。
  ただ、惚れて買っているものと、惚れていたという思い出で買っているものは区別が付く。思い出商品は、シーズンの初期だけ売れる。値段に敏感であり、価格の下落が激しい。大量に売っても店やブランドの価値が上がらない。デザインのこまかい変化が無くなるーーーなどの特徴がある。
  鮮度のある商品は、この逆になる。シーズン中盤以降も値段が通って、高めの価格設定でも売れ、店やブランドの魅力を増し、新しい提案を受けいれる。
  そういう商品で観察すると、現在のヤングレディス市場はL体積になっている。    
  以下の文は、前回のL体積の流行期について書いたものである。L体積の流行は、一定の間隔で機械的にやってくる。その単純な繰り返しが見えづらいのは、デザインの変化が1つの流行要因で説明できるわけではないからだ。
(以下トレンドセッター98年9月号より)

Lサイズが復活する

  ミセス、アダルト向け担当者にとって去年(97年)は最悪の年であった。とにかく売れなかった。この年齢層が売上げの大半を占める百貨店・大手量販店・郊外型紳士服専門店は軒並み、今まで経験したことがないほどの苦戦をした。
 これを、消費税が上がったことや景気が交代したことで説明する人がいるが、すべてを経済学ですますのは少々無理があるようだ。
  衣料品はすべての分野がダメだったわけではない。ヤング、なかでもヤングにしか着られないヤング服を扱っているメーカーや小売店は悪くなかった。つまり去年は、アンチ・ミセス服の流行やアンチ・アダルト服の流行が来ていたのだ。
 
  流行が、OLの通勤着を連想させる
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−トレンド予測 2段目−
デザインになると、ミセスの服も女子大生の服も OLっぽいデザインになる。と同時に、OLが服をバカスカ  買うようになる。
  流行が、ミセスウエアを連想させるデザインになると、ミセス向けでないものもミセスっぽいデザインになる。と同時に、ミセスが服をバカスカ買うようになる。去年(97年)は、これの正反対の流行が来ていた。
  アンチ・ミセス服が売れているシーズンは次の3種類のミセスが増えている。
 第1に、アンチ・ミセス服に挑戦するミセス。ヤング売り場を徘徊し、キャミソールを買ったのはこの人たちである。だが、いかんせん数が少ない。 第2に、アンチ・ミセス服に近いデザインのミセス服を買うミセス。この人達が買うキャミソールワンピは、ヤングが見るとマタニティドレスに見える。
   サイズにやたらとうるさくなったのは、この第2のタイプである。おかげでどこの売り場もLLサイズが売れないので困った。  
  去年(97年)ほど極端ではないにしろ、このところ何年も細身デザインの人気が

分野は違ってもシフトの方向は同じ

続いてきたので、その傾向にデザインをシフトさせていたメーカーや小売店は、ミセス向けであっても業績がよい。ヤングで流行した平成ブランドやセクシールックに相当する服が、ミセス向けでも売れていたということだ。
  去年増えたタイプの3番目は、「若い人はいいわねェ」と言って、服を買わなくなってしまったミセスである。この人達の分が売上げ減
となって数字に出てきたのである。
  メンズでも同様のことが去年起こっていた。見るからにオジさんという感じの、太めサイズのスーツは苦戦したが、ヤング向けまたはヤングマインドの細身のスーツは好調であった。
 
  小さなサイズの流行はウエアだけではなかった。生活必需品や消耗品を小口買いする傾向が去年は顕著であった。コンビニで雑貨や惣菜を買う主婦が増えていた。家電・乗用車・ビールなど、購買選択権がオジサンにある物では、今でも小型が人気である。
  だが、このSサイズの流行はスーパーのPOS(販売時点情報管理)データを見ると、もう終わりに来ているのが分かる。たとえは飲料では、ペットボトル入りや紙パック入りの伸びが著しく、逆に缶入りが落ちこんでいる。 ウエアでも、97年の秋冬頃からピュアヤングでルーズサイズの人気が復活している。
  小売店頭の品ぞろえを見ると、タイトシルエットの流行が今でも続いているようにみえるが、いつでもルーズサイズがあるスポーツウエアや、ルーズシルエットにこだわっているブランドの売れ方を観察すると、それはハッキリしている。
  ミセスやアダルトでも、これからルーズサイズが復活してくる。そうなったと、だれが見てもハッキリ分かるまでに変わるのは、ミセスで99年夏、アダルトメンズで99年冬であろう。
 
(トレンドセッター98年11月号より)
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-トレンド予測 3段目−

チープシックブランドの流行が
くる


  この消費不況のさなかに何を言い出すのかとあきれられそうだが、今回はブランド物の話をする。
 シャネラー・プラダー・グッチ−などの流行語まで生んだ特選インポートブランドがブームであったが、2年ほど前(96年)から徐々に勢いが落ちてきている。以前は、ブランド物の特集を毎号載せていたファッション雑誌も、いかに安くオシャレをするかというような記事が多くなった。高いものは敬遠されている。
  もっとも、この前のブランドブームでも、クリスチャン・ラクロワやフェンディなどの高級高価格ブランドだけが売れていたわけではない。
  ラルフローレンの「ラムV」セーターやナイキなどのように、高校生でも買える価格帯のブランド品が同時期にヒットしている。また、アメリカンカジュアルのライセンスブランドや、DKNYのようなセカンドラインのブランドもヒットした。
ブランド物には違いないからそれなりの値段がしたが、価格の高さが特徴というわけではない。
  こういう、相対的にだが、価格が安いブランドをチープシックブランドと呼ぶことにする。
  ブランド物の流行は『他力本願』の流行サイクルと強い相関を持っている。他力本願とは、消費者が商品の価値判断を自分自身でしないで、他のものに頼ろうとする流行である。だから、強力なノレンがあるブランド物には、他力本願の時期は有利になる。
  ブランド物は『キリギリス』の流行サイクルとも強い相関を持つ。消費者がセツナ的になり、財布の口を緩めている時期がキリギリスである。それで高いブランド物が売れる。
  しかし今は、消費者が長期的に物を見るようになり、財布の口を締めている『あり』の時期である。キリギリスとは逆のタイミングにあたる。だから安いほうが有利だ。
  特選インポートブランドは、キリギリスとの相関のほうがより強いが、チープシックブランドは他力本願の相関のほうがより強い。同じブランド物でも両者は、より強く支配されている
流行要因が異なる。そのため同じブランドブームといっても、高級特選ブランド中心のブームと、チープシックブランド中心のブームがある。
  前のチープシックブランドの流行では、ポロ・ラルフローレンやアニエスbがハヤった。末期には、さらに低価格のポロクラブやナイスクラップに人気が移っている。「価格破壊」とよばれた、商品単価が下がった時期のブランドブームである。
  もう一つ前のチープシックの時期にハヤッたブランドを代表するのが、西友の無印良品である。「高感度低価格」と呼ばれた時代である。
  無印良品と同じ時期に、DCブランドのブームも起きている。当時のDCブランドは国産にしては値段が高かった。チープシックブランドの時期だからといって、安いものばかりがヒットするわけではない。ブランド物はブランド物である。ただ、キリギリスの時期のブランド物よりは安いほうに平均が寄っているのだ。
 
ヤングレディス市場では98年にすでに他力本願のタイミングになっている。ミセスやアダルトも
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−トレンド予測 4段目−
99年中に流行期に入る。チープシックブランドはこれからがシュンである。
(トレンドセッター99年3月号より)

SPAの潮流と消費者心理サイクル

  日本型SPA(製造小売業)またはメーカー系SPAと呼ばれる企業群が、ヤング市場でここ数年破竹の勢いで勢力を伸ばしてきた。すでに店舗数は、旧勢力のヤング専門店チェーンをリョウガしている。
  それが去年(98年)の後半になって、さすがのメーカー系SPAにも息切れが見られるようになった。今まではSPA絶賛記事が多かったファッション業界紙も、このごろは批判的意見も載せるように変わってきている。
 
  バブル時代に大手ヤングレディスチェーンが手がけていた旧SPAと今のSPAは、やり方が根本的に違うという主張が今までは通っていた。
  だが、旧SPAのやり方を冷静に振りかえってみると、今のSPAのやり方とそれほど違わない。違ってみえたのは、メーカー系SPAの成功があまりにも鮮やかだったからである。
  同じようなことをしていても、勝ったか負けたかの結果が違っていたので評価も逆になっていてのだ。スポーツ新聞と
プロ野球の監督の関係に似ている。
  旧SPAの失敗は、今ではだれの目にも明らかである。大手専門店チェーンは、その後遺症に現在も苦しんでいる。 だが、敗戦組みSPAといえども初めから苦戦していたのでは  ない。最近のSPAほどではないが、始めた当初はそれなりに利益をあげていた。だからこそ、バブル崩壊で破綻したとはいえ急激な出店攻勢に出ることができたのだ。
  当時のSPAのやり方はこうである。――まず、シーズン初めに多様な商品を少量ずつ店頭に並べる。この中には自分のところで企画した自社オリジナル商品もけっこうある。
  次に、その中から売れた商品を見つけ、前もってラインを空けておいた協力工場ですばやく追加生産をする。他社の売れ筋も、気がついた時点でつぎつぎと投入していく。それを可能にするために縫製工場や生地屋には極端に短い納期を要求する。当時は、QR(クイックレスポンス)という言葉は一般化していなかったが、やっていたことは今のQRと同じである。
  そのシーズンのテーマだコンセプトだと言っているのはシーズンの初めだけである。後からの投入商品は、今売れているかどうかで決めるため、店頭の商品バランスは急激に崩れる。
 
  DCブランドなどで以前見たことがある商品が買いやすい価格で出ている。コピー商品だから、売っている時期は
すぐにパクる
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-トレンド予測 5段目−
オリジナルより当然遅いのだが、それなりに値段もこなれている。それで消費者は、あの欲しかったデザインが私にも買えると感激して買う。
  こういう保守的な消費者が多かった時は旧SPAは採算があっていた。ところが、消費者が商品に鮮度と個性を要求する、私が「対立視」と呼んでいる時期になると苦戦が始まった。
  今回のSPAブームは、前回と出ている役者が違うし、時代も違う。旧SPAブームと全く同じ結果になるとまでは私も思わない。
  ただ、他人と同じ物を欲しがり、デザインに妥協し、商品寿命が長い、コピー商品にとって有利な、私が「同一視」と呼んでいる時期に同じようなことをやっているのであるから、次の「対立視」の時期になったときの結果もそれなりに似ているはずだと考えている。
  同一視の流行のピークはミセスで97年、ヤングは96年である。
  どちらにしても今はピークを過ぎた下りである。同質化コピー商品にとって不利な「対立視」の時期がめぐってきつつある。
01年9月13日追記
  対立視の流行はすでにピークを過ぎた。これからまた同一視があがってくる。日本型SPAまたはメーカー系SPAと呼ばれていたビジネスモデルも元気を取り戻すだろう。だがそれは、「日本型SPA]、[メーカー系SPA」というネーミングの復活を必ずしも意味しない。
  ビジネスモデルも服のデザインと一緒で、ほとんど前と同じモノが復活したときに前回とは名前が変わってしまう場合がある。だから、「日本型SPA」という言葉が復活するかどうかは分からない。コトバの流行の研究を後回しにしているので、前回と同じネーミングが復活するかどうかは現時点では断言できない。
  私に分かるのは、「日本型SPA」、「メーカー系SPA」と呼ばれていた所と全く同じやり方、あるいはほとんど同じやり方をする所が出てきて、そこが成功するということである。
  それをマスコミは新しいビジネスモデルであるかのように報道するかもしれない。
  だが、全く新しい商売のやり方などと
いうものはめったに出てくるものではない。多くの新ビジネスモデルは、既存ビジネスモデルの順列の入れ替えか、皆が忘れてしまったデザインとなんら変わらない。
 
 
 
 
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