商いのヒント     モード工学代表 森田洋一       トップページへもどる

−問屋新聞 1段目−
重い生地ほど粗利がとれる
この原稿を書いている今、私が着ている肌着はユニクロのヒートテックインナーである。これを読んでいるあなたもやはりヒートテック調の肌着を着ているかもしれない。
 
このヒートテックが大ヒットしたのが07年と08年の秋であった。秋冬と言いたいところであるが欠品が大量発生したため冬には商品が無くなっていた。
 
当時ユニクロは、ヒートテックつまり発熱を
   
売り込んでいたが、発熱がこの肌着をヒットさせたわけではない。ヒートテックという名の機能性には、それが無くてもヒットしたであろう商品をより成功に導く力があったが、売れないものを売る能力はなかった。
 
ヒットした最大の理由は軽くて柔らかい素材感である。当時、レーヨン混肌着は他社製のものであってもヒットしていたし、レーヨン混でなくても、肌着でなくても、軽くて柔らかければ売れていた。今見ると安物にしか見えないテロテロ薄地のTシャツや表地ナイロンのダウンが当時は高い値段で売られていた。シリコン製調理器具やクリスビードーナッツのように、衣料品でなくても「軽くて柔らかい」ものはヒットしていた。
   
この「軽くて柔らかい」流行が09年ごろに「軽くて硬い」に変わった。そのため、春夏を代表する商品がTシャツからシャツブラウスになった。アウトドア向け合繊高密度織物ブームもこのころからである。もちろん全てが09年にいきなり変わったわけではない。消費者の購買行動には惰性がある。老若男女の違いでも時差がある。だがそれを無視して乱暴に断定すればこのときになる。
 
では2013年はどうなるだろうか。ずばり「重くて硬い」である。ていうか、ヤングの店では去年の時点ですでにそうなっている。これも先ほどと同じように、消費者の行動には惰性があるし、老若男女の違いでも時差があるが、今年はほとんどの店で「重くて硬い」が大当たりになる。
 
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−問屋新聞 2段目−
 
「重くて硬い」が人気の今春夏は今までより生地が厚くなる。チノやシャンブレーを買っていた人はデニムを買うようになる。デニムを買っていた人はヘビーオンスデニムを買うようになる。ランダムの流行が来ているので、ケミカルウォッシュなどもいい。Tシャツなどのカットソーであっても、糸が高密度に詰まった硬めの厚地ならヒットできる。
 
秋冬はウールがヒットする。ウールならそれほど硬くなくても大丈夫である。
 
シャンプーの広告に出てくる髪の毛の拡大写真を思い出して欲しい。表面にウロコのようなものがあって、傷んだ髪ではそれが開いている。ウールも動物性繊維であるから髪の毛同様にウロコがある。いろいろ加工してあるのでやはり開いている。
   
そのギザギザが強い摩擦を生むのでウールは生地がネトネトしている。このネトネト感を硬さと同様に考えて欲しい。だからウールはそれほど硬くなくても「硬い」のだ。これと逆が長繊維の合繊である。合繊は軸線方向がツルツルである。それで生地がサラサラしている。このサラサラは柔らかいと同じに考えて欲しい。だから、合繊はガチガチに硬くないと「硬い」ほうの素材に入らない。そのてんでいうと、「重くて硬い」が大当たりの今年は合繊よりも天然繊維の方が有利である。ただ間違えないで欲しい。「重くて硬くてネトネト」していれば合繊だろうとセーフだし。「軽くて柔らかくてサラサラ」していれば天然繊維だってアウトである。
 
今年は高重心の流行と重なっているので、重い素材はボトムスよりトップスで挑戦した方が成功率が高い。
   
シーズンの初めの消費者は前年の思い出で物を買う。あなたの所が、流行を受け入れるタイミングが遅い客なら、春夏秋冬それぞれの立ち上がりよりも、シーズンが本格化してから重くした方がうまくいく。
(モード工学代表 森田洋一)
 
(横山町問屋新聞13年02月25日付に寄稿)
 
 
この話は、問屋新聞の読者の偏りを考えて、話を高年齢向け小売店主に絞っている。今年の若者向け店の売れ筋は「重くて硬い」ではない。次の段階に進んでいる。
 

【この文、13年04月01日転載】
 
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−問屋新聞 3段目−
(横山町問屋新聞12年08月13日付に寄稿)
ファッションだから
予測できる
今春夏の紳士シャツ市場で、多くの人がシーズン前に期待したのが「クールビズ」であった。とくにその期待の中心となったのが半袖ドスシャツである。
 
去年は震災後のクールビズ特需もあり、各メーカー・小売店とも、半袖の売り上げを大きく伸ばした。その特需に気をよくしたメーカーは強気で作り込んだ。ところが今年は、肝心の店頭でそれが動かない。半袖は予想に反して売れなかったのだ。メーカーはあわてて処分にはしったが、期待外れのままシーズンを終えそうである。

 
だが、半袖ドレスシャツの需要予測を
   
メーカーが大きく間違えたのは今に始まったことではない。昔、エアコンが普及する前は、夏物ドレスシャツに占める半袖の比率は今よりはるかに大きかった。メーカーにとって需要予測は死活問題で、その重要性は今より高かった。でも間違えてばかりいた。
 
とつぜん半袖が大ヒットすると、メーカーはあわてた。小売店の追加要求に応えられない。しょうがないのでせっかく作った長袖シャツの袖を切>って半袖に直して小売店に納めた。ぜんぜん売れない年にもメーカーはあわてた。長袖を半袖に作り替えることはできるが、半袖を長袖にするのは無理。処分しきれなかった半袖は、そのまま在庫になった。
 
天候のせいではない。半袖がヒットした夏がすべて猛暑だったわけではない。冷夏だったこともある。
   
猛暑だったのにもかかわらず半袖が余りぎみだった年もある。夏が暑ければ、長袖より半袖の方が売りやすい。夏が涼しければ、例年より半袖が売りにくい。当たり前である。これが売れる理由の100%であれば需要予測は気象庁にやってもらえばいいことになる。ところが実際には、夏の暑さと半袖需要が逆転している年がある。
 
夏の半袖需要を決める最大の要因はファッションである。半袖が長袖より新鮮に見える年は、冷夏であっても半袖の値が通るし数も売れる。猛暑だったらもっと売れる。長袖の方が新鮮な夏は、猛暑であっても半袖の値崩れが避けられない。冷夏だった場合に比べれば処分がしやすいだけである。
 
これは、消費者が買うときファッションを意識しているということを必ずしも意味しない。
 
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−問屋新聞 4段目−
あなたが男でサラリーマンの経験があるのなら分かるはずだ。夏物ドレスシャツを買うときに、長袖を買うか半袖にするかをファッションで決めていますと言う人は少ない。消費者は、購買理由をファッションで説明することはあまりない。とくにオジサン市場はそうだ。でも、実際の行動から逆算すると、それはファッションで説明できるのだ。
 
話を戻すと、天候はファッションを作らないが、そのファッションの市場規模には影響を与える。天候のせいでファッションがより大型化することがある。逆に、天候のせいでファッションが小型化することもある。
 
東北の大地震も同じである。去年はもともと例年より半袖ドレスシャツが売れる年だったのである。ファッションサイクルからいって、地震がなかったとしても売れることがはじめから
   
確定していた年だったのである。そこに、地震が発生した。それは、半袖というファッションを大型化するのにプラスにはたらいた。ところが、多くの人が、地震とその後の節電が売れた主因であると勘違いした。なにしろクールビズは正義なのであるから翌年も続くと思った。それが、今年の大失敗をまねいた。
 
天気の長期予報は当たるとは限らない。まして地震の予知なんてもっと無理。それに比べればファッションの予測の方がはるかに簡単である。紳士ドレスシャツでさえ、ヒットの予測で最重要なのはファッションなのであるから、ファッション商品はファッションオンリーで良い。その事を知っているあなたは、ライバル店よりはるかに有利な位置にいる。
 
ちなみに、ビジネス向けドレスシャツで次に半袖がヒットするのは再来年の2014年である。
   
本当のヤングメンズに限定すれば来年の2013年には復活している。
        (モード工学代表 森田洋一)

 
【この文、12年10月04日転載】
 
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−問屋新聞 5段目−
(横山町問屋新聞12年04月25日付に寄稿)
 
旬のコンサルタントによるリレーコラム
商いのヒント
 
2012年、夏と秋冬の
ヒットカラー
 
シーズンに入る前、今春夏物で一番期待されていた色は「シャーベットカラー」であった。欧米が期待していたヒットカラーが白っぽかったので、それに引きずられて「シャーベット」と言ったが、日本で付けられた実際の色はそれより濃く、ようするにパステルカラーである。
 
シーズンインしてみると、パステルを中心とした色物が動いたのは立ち上がりだけで、
   
すぐにベージュや白などのナチュラルカラーに変わった。だがこのベージュ系もすでに新しい色ではない。
 
私の娘は高校生であるが、明るめのナチュラルカラーを好んでそればっかりを買ったのは去年の秋冬である。また、二十歳前後のオシャレな女性のあいだで肌色ストッキングがヒットしたのも去年だ。売れたものは当然増産するし、種類も増える。だからメーカーの売り上げ数字は今年の方が大きいが、ヤングを熱中させた時期でみると、肌色ストッキングは今年ではなくて去年の商品である。
 
若い人にとってすでに古い色になったベージュ系は、ヤング市場ではもうすぐ止まる。これからは支持する年齢が上がって、ミセスなど遅い市場のヒットカラーになる。盛夏物でベージュにかわって若い女性が支持するのはサマーダーク
   
である。黒もいい。ナチュラルカラーも黒に近ければ動く。
 
この黒系の流行は秋も続く。秋冬は売れて当たり前の色なので、ヒットしているという感覚は夏より弱くなるが、それだけに量が期待できるし、支持する年齢層も広くなる。
 
アダルトメンズのような遅めの店では、ヤングではすでに飽きられたナチュラルカラーが売れ筋になる。秋なのでアースカラーが中心だろう。ヤングにとっての秋のナチュラルカラーは春物でのパステルカラーのような立場である。だから若い方でも立ち上がりだけに限れば春のパステルのように動く。
 
若い人を相手にする店では、ダークだけでは冬までは保たない。新しい色が必要になる。次に来る新色はビビッドカラーである。
 
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−問屋新聞 6段目−
シーズンの途中から少しずつさしていくといい。シーズンが深まるにつれて店内のビビッドの比率を増やしていく。ビビッドアイテムの量だけでなく、一アイテムの配色でもビビッドを増やすと新鮮だ。黒とビビッドの切替えなどが売れる。ダークだけのアイテムでも色味の強い鮮明寄りが新鮮になる。
 
ミセスでも比較的若ければ、差し色ビビッドをやっていい。比率を間違えなければ大丈夫である。それだけで店が新しくみえる。
 
ここまでの話はヒットカラーだけでみた流行である。色だけで、それもトーンだけで流行を観察するとこうなりますよということで、付ける色のアイテムごとの違いは区別していない。たとえば、防寒物のコートの場合、クイックレスポンスが難しいので、ヒットカラーに気がついてもメーカーはすぐには変えられない。
   
単価も高いので消費者も保守的である。だから、これまでの話に出てきた色よりも古くてもたいていはセーフだ。最先端でなくても、ライバル店のコートの色より自分の店が新しければいいのだ。他のアイテムでも程度の違いはあるが同じことが言える。
 
ここに出てくる色は店の立地の違いも考えていない。あなたの店がファッションビルの中にあって、競合店が何十軒もあるのなら、私の言ったとおりの色100%がベストだが、そうでないのなら、あなたの店を支持する人が持っているさまざまなこだわりを無視できない。服種のこだわり、性別のこだわり、年齢のこだわり、季節のこだわりなどなどだ。その場合でも、本命カラーを知っていればライバル店に勝つことができる。
 
(モード工学代表 森田洋一) 
   
 
(^^♪(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪(^^♪
 
私がコンサルしていてワクワクする仕事といえば、やっぱりデザインの予測です。結果が数字になってすぐに出ますから。 売り上げが2倍になったとか、爆発的に売れたとかの報告を聞くと、 私もうれしくなります。
でも、企業のトップの方が関心を持たれるのは、やっぱり抽象的概念の流行です。トップだからデザインは関係ないということにはならないんですが、デザインが分かることを初めからあきらめている場合が多いんです。
 
 (^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
 
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−問屋新聞 7段目−
(横山町問屋新聞11年11月28日付に寄稿)
分離デザインがヒットする
 
今春夏、紳士服のドレスシャツに異変が起こった。ボタンホールのステッチ糸に色が付いたのだ。その色糸付きシャツを着るビジネスマンが月を追うごとに増えていった。
 
ビジネス用ドレスシャツは白が多いが、カラーシャツを含めて縫い糸には同じ色が使われる。これが基本であり、現実に圧倒的に多い。つまり、ドレスシャツのボタンホールに本体と違う色糸を使うことはタブーなのだ。
 
弱いタブーが働いているデザインは流行から外れると市場がほとんどゼロにまで縮小する。市場から消えて無くなったはずのデザインを
   
あちこちで見るようになれば、流行しているとだれにも分かる。
 
わたしは色糸ステッチのような流行を「単離」と呼んでいる。単離とは商品がパーツごとにバラバラに分解される流行である。分解されていなくてもパーツの違いを強調したデザインにすればやはり単離である。ステッチ糸は本体の布地と一体化させてなるべく目立たさないのが基本であるから、色を付けて分離独立を主張させると単離のデザインになる。
 
単離の流行が本格化するのはこれからである。ドレスシャツでもこれからは今までよりも過激な単離デザインが売れるようになる。襟や袖口、ポケット、ボタン、前立、パッチ、裏地などで、色、柄、素材を切り替えたものが売れるし値段も通る。ビジネスマン向けだと表現も市場占有率も限界があるが、カジュアル用途なら
   
さらにマスで売れる。大胆な切り替えもOKだ。これは婦人でも同じである。普及の早さでみても、ピーク時の市場占有率でみても、デザインの大胆さでみても、レディスの方がメンズの上を行くはずだ。
 
アイテムの種類も関係ない。たとえばシューズでは、スニーカーの人気が落ちて革が復活してきているが、これは服地っぽい素材から靴っぽい素材への回帰であるから単離の流行である。ウエアからの分離独立を宣言しているのだ。靴は他のアイテムとの間だけでなくその内部でも分離独立運動が起きる。縫い糸はもちろん、レースひも、パイピング、靴底なども色違いや素材違いが増える。コンビが売れる。
 
プリントは、写実的な具象柄が落ちて抽象柄に人気が移る。写実的な柄は、それが描いている物と現実にあるアイテムが、見た人の
 
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−問屋新聞 8段目−
頭の中で混ざるので、分離独立の流行期には不利になる。
 
さてあなたの対策である。これまで説明したような単離アイテムがたくさん仕入れられたらハッピーであるが、売れる商品は足りない商品であるから難しい。だったら自分で作ればよい。店の内部を単離シフトさせるのだ。
 
分離独立は、それぞれのアイテムの間でも起きる。以前はトップとボトムが一体化したワンピースやコンビネゾン(つなぎ)がヒットしていた。これからはトップとボトムが分離独立してくるので単品のヒットが増える。それもコーディネートしすぎないほうがいい。店のボディに着せるとき、トップとボトム、アウターとインナーで色柄素材の大きく違うものを組み合わせよう。裏地がおしゃれならそれも見せよう。
小物も同じである。>店内も場所ごとに分離独立させよう。
   
プチ専門店をいくつも作るのだ。「赤コーナー」「青コーナー」と色でやってもいいし、「パンツコーナー」「ジャケットコーナー」とアイテムでもいい。「ガーリー」だ「ボーイッシュ」だと雰囲気で分けてもいい。とにかく混ぜないことだ。
 
各コーナーの間は、隙間をあけたり商品以外のものを置いたりして、それぞれが別な専門店であることをお客様に分からせよう。
 
(モード工学代表 森田洋一)

 
【この文、11年12月29日転載】
 
 
【関連ページ】 
非ウール 新機能に支持
   
 
    モード工学代表 森田洋一
 
ご意見ご感想などございましたらお教えください。メールには代表の森田洋一が全部目を通しています。気楽にどうぞ。
mm@e−yosoku.com
 
                                
 
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−問屋新聞 9段目−
(横山町問屋新聞11年07月13日付に寄稿)
 
個店専門店の時代が来ている
 
 
米国のSPA、フォーエバー21の1号店が2009年4月原宿に開店した。フォーエバー21は開店1カ月の客数が約43万人、推定売り上げが10億円であった。原宿の街にはフォーエバー21の黄色い袋を持った人があふれた。前年9月にスウェーデンのH&Mが日本に初出店したときもそうであったが、この黒船の襲来を、ファッション雑誌だけでなく一般誌、新聞からテレビまでが好意的に取り上げた。
 
当時多くのマスコミが、この低価格・短サイクル・それなり品質のファストファッションを新しいビジネスモデルであると勘違いしたが、それは
   
誤りである。
 
欧米のSPA(自社企画小売り)はギャップのように計画大量生産売り消し型が多い。それに対して日本のSPAは、商品回転率を上げられるので、家賃が高いこともあって、フォーエバー21タイプがもともと主流である。だから、このタイプを日本型SPAともいう。
 
簡単に日本型SPAの歴史をおさらいしておこう。第1回目のヒットは、80年代のバブル時代にファッション業界をリードした三愛・鈴丹・キャビンなどの専門店チェーンである。彼らは、売れ筋を見つけると、前もってラインを開けておいた協力工場ですばやく追加生産をした。売れた商品は止まるまで追加を続けた。他店の売れ筋も、気がついた時点で次々に投入していく。それを可能にするために縫製工場や生地屋には極端に短い納期を要求した。
   
まさにファストファッションである。
 
2回目は、オゾック・MKミッシェルクラン・インエ・イネドなどのブランドが活躍した90年代半ば、規模がより大きくなったがやり方は第1回目と同じである。
 
3回目は2000年代初めである。超低価格、それなり品質、それなり短サイクルの中国生産という手段を得たことで、日本型SPAはさらに広がった。大手や中堅のおもだったアパレルがこのタイプになった。そして今回のSPAブームが来た。
 
SPAの定義を「コピー商品を安く売る」とゆるめると、その歴史は三愛・鈴丹・キャビン時代よりもさらに昔にさかのぼることができる。流行は約7年のサイクルで循環している。
 
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−問屋新聞 10段目−
私は、SPAが有利になる流行を「同一視」と呼んでいる。同一視の時期の消費者は、デザインや品質に妥協する。だから、どこにでもありそうな商品でも立地がよくて安ければ売れてしまう。他人と同じものを欲しがり、個性や鮮度を求めない。そのため商品寿命が長くなる。
 
同一視と逆の流行が「対立視」である。デザインや品質に妥協できず、価値のあるものにはそれにふさわしい価格を払う。安くてもダサいと受けつけない。他人とかぶることを嫌い、個性と鮮度を求める。そのため商品寿命が短くなる。
 
同一視と対立視は3年半ずつの7年サイクルで循環している。現在は、あなたも気づいているように対立視である。対立視の時期は同質化した大型店やチェーン店よりも個性的な専門店の方が有利になる。現に、本来の定義どおりのセレクトショップには客が戻っている。
   
裏通りなどに新店がぞくぞくできている。
 
では、この個店専門店に有利な時代にあなたがとるべき対策をアドバイスしよう。
 
@ 仕入れる商品の種類を増やす。店頭在庫を減らす。速め速めに商品を入れ替える。商品力と商品量は逆比例する。
 
A 仕入れ先とそこへ通う回数を増やす。時間がかかっても元は取れる。
 
B 同じ物だからといっていつまでも店内の同じ所に置かない。商品の価格は統一しない。全部の品番に違う価格がついているのが理想である。
 
C 売れ筋コピー型のオリジナルは厳禁。大手のSPAが苦戦する時期に小さい店が真似を
   
てはいけない。
 
D 競合店とかぶる商品は極力減らす。
 
【この文、11年11月04日転載】
 
 
【関連ページ】 
原因も結果も同じ、だからやるべきことも同じ。
(理詰めのトレンド予測ウエブ版 第4章6節より)
 
フォーエバー21 開店1カ月
                               
 
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このページ作成 ’11年10月04日 最終更新13年04月25日