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(新聞切り抜き)
'04年3月3日付 繊研新聞1面より
巨大化するエレガンス市場  
プチゴージャス系も出て
「まだいける」
 
   OLを中心に広がるエレガンスファッションが、今年また新たな動きを見せている。ブームの始まりから5年になるが、市場はいぜん広がる一方だ。カジュアル要素の強いブランドも台頭してきて、百貨店やファッションビルはエレガンス系の集積を強めている。新進SPA(製造小売業)を含む新ブランドの進出も目覚しい。大きなトレンドの転換がない中、多くの企業がこのジャンルに突進しているといった様相だ。
 
  丸井はこの春、マルイシティ横浜の2、,3階に、新しいエレガンス系ブランドを導入した。〜
  −中略−
丸井のバイヤーは「(エレガンス系ブランドは)とにかく売り上げが大きい。OLの主力マーケットとしてまだ広げられる」と話す。プチゴージャス、クチュール感などをキーワードにしたカジュアル色の強いブランドの台東も刺激になっている。通勤にも着られるという意味で,“OKカジュアル”などと称されており、エレガンス系の幅も広がっている。2階は、これらが既存のDCブランドを侵食しているように見える。「雑誌が煽っていることもあり、こうしたブランドがあれば、客が足を運んでくれる」とバイヤー。活性化のスパイラルはまだ続く、ということだろう。
  エレガンスブランド集積の動きは、心斎橋オーパ、広島パルコをはじめ全国のファッションビル、百貨店にも広がっている。〜
  ―中略―
ティーンを含むヤングを相手にしてきたカジュアルブランドの転向も目立つ。秋に向けて、エレガンス、
セクシーを盛り込んだセレクト型の新業態(ブランド)の開発が相次いでいる。
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆
読紙感想文
 
  バブルです。もう一度言います。バブルです。
 
  作っていないものは売れません。仕入れていないものは売れません。売り場がないものは売れません。たくさん売れたということは、たくさん作ったということです。たくさん仕入れたということです。たくさんの売り場で売ったということです。商品が止まるまではそうです。商品が止まっていなければ、市場の大きさは、実需ではなくて仮需でほぼ決まります。市場規模が、仮需と大きく違ってくるのは、並べたものが動かなくなってからです。
 
  プロは生活がかかっていますから安心を求めます。欲よりも安心が優先しています。仮需の大きさは安心の大きさでほぼ決まります。安心の大きさは同じ経験の繰り返し
―――――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ    

−流行記事 2段目−
で決まります。また売れた、またまた売れた、またまたまた売れた。まだ売れる、まだまだ売れる、まだまだまだ売れる。これが市場をパンパンに膨らませます。つまり、仮需はその瞬間の実需に反応しているのではなくて、それまでの実需の累積に反応しています。
 
  実需と仮需の関係は正弦関数(サインカーブ)の積分に似ています。ピークのところでスタートし、マイナスに変わるタイミングでピークになります。
 
  仮需の側から実需を見れば、正弦関数の微分に似ています。仮需が膨らみ始めたあたりが実需のピークです。仮需が膨らみきったところで流行は終わりです。肥満体の市場は縮むしかありません。そのとき多くの血が流れます。
 
  だからといって、流行が正弦関数だと言っているわけではありません。実需と仮需の関係が、その微分積分の関係に良く似ているというだけです。
 
  雨が3日も降り続いたのなら、そろ
 
そろ晴れるだろうと考えるべきです。でも人間は実際にそういう経験をすると、4日目も雨だと思ってしまいます。一昨日は雨で、昨日も土砂降り、今日もざんざ降りというときに、明日の晴天を想像することは難しくなっています。とくにその判断にリスクを感じているときはなおさらそうなります。
 
  仮需が膨らんでいるときは、ある特定の個人だけが強気なのではなくて、みんなが強気です。マスコミも不動産屋も、供給側に属する人間はみんな強気です。それが見かけの数字を押し上げます。
 
  マスコミがあおれば、そうしなかった場合よりも売り上げは上がります。売り場が増えればそうしなかった場合よりも総売り上げは上がります。出店の条件がユルユルなら、売れ方が同じでも利益は増えます。集団としての思惑の強さが、実際よりも数字を大きくします。それで、消費者が引き始めているのが見えなくなります。
 
  株の差益狙いや土地ころがしが激しすぎると、実需がわからなくなるのに
似ています。  
 
  現在の太陽の位置が、数時間前より低かったのなら、今は午後です。もうすぐ夜が来ます。
 
  「カジュアル色の強いブランドの台頭」以前はコテコテエレガンスが人気でした。カジュアル色の強いエレガンスはコテコテエレガンスよりエレガンス度は下です。そういうものが売れ始めた時点で、エレガンスは午後だったことになります。今は、そうなってからだいぶ時間がたっています。
 
  バブル時代には、当時の出来事は、何でも株価や地価の上昇を正当化するのに使われました。今も同じです。冷静に考えれば終わりを示唆する指標までも永遠を保障するかのように扱われています。
 
  これまでのブームの長さはこれからの保障にはなりません。流行は、子供が砂場でやる棒倒しのようなもので、後になればなるほどリスクが増していきます。棒がいつか倒れることは確実なのですから、長生きすればするほど
―――――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ   

−流行記事 3段目−
死亡率が上がっていきます。  
 
  過去のエレガンスの流行に終わりがあったように、今回も終わりがあります。それが今です。
 
  だからといって頭を抱えることはありません。流行には必ず逆があります。何かが落ちれば、その逆が上がります。エレガンスが終わりということはその逆が復活ということです。消費者の行動には惰性がありますし、仮需がそれをさらに遅く見せていますから、エレガンスが落ちたとみんなが気付いた時は、その逆はとっくに復活しています。
  消費者行動の惰性を取っ払って、魅力で考えれば、今はすでにカジュアルの全盛期です。
 
この文04年3月13日記、3月22日プチ加筆
 
 
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(^^♪(^^♪ちょっと脱線(^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。このまえ読んだ新聞に、ホブソンズの話が載っていました。このアイスクリームショップの1号店がオープンしたのが85年ですから、20年近く前になります。当時を懐かしく思い出しました。
 
  それはいいのですが、この店を「元祖行列店」と記事で紹介していたのには驚きました。なんでも、行列ができるように仕掛けたのは当時の社長で、売り場を狭くしたり、有名モデルクラブの女性を店員に使ったりと、いろいろ手を打ったそうです。
 
  でもこれはおかしい。最初に行列で有名になったアイスクリームショップは、ホブソンズよりも先にオープンしていたハーゲンダッツのはずです。当時のマスコミはそう報道していましたし、私自身も並んだ記憶があります。
 
  ハーゲンダッツの1号店は南青山3丁目の交差点の角にあって、オープン直後から行列ができていました。        
 
  当時の職場が近所だったものですから、仕事の帰りに同僚とよく寄りました。私は甘党ではないんですが、みんなでワイワイガヤガヤ言いながら順番を待ちました。当時はそれがかっこよかったわけです。
 
  でもこの記事では、ホブソンズが行列を仕掛けたのは、ハーゲンダッツの逆を突くためだと言っています。まだそれほど古い話ではないのに、もう、記録がおかしくなっています。
 
  でも、流行の記録って、こういうのが結構多いんですよ。このごろの考古学者のようにお人好しだと、この仕事は勤まりません。
 
  わたしは原則として、流行仕掛け人が言う、私はこう仕掛けましたという話はほとんど信用していません。うそや誤りがあまりにも多いからです。
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
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−流行記事 4段目−
(新聞切り抜き)
'03年12月18日付 繊研新聞8面より

 
   新興メーカーの中で事業の見直し、再構築が進んでいる。
  ブランドを絞り込んで人材を集中するケース、固定費を下げるため事務所を移転したり、ショップを閉店する例も目立つ。東京・原宿のカジュアルショップはオープンから3ヵ月で路面店を閉めた。アパレルからの撤退を検討中の企業、すでに会社解散を決意して取引先に通知を郵送した会社もある。人口減、小遣い減が響くヤング市場で動きが激しい。
  多くの企業が危機にさらされている。確かに市況は厳しい。が、身軽さゆえに環境の変化に柔軟に対応し、その中でも個性を武器にできるのが新興メーカーの強みだ。
−以降略−
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読紙感想文
 
  この記事にもありますが、新興メーカーが大手に勝っているのは個性の強さです。
 
  ところが、ここ数年それが強みではなくなりました。商品やブランドの個性を消費者が評価してくれないのです。個性にお金を払ってくれないのです。
 
  個性が強いということは、支持する消費者の幅を狭めるという欠点があります。そのかわり熱烈な支持者を得やすいという長所があります。長所と欠点のどちらが強く出るかというと、それは時期(時代)によって違います。最近は欠点の方が大きくなっていました。
 
  隙間だと思ってやってみたら、支持者がたくさんいて隙間じゃなかった、結構広かった、しかも客の支持が半端じゃなかった、熱烈だた、…などという時なら、新興メーカーのビジネスは楽ができます。たとえ、やっぱり隙間だったという場合でも、その隙間を評価して金を出してくれる人がある程度いれば、大手でなければ採算にのります。
 
  私が知っている若者で、以前、ジーンズ1本に14万円払ったやつがいます。まわりのオジサンにアホかと言われていましたが、こういう「アホ」がある程度いれば、隙間のまんまであっても新興メーカーは飯が食えます。
 
  時代が変わって、そういう人達が消えてしまうと新興メーカーは、今までのままのやり方では会社がもたなくなります。やせ衰えた今までの場所でもがくか、古くて大きな企業が支配している縄張りに入り込むか、あきらめて市場から撤退するかです。
 
  そういう時期は、過去にも何回もありました。昔は、衣料品業界全体では成長が続いていましたから、新興メーカーに逆風が吹いているタイミングのことを「ナショナルブランドブーム」と言っていました。
 
  この頃は、どこの企業がいいかという競争ではなくて、どこが悪くないかという競争になりましたから、こういう言い方は
―――――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ    

−流行記事 5段目−
しなくなりましたが、大きいところと小さいところ、新しいところと古いところで、どっちが相対的に優位に立っているかでみると、昔のナショナルブランドブームの時代と似た状況になっています。
 
  別に新しくはないのですよ。今の新興メーカーが経験していることは、昔の新興メーカーも経験していることなんです。
 
  ですから、どういう対策をとれば生き残れるかも分かっているわけです。これをむしろチャンスととらえて飛躍するにはどうすればいいのかも分かっているはずです。昔の新興メーカーが全部実験してくれているのですから。
 
  昔の実験で分かっていることの1つが、適切な対策をすぐに取れるのは一部の企業だけだということです。ほかの大多数は、正しい対策に気がつくのが遅すぎるということです。
 
  はじめはなぜ苦戦するのかよく分かりません。それで、対策は今までの延長線上で対処しようとします。たくさんの間違いと失敗をしてから時代の
変化を認識します。他所から正しい対策の成功事例が出てから、それをまねするのですが、そのころには、時代が次の段階に入っていますので、その正解は効果が思うほど上がりません。遅すぎる場合は逆効果になってしまいます。
 
  それともう一つ、過去の同じような時期の経験で分かっていることがあります。新興メーカーにとって順風の時が長く続かなかったように、逆風の時も長くは続かないということです。
 
  今回も同じです。次の新興メーカーの時代は目の前まで来ています。そのとき、前回のヒーローの多くは、反省と改革をやりすぎていますから、うまく次の波に乗れません。これも、過去の経験で分かっていることです。
 
  この文04年4月30日記
 
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(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。4月の最後の土曜日に、女房の両親が孫の顔を見に来ました。
 
  まだ5月人形やコイノボリを出していなかったもので、当日の朝あわてて飾りました。
 
  おじいちゃんおばあちゃんが来たのは、飾り終わってからなので滑り込みセーフだったんですが、出したばかりなので、コイノボリにたたみじわがついていました。
 
  ばれたかなァ
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
    
       
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−流行記事 6段目−
(新聞切り抜き)
'03年12月16日付 繊研新聞3面より
クロスカンパニー
「イーハイフンワールドギャラリー」
月間売上高が2.5倍
海外生産で低価格、高品質

   ヤングカジュアルウエア製造小売り・卸、クロスカンパニー(本社岡山市、石川康晴社長)の「イーハイフンワールトギャラリー」が今秋以降、大幅に売り上げを伸ばしている。直営5店の売上高は前年同期比で2.5倍ペース。04年1月期の全社売上目標は28億円で、ブランド単体では5億円を見込んでいる。
 ―中略―
   同ブランドは96年に発売、英国調のストリートカジュアルスタイルを打ち出してきた。東京・原宿と台場、札幌、岡山、福岡に直営5店と仙台にFC1店を持ち、卸も行っている。
  秋以降の好業績は、ブランド戦略の見直しによる。対象をファッション
フリークのピュアヤングに絞込み、ロープライス・ハイクオリティで市場トレンドにすばやく対応する商品作りをめざした。
  低価格を実現するため、中国などで海外生産を始めた。国内の協力工場には売り上げを伸ばすために負担を分け合うことを要請した。品質を維持しながら価格を下げるためには1っぴん当たりの利益を圧縮せざるをえず、双方に負担が生じるが、売り上げを伸ばせば利益額は増加すると工場側も承諾した。
  今秋冬物はニットを九千八百円から800円に、パンツでは1万800円から7800円に下げることができた。
 −以後略−
 
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆
それとは逆に、短期的にせつな的に物事を見る時期もあります。この時期を「キリギリス」と言います。アリとキリギリスは変わりばんこに流行しています。
 
  長期的に物事を見るアリのタイミングでは、消費者の価格感度が高くなります。それで、価格を下げると商品が大量に売れます。
 
  ただ、下げる前より多いだけだったら、これ当たり前ですlね。大事なのは、どれだけ多いかです。
 
  価格を落とせば、一品あたりの利益は下がりますから、そのマイナスをカバーしてなおプラスが残るくらいにたくさん売れないと、下げたかいがありません。粗利率を減らして、関連業者と交渉して、価格を下げても利益が残るように仕組みを工夫して、…といろいろやったのに売り上げが1−2割しか増えないのではどうしようもありません。骨折り損のくたびれ儲けどころか、泣きっ面に蜂です。
 
  もし売り上げが全く増えなかったら、
読紙感想文
 
  消費者が長期的に計画的に物事を見る時期があります。それを私は「アリ」と言っています。
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−流行記事 7段目−
こりゃ悲惨です。
 
  そういうひどい事例が数年前にたくさん出ました。多くの人が安売りで痛い目にあいました。
 
  それで、マスコミもコンサルタントも、安売りはだめよ、身の破滅よと、みんな同じことを言うようになりました。
 
  でもね、それ以前はデフレだなんだと騒いでいたんですよ。何で騒いだかというと、高めに価格を設定したらぜんぜん売れなかった、安く価格を抑えたら爆発的に売れて儲かったという事例が山ほどあったからです。
 
  長期間を通して考えれば、高く売るのも安く売るのも両方ありなので、どちらをやるべきかはその時々のTPO(時、場所、場合)しだいです。
 
  で、やるべき時期の話に限定しますと、今は、安売りOKのタイミングにすでに入っています。ヤングはとっくにOKですし、アダルトもこれからはOKです。
 
  経営者、特に大手や中堅企業の
経営者は、そのことに気がついていませんから、今動けばブッチギリになれます。
 
この文04年5月7日記

 
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(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。私は子供のころ作文が苦手でした。特に読書感想文がだめでした。息子は私と同じで、読書感想文が苦手です。1枚目の原稿用紙の半分をすぎたあたりで書くことが無くなってしまうタイプです。
  下の娘に「おまえはどうなんだ」と聞いたら、「私は好きよ。でも、読書感想文の得意な人は嘘つきなんだよね。」と言っていました。「読書をしているときは、一生懸命活字を目で追っているんだから、感想なんかあるはずがない。そのない感想を書くんだから、読書感想文の得意なやつは嘘つきだ」と、私が言ったことがあるもんですから、先回りして言われてしまいました。
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
    
       
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−流行記事 8段目−
(新聞切り抜き)
'03年11月5日付 繊研新聞1面より
うまさが勝つ  
物作りで不況乗り切れ◆1
値ごろ、旬支える
  物作りのチカラ

対象は“ビンボーOL”

   市場が冷え込む中でも元気な企業群はある。多くは東京・千駄ヶ谷を拠点とするレディスメーカーやOEM(相手先ブランドによる生産)で成長したヤング向け単品メーカーだ。武器は物作りのうまさ。これまでの物作りの蓄積を背景に、販売機会ロスをなくす仕組みを作り上げて業績を伸ばしている。キーワードは「速く」「安く」「うまい」。不況を泳ぎ切るビジネス手法の一つといえそうだ。
  清貧生活●●●
―中略―
  9月、東京・下北沢にオープンした「フォーメンガール」(フォーメンガール)
は告知なしで1日の販売点数は300点、平日40万円を売り上げる。商品は2900〜5900円。中心顧客は10代後半から20代のヤング、OL、キャリア層。平日の夕方から売り上げ比率が高く、速い、安い、うまいの流れを支持しているのは“ビンボーOL”たちだ。
 今、彼女たちの中でビンボーは生活や消費のトレンドだ。収入減による清貧生活で指名買いの高級ブランドはごく一握り、圧倒的なブランドは“お買い得感”が決め手。デザインも「流行に遅れていなければいい」「着こなしが難しくない」を優先する。特定の場しか着られない商品は値ごろ感がないと映る。
−以降略−
 
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆
のときは、ものの見方が短期的になり、セツナ主義になります。
 
  去年(03年)はシニア市場がまだキリギリスでした。それでこの市場では不要不急の贅沢品が売れました。不要不急の贅沢品は、なくても困らないがあった方がうれしい商品です。それでセツナ主義の時に売れます。先のことを考えないのであれば、ケチケチすることはないので、今が楽しければいいのですから買っってしまいます。
 
  大企業のトップの人達もキリギリスでしたから、金の使い方が去年は粗くなりました。とは言っても数年前に比べればどうだということで、バブル時代みたいなことをやったわけではないんですけどね。
 
  去年はキリギリスでしたが、それは、かなり年配の消費者の話です。ヤングではすでに、キリギリスとは逆のアリの時期に突入していました。それで、ヤングは先のことを考えて、節約するようになりました。高額品を避けてチープなものを選好するようになり、
読紙感想文
  抽象的概念の流行に[アリ⇔キリギリス」というのがあります。アリとキリギリスは変わりばんこに流行します。アリの時期は、物事を長期的計画的にみるようになります。キリギリス
―――――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ   

−流行記事 9段目−
着る機会の少ないものを避けて、いつでも着れて元が取れるものを好むようになりました。
  ヤングの価格感度が上がったことは過去に何度もあります。だからといって毎回同じものが復活するわけではありません。今回の「アリ」と以前の「アリ」では、同時に重なって流行しているものが必ずしも同じではないからです。
  去年のヤングは「同一視」や「常経験」、「自由」の流行とも一致していました。それで、品質や鮮度、デザイン、格式をある程度犠牲にしても、値頃感があればお客さんがつきました。
 
  アリの流行はこれからも続きますが、一緒に重なってハヤる流行要因が今までとは違ってきますので、同じチープでも、人気の服や店の傾向が今までとは変わります。
 
この文04年1月30日記
 
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(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。私がコンサルタント先で話すことの8割は以前の繰り返しです。同じ内容を説明の仕方を変えながら繰り返しています。そうじゃないと言いっぱなし、聞きっぱなしになっちゃうんです。
 
  私が何を話しても、その方の行動が変わらなければコンサルティングの価値はありませんから。じっさいの判断、決断にお役に立つためには、テレビコマーシャルのように繰り返す必要があります。
 
  本を読んで感銘を受けても、6、7回繰りかえして読まなければ、その内容が自分の行動に影響を与えるようにはならない、…と言っている人がいましたが、それは本だけじゃなくて、人の話でも同じです。
 
  その人が経験した命がけの実体験なら、1回で十分ですが、本にしろ話にしろしょせん言葉ですから、なるほどと思った程度では体が動かないんです。
 
 
  することが変わらなかったとしても、話を聞くだけで心がやすまるというトランキライザーの役目は残っていますが、そういう宗教家みたいな役目が得意な癒し系のコンサルタントは大勢いますので、なにも私である必要はありません。
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
 
 
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       モード工学代表 森田洋一
ご意見ご感想などございましたらお教えください。メールには代表の森田洋一が全部目を通しています.気楽にどうぞ。
mm@e−yosoku.com 
  
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−流行記事 10段目−
(新聞切り抜き)
繊研新聞03年10月31日付1面
め・て・みみ
 
  「カシミヤのコシヒカリを作ればいい」という声を耳にした。ファーストリティリング「ユニクロ」が5900円のカシミヤ100%のセーターを発売し始めたことに対する意見だ▼過去、カシミヤ製品は、ほぼ4、5年置きに「低価格品」が出回り注目を浴びている。消費者にとっては歓迎すべきことでも、カシミヤの高級イメージを守りたい業者にとってはあまり好ましくないので話題になってきた▼
―以後略―
 
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆
  重いものが新鮮で魅力的にみえると きと軽いものが新鮮で魅力的にみえるときがあります。商品の重さ、軽さに流行があって、それが一定の周期で交互に繰り返しています。それとカシミヤの人気が強い相関を持つのです。
 
  カシミヤのライバルはウールです。カシミヤとウールでは性質にいくつかの違いがありますが、最も違っているのが重さです。カシミヤコートはウールコートより軽いですし、カシミヤセーターもウールのセーターより軽いです。それで、軽い方が新鮮で魅力的に見える時期になると、カシミヤ製品は値段が通るようになり、販売スピードも上昇します。その状態が続くと、供給側の人間がだんだん強気になるので、流通量が増えてきます。価格は落ちてきますが、それに逆らわないで安めに価格を設定すると大量にさばくことができます。それでさらに強気になります。
 
  もっと安くすればもっと大量にさばける、大量にさばくことが可能なら、もっと安くしても儲かる、…と考えて仕掛ける
人間が出てきます。これは初めは成功しますが、最後はババをつかむことになります。軽さの流行がどん底になると、消費者が安くてもそっぽを向くようになるからです。嫌っているのですから安くても買いません。
 
  しばらくして軽い方が新鮮で魅力的にみえる時期がくると、カシミヤ製品は高くても売れるようになり、販売スピードも回復します。次のサイクルのスタートです。
 
  前回ババをつかんでしまい、気絶しそうになるほどの往復ピンタをくらった人は弱気になっています。それで次の「低価格品」を仕掛ける人は、前回はそれほど痛い目にあわなかったか、参加していなかった人になります。役者は変わりますが演目は前回と変わりません。
 
  以上の話は、カシミヤ製品の流行を単純化、模式化しています。カシミヤ製品の特徴は軽さだけではありませんから、現実はもう少し複雑です。
 
  単純な流行サイクルを持っているの
    
読紙感想文
  カシミヤの低価格品が4、5年置きに出回り注目を浴びるのは偶然ではありません。それがほぼ等間隔で起こるのは理由があります。 
―――10――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ    

−流行記事 11段目−
は、カシミヤ製品ではなくて、その性質である軽さの方です。
 
  ユニクロは、今回、低価格カシミヤセーターを仕掛けましたが、4、5年前にも軽い素材の「低価格品」を仕掛けています。フリースジャケットです。98年の冬から99年の秋冬にかけて、フリースを安く売り、ユニクロ現象としてマスコミが大騒ぎをしました。
 
  ということは、ユニクロがこれからも今までどおり元気なら、今から4、5年後にも低価格品を大量に仕掛けていて、その製品の特徴は軽いことであろうと予測できます。
 
  もしあなたがその製品を、4、5年後に売るのではなくて、3年後に、4、5年後に売れる価格で売ったならどうなるでしょうか。ユニクロがやるであろうことを、それより1、2年早くやるのです。
 
  パッと売れて一瞬のうちに店頭から消えます。
 
  店頭から消えないように大量に供給したらどうなるでしょうか。
 
  その製品は大爆発を起こし、あなたの店に、あなたのブランドにノレンができます。○○だったら□□と言われるようになります。ロングセラーのできあがりです。他で売れなくなったあとも、少なくとも他所よりは売れるようになります。
 
  では、その大爆発する素材は具体的にはなんでしょうか。それは、この重さの流行の循環だけでは分かりません。軽い素材といったっていろいろありますよね。その軽い素材群の中での優劣は他の流行要因が、3年後にどうなっているかで決まります。
 
  でもどんな素材であれ、軽い素材でありさえすれば、超ヒット素材コンテストの一次審査はパスしているわけですから。甲子園までは行けているわけですから、それが分かっているだけで、仕掛ける素材のリスクが激減します。 
   
この文、03年12月22日記
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(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪
 

  森田洋一です。昔の私は、流行に関心がありませんでした。というより、関心を持たないようにしていました。流行は感性だなんていう話を聞かされていましたから、そんな怪しげなものには近づかないようにしようと思っていました。
 
  私は、ねっからの理系頭なものですから、感性だセンスだと言われるとすぐにあやしいと疑ってしまいます。感性やセンスが嫌いってわけじゃないんですけど、それに逃げて、理論を放棄するのがいやなのです。
 
  でも流行が理詰めで解けると分かったとき、ファッションはためらわずに熱中できるものになりました。一時は夢ん中でも理論を考えていました。
 
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪  

 
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