新聞記事で流行予測 [7]     トップページへもどる

(日経MJ09年11月13日付16面より3カ所抜粋) 
いつものパンプス、ブーツ風に
レッグウオーマー
 
足元ゴージャス
 1980年代のエアロビクス人気で流行した「レッグウオーマー」が若い女性の間で復活している。ルーズソックスのようにたるませてはくボリューム感のあるものが主流で、この冬は丸いボンボン飾りを付けたり、ロングブーツ風に長くしたりとバリエーションが増えているのが特徴だ。
レギンスやストッキングを製造販売するブロンドール(東京・渋谷)では働く女性に好評。『17℃バイブロンドールルミネ新宿1店』(東京・新宿)の町田綾店長は『パンプスだけでなく、ひざ下丈のブーツと合わせて流行のひざ上風にしてはく女性も多い』と話す。ブーツの上で折り返すスタイルも人気だ。

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読紙感想文
  物の上下方向のバランスに〔上比長・下比長〕という流行があります。上下を見比べたときに上が間延びして下が詰まって見えるのが上比長、上が詰まって下が間延びして見えるのが下比長です。これは約3年の周期で循環しています。つまり、上比長が優勢な時期が1.5年、下比長が優勢な時期が1.5年です。この3年周期は一定で、いつの時代時期にも伸び縮みしません。ですので、これからのファッション予測に使えます。
  私はこういう機械的に繰り返している流行(の原因)を循環要因と言っています。一つの流行現象には複数の循環要因が関係しています。また、一つの循環要因は複数の流行現象が関係しています。つまり、流行現象と循環要因の間には1対1の対応関係がありません。
  ファッションに循環があることは多くの人が直感的には理解していますが、その循環論でファッションを予測しようとすると失敗してしまうのは、流行現象そのものに循環があると考えるからです。
 
循環があるのは流行現象ではなくて、その原因の循環要因の方です。
  ファッションを予測するには、循環要因をもとに知りたい時期を予測して、その答えのベクトル(順列)をもとにその時点で起こる現象を知るという2段階の手続きを取る必要があります。
  レッグウオーマーを付けると、パンプス類でもブーツのように見えます。もちろん付け方にもよりますが、ほとんどの場合シルエットの最下部に位置するシューズが縦長に見えます。ですので、レッグウオーマーの流行は下比長と強い相関を持ちます。
  同じレッグウオーマーでも、ひざ上まで引き上げるとより下比長を強調できます。ブーツの上で折り返すと、レッグウオーマーがブーツの上に少しだけ顔をのぞかすことになるので、この比率が下比長になりますから、ブーツ単独より下比長を強調します。 (この文、00年01月07日記) 
【関連ページ】
理詰めのトレンド予測第3章4節
 
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−トレンド予測 2段目−
(日経MJ09年11月13日付15面中野栄子記者、もとは日経レストラン09年9月号) 
食ビジネス考
一律価格の安心感
 
明快な会計、
客単価上昇
 東京都調布市の『煮込みと串揚げ居酒屋 ぽくぽく』は、50品ある串揚げメニューの価格をすべて130円に統一した。同時に、20種類そろえている焼酎もグラス一杯480円均一に変えた。
  すると、約15万円だった3.3u当たりの月商が、約20万円に跳ね上がったという。2800円を想定していた平均客単価は3300円に上昇した。新海宗昭は『会計時に『思っていたより安かった』という声をかけてもらうことが増えた』と話す。
 
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読紙感想文
  価格を統一すると、支払額の計算が楽になるので客は安心して注文ができます。そのかわり価格が同じなのですから、単品ごとの違いがそれほど無いように見えます。品揃えが単調に見えます。
  同一視という循環要因(繰り返している流行の原因)があります。消費者が物事の共通点に関心を持ち評価する時期のことです。同一視のときには、細かい違いがあるということを消費者が評価しませんから、品揃えにバラエティーがあるように見えないということが、それほど欠点になりません。欠点どころか、商品に統一感ができるので、むしろ長所ですらあります。
  以前、店内のすべての商品に異なる価格を付けた小物ショップがヒットしたことがありました。小物店なのですから、店内の商品数は半端ではありません。そのすべてに違う価格が付いていました。当時のお客さんはそれを面倒がらずに新鮮だと受け止めました。店側は管理が大変だったと思いますが、その努力は報われていました。
  それは、同一視とは逆の「対立視」が支配的な時期だったからです。対立視とは物事の相違点に
 
関心を持ち評価する流行です。
  価格の付け方にも流行があります。均一価格が大当たりすることもあればバラバラ価格が大当たりすることもあります。今までの日本は同一視でした。それで均一価格が成功しやすくなっていました。
  現在は同一視の末期にあたります。これからは対立視が上がってきます。対立視になればバラバラ価格がトレンドになります。つまり、均一価格を採用したときの成功率が落ちる時期がやってきます。

 
 
 【この文、09年12月19日記】 
 
 
【関連ページ】
 
理詰めのトレンド予測ウエブ版 第4章の年表
 
 
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−トレンド予測 3段目−
(繊研新聞09年06月30日付より4カ所切抜き) 
「どうするものづくり
価格と価値を巡る攻防 A

アイテムを絞り
大ロットで」

[繊維商社の]「 豊島はレディス専門店チェーン向けのOEM (相手先ブランドによる製産) で、「今秋冬向け商談で例年はなかった工場の閑散期を使った生産の要請が増えている」と指摘する。
 実需期への引き付け発注や週単位MDに合わせた生産が主軸の専門店チェーン向けで、前倒し生産が増加していることを…
 [量販店向けや百貨店向けのアパレルなども同様で]「
仕入れロットを大きくして価格を引き下げる動きは業態の枠を超えて広がっていると言える
[  ]内はサイト管理者
 
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読紙感想文
 
  私の顔とキムタクの顔はほとんど違いません。目と耳は2つずつ、鼻と口は一つずつ、鼻は中央、耳は両端、目は鼻より上でその上に眉毛、逆に口は下、何も変らない、…はずです。
  でもやっぱり違います。それは顔を女性に近づけてみるとはっきり分かります。私の顔が近づいた場合と、キムタクの顔が近づいた場合とでは女性の反応が全く違います。つまり、私の顔とキムタクの顔は、ほとんど同じだけれど、見方を変えればかなり違うのです。
  これは商品でも同様で、似たようなアイテムを比べたとき、見方によってほとんど同じだったり、かなり違っていたりします。そのどちらの見方をする人が多いかが、時代、時期によって増減します。ほとんど同じか、かなり違うかという、個個人がやっている判定もマスの集団で観察すると流行なのです。
  物事の共通点に関心を持ち評価する流行を、私は「同一視」と呼んでいます。同一視の時期は、私とキムタクの顔はあまり変らないという考えを支持する人が増えます(ハハハ)。
 
  物事の相違点に関心を持ち評価する流行は「対立視」と言います。対立視の時期は、私とキムタクでは全く違うという考えを支持する人が(残念ながら)増えます。
  同一視の時期の消費者は、自分の持っている物が他の人とかぶることを気にしません。むしろ他人と同じであることを好みます。そのため、同じ物が大量に長期間売れます。
  衣料品は工業製品ですから、同じ物を長期間大量に作り続けた方がコストメリットが大きくなります。別な物を作る場合も素材や工場を共通化し、数を絞り込んだ方が安く作れます。ただそれをやりすぎると、見切りロスや廃棄ロスのリスクが大きくなります。
  同一視の時期は流行の寿命が延びますし、たとえ同じデザインが街にハンランしても、対立視の時期ほどは値崩れしないため、この記事にあるような、工場の閑散期を利用して早めに生産する、ライバルよりも今までよりも早く生産する、生産ロット、仕入れロットを大きくして価格を下げる、原料を絞り込んで調達コストを下げる、…などの対策の、デメリットが小さくなり、メリットが大きくなります。だから、現在のような同一視の時期の供給側の
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−トレンド予測 4段目−
人間は、こういったことをやりたがります。
  この記事にあるのはすべて供給側の流行です。消費者の気持ちや行動から見た流行ではありません。つまり仮需です。仮需は実需の後追いですから、仮需でヒットしているということは、実需、つまり消費者の流行では同一視はピークを過ぎています。店頭実需ではすでにダウントレンドです。
  これからは対立視です。そうなった時の供給側の対策は、この記事の逆が正解になります。小ロット・QR(クイックレスポンス)・分散を合い言葉にする時期がまたやってきます。
 
 【この文、09年07月30日記】 
 
 
【関連ページ】
 
理詰めのトレンド予測ウエブ版 第4章6節
 
 
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−トレンド予測 5段目−

(繊研新聞09年05月30日付より切抜き) 
「フォーエバー21 開店1ヵ月
 
圧倒的な集客力43万人
売り上げ10億円超え?
 
  フォーエバー21の日本1号店、東京・原宿店が29日で開店後1カ月を迎えた。来店客数は28日までの累計で43万人を超え、29日午前中も雨の中、入店待ちの行列ができるなど集客力に衰えはみられない。開店と同時にスタートした日本語ネット販売も好調という。
  売り上げは公表していないが、同点をウオッチしている業界関係者によると、平均客単価を3000円と推定し、1カ月の売り上げは10億円を超えたとみている。

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読紙感想文
 
  当時は、フォーエバー21の黄色い袋を持った人
 
で原宿の街はあふれました。
  自分が持っているのと同じ店の袋を持った人が前から来る。横からも来る。まわりを見回すと同じブランドの袋がやたらと目立つ。袋だけでなくファッションも似たり寄ったり、やることもほとんど同じ(だから行列)。いくら何でもかぶりすぎ。でもへっちゃら。恥ずかしくないし、不機嫌にもならない。むしろうれしい。…こういう人はいつの時代にもいます。また、普段は違うが、ときどきならこういう行動を取るという人もいます。
  でも、その数が前後に比べて多くなる時期と少なくなる時期があります。同じことをしたがる人の数が増えたり減ったり…を交互に繰り返しています。つまり、こういった消費者の行動も流行です。
  同じものを欲しがり、同じ行動を取りたがる人が増える流行(の原因)を私は「同一視」と呼んでいます。同一視の時期には他人と同じものを着たい人が増えます。そういう人は、街のあちこちで同じファッションを見かけるようになってから手に入れようとしますから、ファッション商品を買うのも着るのも他の人よりあとになります。
  ということは、供給側からみたとき、市場に出す時期が比較的遅くても大丈夫なわけです。遅めで
 
も買ってくれる人が同一視の時期は大勢いるのですから。
  大丈夫といっても、鮮度が落ちているわけですからそれなりの価格にしておく必要はあります。
  また、同一視の時期の客は、「違い」を評価しないので品質やていねいさに難があってもそれほど問題になりません。服にクセや個性がそれほどいらないだけでなく、有りすぎるとかえって敬遠する人が増えてしまいます。
  というわけで、品質と感度はマアマアだが価格が安いマスファッションが多くの人に支持されます。
  でも、この記事の出た09年春夏シーズンは(ヤングの市場では)同一視の末期にあたります。いくらフォーエバー21がマスコミにもてはやされているからといって、これからマネをしたのでは手遅れです。これからのヤングは同一視とは逆の「対立視」です。フォーエバー21の逆張りが正解です。  
 【この文、09年10月06日記】 
 
【関連ページ】
SPA(製造小売)企業の景気は予測できる
 
新しいトレンドが見えない
 
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−トレンド予測 6段目−
(繊研新聞08年12月11日付1面より切抜き) 

チョとしたハレの場に

売れてます、

オケージョンドレス

不況下でも高まるニーズ

カジュアル感、着回しも

  友だち同士でのパーティーや結婚式の二次会といった、“ちょっとしたハレの場”に対応したドレスや雑貨が売れている。メーン顧客は25〜35歳。市況全体が厳しい中でも順調な売れ行きをみせていることから、オケージョン商品を再編・強化する売り場、ブランドも出てきた。

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読紙感想文
 
  消費者が非日常性を好み、支持する流行を、私は「超経験」と呼んでいます。超経験の時期には、普段と違っていることが良くなります。それで売れるデザインが派手になります。色がカラフルになり、柄物が流行し、オーバーディティールが支持
 
されます。デザインがハデハデなパーティードレスにとってそれが有利にはたらきます。
  また超経験の時期には「ハレの場」が好まれます。オケージョナルドレスを着ていく場所のパーティー、結婚式の2次会、謝恩会、合コン、夜遊びなどは、それを職業にしているを別にすれば非日常そのものです。派手好きな人でも、ふつう毎日経験するということはありませんからね。これも、オケージョナルドレスにとって追い風です。
  それと、現在は「エレガンス(束縛)」がアップトレンドです。エレガンスという循環要因が顕在化しているタイミングを象徴するキーワードには、エレガンスや束縛の他にドレスアップ・トラッド・きれい・正統派・権威主義・形式張る・でなくちゃいけない・ちゃんとしている・偽善的などがあります。これらのキーワードに当てはめてみると、パーティードレスはエレガンスの時期にヒットしやすいアイテムであることが分かります。
  このように原因から考えたパーティードレスは、いくつかの循環要因に分解できます。またそれぞれの循環要因はパーティドレス以外の分野でも流行の原因になっています。つまり、パーティードレスの流行そのものは、原因から考えるとパーティ
 
ドレスの流行ではありません。 ですからあなたがパーティードレスと関係のない分野を担当していたとしても、流行の原因で考えれば、あなたの仕事とパーティドレスの流行は無関係ではありえません。
  もし循環要因に分解するのがめんどうだとお考えでしたら、パーティドレスの方向にシフトすればよいのだと思ってください。自分の商品を、ハレの場へ、フォーマルへ、アンチ日常へとシフトさせてください。この考えは、現在のオケージョンドレスの主要顧客である「25歳〜35歳の女性」より遅い市場ではとくに重要です。そういう市場では、企画や生産の際に発生するタイムラグによるリスクが少ないからです。

 【この文、08年12月15日記】 
 
オケージョナルドレス 
 冠婚葬祭のような特別な場合にのみに着る服。
 
関連ページ
 
7〜8月は”夏
 
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−トレンド予測 7段目−
(繊研新聞08年10月10日付1面より2カ所切抜き) 
 
「ユニクロ」は
純利益37%増
 
「良品廉価」女性客支持
 
  カジュアル衣料品専門店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが九日発表した二〇〇八年八月期の連結決算は、純利益が前の期比三七%増の四百三十五億円と、従来予想を二十五億円上回った。スーパーや百貨店などが衣料品の販売不振で苦戦するなか、防寒肌着や女性用下着などでヒットを連発、強さが際立っている。
(中略)
…ファッション性や機能性を高めた商品を投入。毎年改良を加える「良品廉価」の戦略で女性客を取り込んだ。

 
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読紙感想文
 
  「毎年改良を加える『良品廉価』の戦略で女性客を取り込んだ」とのことですが、毎年改良を加えるということは、毎年の変化をマイナーチェンジの範囲にとどめるということです。前年と大きくは変えないわけです。
  こういう戦略の成功率が上がる時期を私は「同一視」と呼んでいます。現在は、広い範囲の客層が同一視のタイミングになっています。それが、ユニクロにとって有利にはたらいています。
  同一視は物事の共通点に関心を持ち評価する循環要因です。循環要因とは、流行を起こす原因のうち、消費者の頭の中にあって一定の周期で循環しているものを言います。流行に影響を与えていても、それが人の頭脳の外にある場合は循環要因ではありません。たとえば季節は、循環していますし、流行に影響を与えています。でも、原因が自然界にあって、消費者の頭脳が起こしているわけではありませんので、循環要因には入れません。
  同一視のときの消費者は、物事の細かい違いは気にしませんし評価しません。ですから、機能やデザインで差異化をはかっても、それを価格に
転化させることが難しくなります。それで低価格品に有利になります。
  むろん、ある時期の売れる価格帯がどの辺かは様々な要因が関係しています。同一視だけで決まるわけではありません。が、この循環要因だけで論じると、同一視が活性化している時期は低価格ショップにとって有利になります。
  この時期の消費者は他人と同じものを欲しがります。市場に大量に出回っていても、それだけの理由では買う気を無くしません。大量に同じものを見せられると、むしろ買いたくなります。前年にすでに見た商品や、自分や他の人がすでに買ってしまった商品でもさらに買おうとします。そのため、同一視では商品寿命が長くなります。
  たくさんあっても0K、長期間見せっぱなしでもOKですから、大ロット計画生産型のビジネスモデルに有利になります。ということで、ユニクロにとって現在は追い風が吹いています。

 【この文、08年10月14日記】 
 
関連ページ
「ユニクロ苦戦の原因は、そのビジネスモデルにあるのか」
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−トレンド予測 8段目−
(繊研新聞08年06月13日付3面より切抜き) 

エレガンスは
なくならない!
テイストぶらさず好調

  エスシステムの20代後半向け婦人服「ラグジュエル」が売れている。カジュアルテイストが市場を席巻する中、ブランドの軸をぶらすことなく、得意のエレガンススタイルを提案し続けていることが支持につながっている。5月の既存店売上高は前年比11%増で推移。主力店であるプランタン銀座の店舗の5月の売上高は42%増だ。
 
  「トレンドが変わっても、エレガンステイストを好む客は必ずいる」と、きれいめ通勤スタイルを打ち出し続けた成果が出た。競合ブランドがテイストをカジュアルに振っているため、ラグジュエルに流れてくるエレガンス好きの客も多いようだ。
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読紙感想文
 
  
私がこの感想文を書いているのは2014年4月です。この新聞記事が話題にしている時期は2008年春ですから、今からみるとちょうど6年前になります。
 
〔自由・束縛〕という循環要因があります。話をファッションに限定すれば、〔自由・束縛〕は、〔カジュアル・エレガンス〕と言った方が分かりやすいでしょう。〔カジュアル・エレガンス〕という循環要因は12年周期で、若い女性に限定すれば、今年(2014年)はカジュアルのピークです。ピークといっても尖っているわけではなくて、この究極コテコテカジュアル状態が平らな高台のようにこれから2年続きます。それと、流行のピークという意味は、若い女性がコテコテカジュアルに対してどれだけ魅力を感じるかで判定するとそうだということで、市場全体の生産数量や販売数量でみた流行はこれより大幅に遅れます。魅力の高原状態が終わった後にピークが来ます。アバウト1年半ぐらいの時差があると思います。
 
〔カジュアル・エレガンス〕は12年周期でしたね。ということは、この新聞記事が話題にしている2008年春は、〔カジュアル・エレガンス〕に関しては現在と正反対のタイミングだったことになります。今と逆なんですから、当時はエレガンスのピークで、その状態がその後2009年の冬まで続きました。2010年になると、コテコテエレガンスはダウントレンドになり、次の3合目カジュアルへと移っていきました。でもこれは、若い女の子がコテコテエレガンスにどれだけ魅力を感じるかで時期を判定した場合の話で、ファッション業界がエレガンスフィーバーした時期や業界全体の販売数量のピーク、街の定点観測でカウントしたエレガンスファッションのピークは、これより後でした。
 
ファッションの生産・販売にたずさわる人達の思惑と行動は、消費者の気持ちと行動より大幅に遅れています。だから、価格の大変動や不良在庫が発生するのです。その時差がこの業界紙の記事にも出ていますね。すでにコテコテエレガンスが復活しているというのに、「カジュアルテイストが市場を席巻する」「競合ブランドがテイストをカジュアルに振っている」状態だったのですから。
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−トレンド予測 9段目−
 
2014年の今は、この記事とは逆方向の同じことが起こるタイミングです。コテコテカジュアルブランドの多くがそのカジュアル度を弱めて、キレイカジュアル、上品カジュアルにしている中で、コテコテ下品カジュアルを頑固に続けたブランドが例外的に急回復します。
 
この文、14年04月23日記 
 
【関連ページ】
 
長期的に今どんなトレンドが来ている?
 
 
「エレガンス」と「カジュアル」もしくは「束縛」と「自由」
 
 
いつもより大人っぽく
 
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(繊研新聞08年7月7日付1面より2カ所切抜き) 

「レディスウエア商戦
7〜8月は"夏"
セールに左右されない
  レディスアパレルの7〜9月商戦は、夏物か秋物かを問わず、すぐに着られて鮮度のある商品がポイントになっている。これまで秋と夏の区切りのMDはセールに引きずられてきたが、今年も7月後半以降に暑さが予想され、秋めくのを待つのではなく、実需に正面から向き合うMDにシフトする動きが目立つ。市況が厳しいだけに、この時期の実需販売でしっかり売り上げを確保する狙いだ。」
  「ピエスモンテは7月に夏物を最終盤まで積極的に仕掛け、セールで売り上げを上乗せする。このため、実質的に8月から販売する。
 『6〜8月は端境期ではなく、実需器としてとらえる。7月は晩夏ではなく盛夏』とみるレナウンは、価格はそれまでの2割下げて鮮度を見せながら販売する。
  チェーン専門店のポイント『グローバルワーク』も『これまでのトレンドの前倒しの仕掛け』を
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控える。実需を正面からとらえ、ベーシックなカットソーを充実した。チュニックなどとの合わせやすさからUネックTシャツ、タンクトップなど9月まで重点的に販売する。」
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読紙感想文
  消費者が非日常性を好み、支持する流行(循環要因)を私は「超経験」と呼んでいます。「超経験」のタイミングの消費者は、それまでと違っていることを歓迎しますから初物を追いかけます。季節感の強い物では季節の先取りが新鮮になります。春に夏物を買い、夏に秋物を買い、秋に冬物を買い、冬に春物を買う人が増えます。
  そのため、アパレルメーカーや小売店は、シーズンを先取りして提案したところが勝利します。消費者は買ってから着るわけで、着てから買うわけではありませんから、もともとファッションビジネスのシーズンは実際の季節よりも早いのですが、超経験の時期はそれがさらに早くなります。
  秋物の場合、実用品としては涼しくなってからでも間に合いますが、別なデザインに早く変りたい人が増えている超経験の時期は、マスコミが連日の
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−トレンド予測10段目−
猛暑を話題にしている時期から売れ出します。
  非日常性を支持しているときの消費者は、違っていることが好きなわけですから、ファッション商品のファッションの部分に金を払います。相対的に実用性に関心を持たなくなります。秋物の秋物らしさも、気温の低下という実用からはなれて、ファッションの新鮮さという方で評価されます。「涼しくなったから」という理由が薄れるわけですから、この意味でも「まだ涼しくなっていない」ことが、購買にマイナス要因としてはたらきにくくなります。
  超経験の逆の流行を「常経験」と言います。いつもと同じ、それまでと同じことを評価し支持する流行です。常経験では、超経験の時期とは逆の現象が発生します。
  それまでと違うことを嫌いますから、初物に挑戦する人が減ります。消費者はファッション性に金を払わなくなります。ファッション商品は、ファッション商品ではなく実用品として評価されるようになります。
  常経験の時期の秋物は、超経験の時と比べてファッション商品としての評価が落ちています。実用品としてのみの評価が相対的に高くなります。
  それまでは、新しい季節が新鮮だという理由で
: ::
買っていた人が、夏物のままでは肌寒いから買うというふうに変ります。そのため、季節商品の売れ出す時期が遅くなります。春物は暖かくなってから、夏物は暑くなってから、秋物は涼しくなってから、防寒物は寒くなってから売れるようになります。それで売れ出す時期が1〜2カ月遅くなります。シーズンのピークの時期も後ろにずれます。
  〔超経験・常経験〕は循環要因(流行の原因、一定の周期で繰り返している)なので、時間がたつと逆転します。つまり、超経験は常経験に、常経験は超経験になります。というわけで、夏物が止まり秋物が売れ出す季節の変わり目の時期も、〔超経験・常経験〕のシーソーが上がり下がりにあわせて、早くなったり遅くなったりを繰り返しています。
  そのため、供給側の人間が前年の失敗に懲りて季節を切り替える時期をいじると、消費者の支持がすでに逆転していて、次に正反対の反省をしなければならなくなるということがよく起こります。
  08年は、40歳代の消費者が前年(07年)よりも早くから秋物を求めるタイミングなので、ピエスモンテやグローバルワークは、前年とは違う結果にあわてることになります。それで、シーズン後は反省の反省をします。
: :: 【この文、08年7月14日記】 

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このページ更新 ’10年01月07日