「大人ミニ」が売れた!バリエーションがないと楽しくない
パンツにリードされながらも膝下丈を中心にがんばっているスカート。18年春夏も長めの丈のスカートを多くのブランドが出している。そんな中で、「ダブルスタンダード・クロージング」(フィルム)はミニを推す。17年秋冬に仕掛けた「大人ミニ」が直営店で完売したため、春に向けても2型作った。
秋冬に売れたのは、 〔・・・・・・・・〕 店頭に出してすぐに売り切れ、当初は認識されていなかったが、結果を集約してヒットが分かった。 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ |
モード工学の森田洋一です。 左の文は繊研新聞2017/12/26付の記事からの抜粋です。 昔私は、地下鉄の神宮外苑前駅の近くで仕事をしていたことがあります。その当時の話です。ラクビーなどの大きな大会がある日には、その地下鉄の出口にはダフ屋が出ます。3人一組で縦に並びます。そして地下から出てきた人に3人が順番に声をかけます。「チケットはいらんかね」。3回目に声をかけたダフ屋から客はラクビーの入場券を買います。 3人が横に並んで別の客に声をかけたほうが効率が |
よさそうなものですがそうはしません。1回の声掛けでは人は動かない。動かすためには繰り返し働きかける必要がある。それをダフ屋は知っているのです。
よほど強烈な経験でない限り、1回ポッキリの出来事では我々の行動は変わりません。それを変えさせるには繰り返しが必要です。繰り返すことで、行動に移すときのためらい 不安 恐怖を薄れさせます。テレビコマーシャルが、全く同じあるいはほとんど同じ内容を繰り返し流すのも、テレビ通販でナレーターが同じセリフを何回も言うのも、繰り返さないと人が動かないことを知っているからです。 仮需(供給側の行動)は実需(消費者側の行動)の瞬間値に反応して変化するわけではありません。瞬間値ではなくてその繰り返し、つまり累積に反応して変化します。それで受給の関係は |
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サインカーブの積分に似てきます。流行がサインカーブだと言っているのではありません。仮需が実需の瞬間値ではなくてその累積に反応しているので、その関係が正弦関数の積分みたいになるのです。魅力のピークが仮需のスタートになり魅力の終わりが仮需のピークになるてんでも正弦関数の積分に似ています。 仮需は実需の累積に反応しているのですから、その関係は株価に例えると移動平均に似ています。 移動平均の値は実際の株価よりかなり遅れ変化の幅も小さくなります。両方の値が一致するのは瞬間でしかなく、小さすぎるか大きすぎるかしている期間がほとんどになります。つまり、需給バランスが崩れている状態がほとんどの期間で |
当たり前になっているのです。 同じ経験を繰り返さないと動けないという性質は消費者にもあります。だから魅力のピークと購買のピークは一致しません。価格が安ければかなり魅力が落ちた後でも保守的な客が買ってくれます。でも、消費者は、供給側とは違って物の購買に生活がかかっているわけではありませんから、過去の流行にとらわれる度合いが、供給側の人間より圧倒的に小さいのです。でやはり、受給のアンバランスはいつでも大量に存在し続けます。 (この文、18年01月11日に記載) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
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高成長続くティーン市場3大ブランドが圧倒的人気
背伸び世代に大人のトレンド
ティーン市場が元気だ。特に、大人のファッションに憧れ背伸びしたい小学5年生~中学2年生の女の子に、今のトレンドを可愛く取り入れたブランドが売れている。
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左の文は繊研新聞2018/03/051面からの抜粋です。
ローティーンに大人のファッションが売れたことは以前にもあります。前回流行ったときの主役はナルミヤ・インターナショナル。90年代半ばにローティーン市場に参入しました。それまでの小学5年生~中学1年生向けの服は通学服と呼ばれ、子供服のサイズを大きくしただけというデザインがほとんどでした。これを、そのころハイティーンにヒットしていたデザインに変えて成功しました。 いくつものブランドを持っていましたがなかでも売れたのがエンジェルブルーです。名前からしてベティズブルーを連想させますね。他にもディジーラヴァーズなんでブランドもありました。こっちはスーパーラヴァーズかな。 |
背伸びファッションは服にとどまりませんでした。化粧も大人を真似てリップグロスを付けたりマニュキュアを塗ったり。この流行を積極的に紹介して売れた雑誌が「ニコラ」に「ピチレモン」です。 沖縄出身のアイドルグループSPEEDがメジャーデビューしたのが1996年8月。メンバー全員が小中学生であることが話題となり、デビュー曲「Body&Soul」はいきなり60万枚の大ヒット。彼女たちを真似たファッションを街のあちこちで見かけるようになりました。 ローティーンが大人びたファションを身に付ける流行は日本だけではありませんでした。米国ではこれをKGOY(Kids Getting Older Younger)と呼んだそうです。 このナルミヤ・インターナショナルの成功に刺激されてヤング向けアパレルがローティーン向けブランドを作ったのが2002年前後です。結果はほと |
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んどが失敗。「Kids Getting Older Younger」ファッションはすでに伸び代が無くなっていました。03年になると急激に低年齢化が進み。肝心のローティーンが買わなくなりました。
流行要因に〔自由・束縛〕と呼んでいるものがあります。ファッションに限定すると〔カジュアル・エレガンス〕と言ったほうが分かりやすいと思います。 シニアミセス向けの店やブランドが「うちはエレガンスです」と言うのでもわかるように。この流行は世代のこだわり(思い込み)と強い結びつきを持っています。若ければ若いほどカジュアルのこだわりが強く、大人の中でもっとも若いハイティーンが一番カジュアルシフトしています。シニアは逆にエレガンスです。このこだわりは、現在の流行が〔カジュアル・エレガンス〕のどのタイミングかとは関係なく常にはたらいています。 年令による流行時差を無視してお話しますと、 |
トップカジュアルの時期には、全世代がカジュアルシフトしますので、自分より若い世代のファッションに挑戦する人が増えます。もとから超ヤングのハイティーンは、この時期、自分たちのこだわりと流行が一致していますので購買意欲が高まります。ハイティーンがファッションリーダーになります。トップエレガンスの時期にはこれが逆になります。全世代が上の年代のファッションを取り入れようとします。シニア層は、着たいものと着れるものが一致しますので購買意欲が高まります。結果ファッションリーダーになります。アラサーにアラフォー
美魔女なんていう言葉が前回のエレガンスでは流行しましたね。
今はカジュアルからエレガンスへ向かう途中のタイミングです。今からちょい前はハイティーン(ぽい)ファッションの全盛期でした。ハイティーン(ぽい)ファッションはカジュアルです。上の年齢の服を取り入れたがるのはエレガンスです。だから、ローティーンは |
ハイティーン(ぽい)服を今のタイミングで着たがるのです。
ローティーンが着る服が大人びてくるのは流行です。流行ですから終わりがあります。前回の流行では、ナルミヤ・インターナショナルは04年1月期の売り上げ353億円をピークにその後落ち込みました。もちろん、ナルミヤの業績がこの循環要因だけで説明できるわけではありません。派手なデザインがOKか、後追いパクリ商法が時流に合っているかなど他の流行も躍進に関係しています。ナルミヤ・インターナショナルを語るときに最初に指摘しなければならない循環要因が〔カジュアル・エレガンス〕だということです。 流行りものは廃りものです。しかし廃りものは流行りものでもあります。現在の3大ブランドの1つ「ラプトキシック」がスタートしたのは09年、それを提供しているのはナルミヤ・インターナショナルです。 (上の文、2018/03/30 記載) |
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「エシカル(社会貢献につながる商品)」はカワイイ!品質・機能 消費者つかむ
手仕事好む流行追い風
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生産者に正当な対価を払い、貧困や児童労働の解消、伝統や文化の尊重などを促せるとみなすエシカルなものづくりやサービスは10年前後から日本で定着してきた。国内の先駆者は山口絵理子氏が06年に設立したマザーハウス(東京・台東)。バングラデシュで5人程度ではじめた麻のかばん作りは今、従業員200人を超えるビジネスに育った。 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ |
左の文は日経MJ2018/04/13からの抜粋です。
商品開発 開拓は汗と涙と挑戦の根性物語になりがちです。つまりテレビドラマにもなった「陸王」のパターンですね。でも、こういうストーリーにはいちばん大事なものが抜けています。消費者の支持です。その商品をお客様が受け入れなければ、汗も涙もすべてがパァになります。 マザーハウスが設立された2006年はジュートという麻素材の日本における大当たりの年でした。でも、マザーハウス代表の山口さんはそのことを知っていて会社を設立させたわけではありません。たまたまです。偶然です。目隠しをしたまま矢を射ったら的の真ん中に当たってしまったというくらいの幸運です。 でも流行循環は目に見えませんから、見たり感じたりすることができる汗と涙の商品開拓物語が |
話の中心になります。実際には実を結ばなかった汗と涙が世の中には沢山あるはずなのですが、マスコミは失敗例は報道しませんから我々は知りません。 (上の文、2018/05/12 記載) 【関連ページ】 伊勢丹バイヤーを動かした一人の主婦の熱意 アフリカ布バッグの奇跡 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
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大手百貨店 4社とも増収大手百貨店4社が発表した先月の既存店売上高は1年前に比べ、全ての社で増収となりました。大丸と松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングが5.1%のプラスと13ヵ月連続で前年を上回ったほか、高島屋も2.6%のプラスでした。
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左の文は、TV TOKYOのサイト内にあるWBSを紹介しているページからのものです。WESは経済ニュース番組で抜粋したのは2018/05/01のところです。 本年5月の百貨店は好調だったという話ですが、今好調なのは百貨店だけではありません。5月だけでもありません。主要商業施設の多くがかなりの期間にわたって好調を続けています。なぜでしょうか。 外国人のインバウンド需要のせい。ノンノン。ある特定の商業施設で短期間ならありえるけれど、多くの商業施設で長期間はムリムリ。たとえインバウンド需要が続いていたって、それが急増をいつまでも続けているなんてありえません。 天気が……。これも短期なら説明に使えるけれど |
長期間は無理。 改装効果が……。イベントが……。これは幾分かは当たっています。でも、以前のジリ貧時代も改装やイベントはやっていたわけで、その効かなかった販促策がなぜビンビンお客様の心に届くようになったのか。それを言わなければ説明になりません。 〔新奇・日常〕という循環要因があります。この循環要因はこのところ新奇の方に振れています。新奇のことを以前は超経験と私は言っていました。 映画で今年に入ってからヒットしたものを並べてみると、 ジオストーム 今夜・ロマンス劇場で グレイテスト・ショーマン レディプレイヤー1 リメンバーミー |
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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
となります。、その特徴は、どれもド派手か荒唐無稽かあるいはその両方です。今の消費者は新奇性に強く反応しているのです。 ファッションを考えても「ノームコア(究極の普通)」時代はとっくに終わっていて、色物 柄物が復活し、刺繍やレース ボリューム袖にメタリック素材と、派手なもの目新しいものへと人気が移っています。「インスタ映え」や「ギャルメイク」の流行もこの〔新奇〕が一番の原因です。 百貨店やファッションビルにショッピングセンター・モールなどの大型商業施設は、もともと庶民に非日常性を提供するのが役目なわけですから、「新奇性」がONになっている時期には当然業績が良くなります。でもこれは流行です。関係者の努力の結果ではありません。努力していないと言っているのではありません。でも、苦戦が続いていた時期もそれなりの努力はしていたわけですから、それは復活の一番の原因ではないと言って |
いるのです。
流行りものは廃り物。この流行も終わりがあります。新奇性が鮮度を失い再び究極の普通に戻ったときが本当の勝負です。今様々な業界で騒がれている儲かっている物やイベントが損をするものに変わります。その時の対策を今から考えておくべきなのですが、目下の景気が良いんですから、考えろと言っても無理かなぁ。 (上の文、2018/05/10 記載) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
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キューティーおはぎ
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左の文は日経MJ2018/06/01からの抜粋です。 仕掛けた店は東京 桜新町に16年にオープンした「タケノとおはぎ」。女性を中心に人気になっているそうです。つぶあん こしあん以外の変わり種には白あんを使っています。カントリーマアムと同じですね。一個一個はピンポン玉をやや大きくしたくらいのサイズで一度にいろんな種類を食べられるのが売りです。 現在は小さいサイズがアップトレンドになっています。服のサイズもタイトになって来ました。柄も小さいものが増えて来ています。バッグや財布も小さくなりました。食品も同じで小さめのサイズが人気になっているのです。 こういうタイミングでは何でも小さくしたほうが大きくするよりもビジネス上有利になります。 |
なぜなら消費者は頭が1個しかないからです。それぞれの商品ごとにバラバラな判断をするなんてややこしいことはやりません。ただし、なぜ小さい方がいいのかという大義名分は商品ごとにバラバラになります。 専有面積がこれまでの常識の半分しかないワンルームマンションが人気になっています。全体をコンパクトにするために風呂とトイレを同じ部屋にするなんていう例は今までもけっこうありましたが、超狭マンションには玄関と風呂とトイレが同じ場所にあるものまであります。つまり、玄関のドアを開けるといきなり便座が目の前に現れます。限界を超えています。そんな超Sサイズマンションを正当化する理屈と、小さなおはぎの人気を説明する理屈が同じはずがありませんね。 それと、小さい方が流行っているというのは消費者を観察したときの話で、供給側の思惑は必ずしも小さい方を支持していません。店舗を大型化させようという動きはまだ続いていますし、 |
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部屋が広くて天井が高い住宅を熱心に売り込んでいる テレビCMは今でも流されています。
また、流行が終わったからといって大きいものの人気がいきなりゼロになるなんてこともありません。何も対策を立てなければ落ちてきますが、落ちるにしてもその下り勾配は商品によって様々です。 過去にヒット曲を出した歌手が、テレビで俳優やタレントとして活躍するという例はたくさんありますが、逆の、人気者のタレントが歌手に転向して成功したという例はあまり聞きません。一時的には成功してもしばらくすると、もとの俳優やタレントに戻ってしまいます。つまり、タレントしての人気のほうが曲の人気よりも長持ちするのです。 これまでのLサイズの流行期には、多くのデブチンタレントがブレイクしました。この人達の人気が、Sサイズの流行期に入ったからといって |
いきなりゼロになるなんてことはありません。ただしデブタレントのブレイクは無くなります。より厳密に言うと、デブであることを理由とした新人のブレイクやベテランの再ブレイクが無くなります。
デブに限らず、人の流行は「まだ人気があるか」どうかで判断すると分からなくなります。その人気者がいつブレイクあるいは再ブレイクしたかで判断すると循環がみえてきます。 (上の文、2018/06/13 記載) ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
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Tシャツ感覚で毎日洗える
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左の文はNIKKEI TRENDY NET 20018/06/18からの抜粋です。 この作業着を4月から通販サイト「ロコンド」でも売り出したところ、女性向け通販サイトであったのにもかかわらずこちらでもヒットしました。紺しかないのにね。 この「ワークウエアスーツ」と似たものとしては、紳士服チェーンなどが売っている機能性スーツがありますが、あちらはあくまでもスーツでして、機能性はトッピングです。スーツにしては動きやすいでしょ。軽いでしょ。メンテナンスが楽でしょ。……とは言ってもやっぱりスーツです。それに対してワークウエアスーツは作業着であることがメインであって、紳士スーツのほうがトッピングです。 |
ジーンズやカーゴパンツあるいはカーペンターパンツなどを考えてもわかるように、作業着はカジュアルに寄っています。というか、作業着はカジュアルウエアを生み出す母体の一つなのです。一方メンズスーツはエレガンスです。もともとはカジュアルだったのですが時間の経過とともにエレガンスになりました。つまり、ワークウエアスーツはエレガンスのトッピングをしたカジュアルです。それが今のタイミングにぴったりなのです。 現在、6月1日に発売された”金鳥の夏日本の夏“ふきん“ がヒットしています。キンチョー蚊取りのパッケージにある鶏の柄がプリントされた布のふきんです。これを見た消費者の頭の中には蚊取り線香とふきんが共存しますね。私は若い頃、金鳥香取の箱の柄が入ったトランクスをはいていたことがあります。この場合は下着のトランクスとキンチョー蚊取り線香が私の頭の中で共存しました。こういう流行を私は結合と言っています。ふきんと金鳥香取は今の結合、トランクスと金鳥香取は何周期も前の結合です。 |
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ワークウエアスーツは作業着とスーツが、それを見た人の頭の中で共存しますから結合の流行とも関係しています。つまりこのアイテムは当たりが2つもあります。 (上の文、2018/06/29 記載) 【関連ページ】 又吉直樹さん「火花」がベストセラーに ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
「へりくつ漫才」で人気のコンビ「和牛」
善人振り回す細かすぎる男若手芸人の中で「今、最もチケットを取りにくい」といわれる和牛。神経質な人物を演じる水田と、その言動に翻弄される立場の川西という構図の漫才が持ち味だ。「M-1グランプリ」は2016、17年と2年連続で準優勝。
〔・・・・・〕 細かいことが気になり、重箱の隅をつつくような理屈ばかりを言う水田と、困りながらも丁寧に対応する川西。 ◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇ |
左の文は日経MJ2018/07/13からの抜粋です。
「細かいことが気になり、重箱の隅をつつくような理屈ばかりを言う」これは対立視の流行です。これとは逆のタイミングの流行が同一視です。対立視の時期の消費者は細かい違いを気にします。わずかな違いわずかな差に価値を認めます。マスの人たちとは違っていることを評価します。他人とかぶらないことを好みます。 2016年9月に「ザ・フォーアイド」というセレクトショップが新宿歌舞伎町2丁目にオープンしました。ピュアヤングに人気です。セレクトショップが歌舞伎町ですよ。ファッション店がありそうもない立地ですね。しかもラブホテルの入り口部分を通らないと入れないお店です。服を買うのに、探す根気と勇気がいるのです。 他の人が気が付かないような立地にあり、 |
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わざわざ自分で探し回って開拓しなければならない店、入るのにためらってしまうような店が繁盛する時代というのは過去にもありました。
ブティックが流行っていたころ、当時のそういう店の多くは表通りにはありませんでした。客がわざわざ探して見つけなければならない横道裏道にありました。店頭に商品が全く無くドアが閉まっており、店内に入るのに覚悟がいりました。 全盛期のDCブランドも同じです。やはり店頭に商品がなく、ドアが閉まっており超入りづらい。意を決して店内に入っても店内の在庫はスカスカで、ぶすっと無愛想な店員が「お前売る気あんのか」と言いたくなるような対応をしていました。ブームも末期になると立地を選ぶようになりましたが、初期の頃は、寂れたビルの2階3階や裏道に店がありました。 裏原宿のブームも同じですね。当時の原宿は |
すでにファッションのメッカになっていて、表通りは大勢の人が歩いていましたが、裏原宿は本当に「裏」で、人なんかいなくて猫が日向ぼっこしているような場所でした。猫といえばキャットストリートも同じです。ドブ川にフタしただけの猫しかいない人通りのない道でした。
そういうところに手作り感覚にあふれる個性的な店を出すと、それをわざわざ探し出してくれて、「自分だけが知っている自分だけの店」として通ってくる人が採算が取れる人数分出現する。こういうことが起こるのは全部対立視の流行期です。 もっと古くは竹下通りも同じ。もともとは地元の人しか通らない生活道路だったのが、そこにブティクができると、表通りからわざわざ迂回してくれる人が出てきて、さらにその店だけを目的に客が訪ねてくれるようになりました。 対立視の時期は、多数派の知らない場所にある |
多数派と違った店や、多数派と違った商品がかっこいいのです。さきほどのザ・フォーアイド店でも、多数派が買わなさそうなもののほうが売れているそうです。 その場合、「買わなさそうなもの」といっても、売れ筋を全面的に否定したものではもちろんありません。和牛漫才の人気をみてもわかるように対立視の時期には、「重箱の隅をつつくような」わずかな違いを識別して評価しますから、売れ筋とはちょっとだけ違っていればよいわけです。だから今は、(本来の意味での)セレクトショップや古着屋がニコニコになっているのです。 (上の文、2018/07/20 記載) 【関連ページ】 「同一視」「対立視」を知って流行を読む ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
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30~40代レディス冬物
ミニスカート浮上30~40代向け大人女性向けブランドの18~19年冬物で、ミニスカートが出始めた。ここ数シーズン、ワイドパンツやロングスカート、ワンピースとレギンスの組み合わせなど、丈の長いボトムが続き、そろそろ飽きがきたようだ。
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左の文は繊研新聞2018/10/02からの抜粋です。 このページの最上段で紹介した2017/12/26の記事「大人ミニが売れた!」にもあるように、大人女性向けミニスカートは去年の秋冬にすでに売れていました。去年は、店頭に出した途端に完売してしまったのでみんなの記憶に残らず、後で集計してやっと気がつくという状態でした。つまり、需要過大 供給過小という面からみると、大人女性向けミニは去年(2017年)が流行のピークだったことになります。 それに対して大人向けミニスカートが店に「出始めた」のは今年(2018年)の冬物からですから一年以上遅れています。これを、生産背景がどうのこうのという物理的な理由で説明するのは無理がありますね。遅れた主因は心理的なものです。 |
我々は、これまでの自分を否定することを嫌います。変わるということはこれまでの自分を部分的にせよ否定するわけですから、自分が変わることを基本的に嫌います。その嫌い方に大小があります。今までの自分を否定する度合いが強い変化は大きく嫌います。今までの自分を否定する度合いが弱い変化は小さく嫌います。 150年前の日本人はほぼ100%が和服でした。現在の日本人はほぼ100%が洋服です。でもここまで変わるのに150年かかっています。逆に言えば150年あればかわれるということです。今までの自分を否定する度合いが大きい変化は、小さい変化よりも受け入れるのに時間がかかりますが、最終的には受け入れます。 自分が持っている株が、買ったときの値段より安くなると、売ることに対する心理的抵抗が強くなります。つまり我々は損切りが苦手です。損切りは、過去の自分を否定する行為だからです。問屋や小売店が、仕入れた価格よりも安く売ることに |
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抵抗するのも同じ理由です。
10年ほど前、スバルがアイサイトを出しました。こういうのをプリ クラッシュ セイフティ システムというのだそうですが、ともかく大ヒットしました。でも、そのせいでスバルのシェアが大きく伸びてトヨタや日産を脅かすなんてことは起きませんでした。他社がすぐに追随してアイサイトもどきを出したからです。トヨタセーフティセンス ホンダセンシングやマツダのアイアクティブセンスなどいろいろありますね。 他社はなぜ簡単に追随ができたのでしょうか。これまでの自分を否定する度合いが少ない変化だったからです。アイサイトやアイサイトもどきは今までの乗用車に新たに付け加わった技術です。これまでの乗用車をそれほど否定 |
していません。だから、他社は、追いかけるのに心理的な抵抗が少なくてすみました。
これが、今までの商品にある当たり前から何かを取り去る変化になると心理的抵抗が極端に大きくなります。例えば1979年に発売されたウオークマンがこれです。ステレオテープレコーダーから録音機能とスピーカーを取ってしまいました。特に録音機能を取ってレコーダーでなくしてしまったのがすごい。 だから発売前後の抵抗もすごくありました。社内の反対も大きかったし、マスコミも無反応でした。でも大ヒットしました。私も、発売された直後に、使っている人を見て「かっこいい」と、当時の家電のメッカである秋葉原へ購入のためすっ飛んで行きました。 ウォークマンは、ソニーにとって、それまでの自分たちを否定する度合いが大きい変化でしたので、発売に至るまで抵抗が大きかったのですが、 |
それは他社にとっても同様で、パクリ商品を出すにしても心理的抵抗が大きくすぐには出せませんでした。画期的な技術が必要だったわけでもないのに出せませんでした。それでウォークマンの独走を許してしまいました。ぐずぐずしている間にノレンとシェアをソニーに固められてしまいました。
私は以前、家電店のウインドウに、「すべてのメーカーのウォークマンを修理します」と書いた紙が貼ってあるのを見たことがあります。ウォークマンは、ソニーだけが使える商品名なんですけれどもね。その家電店の人にとっては、どのメーカーの物であろうと全部ウォークマンだったのでしょう。それくらい大きなノレンをウォークマンというブランドは持っていたということです。 オーストリアでは「ウォークマン」を、ソニーが独占できる商品名としては認めていません。ポータブルオーディオプレイヤーの一般名称だからという理由です。のれんが大きすぎてかえって |
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差異化ができなくなってしまった例です。
今のウォークマンは録音できます。ステレオテープレコーダーを基準(参照点)にすれば先祖帰りですし、初期のウォークマンを基準にすれば、新しい機能の付与です。どちらにしても、ソニーにとってもライバルメーカーにとっても抵抗は少なかったはずです。 ダイソンの電気掃除機を知っていますね。日本の掃除機市場において大成功しました。日本の家電メーカーの掃除機部門は、新興企業であるダイソンの独走をなぜ許したのでしょうか。ダイソンがやったことが、既存の電気掃除機に何かを付け加えることではなくて何かを削ることだったからです。 ダイソン以前の掃除機は、フィルター兼用のゴミ袋が付いているのが当たり前でした。その紙パックをダイソンは取ってしまいました。今までの当たり前を無くす改革です。既存メーカーにとっ |
て、今までの自分を否定する度合いが強い変化でした。だから、ダイソンの掃除機がヒットしていることが分かった後も、それを追随する商品をすぐには出せませんでした。逆に、紙パックを無くすことによる問題点をあげつらいました。「モーターの出力の多くを、遠心力を作ることに使ってしまうから吸引力が弱くなる。それもコードレスだからますます弱くなる」なんてね。
もちろん紙パックを無くすことはいいことばかりではありません。問題点も多々あります。でも消費者が支持しているのだから、問題点があっても開発すべきでしょう。問題点は、開発しながら解決方法を探るべきでしょう。でもしませんでした。その結果ダイソンの独走を許してしまいました。 現在は、ダイソンもどき掃除機を各メーカーとも売っています。紙パック無しに対する拒否反応は時間が薄れさせました。でもその時間がもったいなかった。その時間がダイソンにシェアとのれん |
を与えてしまいました。
ダイソン以外にも、何かを取り去ることで、それをヒットさせただけでなくライバルの出現を遅らせ独走を続けた商品にiPone(アイフォーン)があります。こちらの成功はダイソンどころではありませんね。 iPhone発売は2007年ですが、それ以前にもスマートフォンはありました。BlackBerry(ブラックべリー)が有名でした。もともとは情報端末で、名前がBlackBerryに変わるとともに音声通話やウエブサイト閲覧もできるようになったのが2002年です。iPhoneより5年も早いですね。一時は人気も高く、オバマ大統領やレディガガが愛用していたのが有名です。でも競争に破れ、今では、希少価値のみの 何でも鑑定団 商品になっています。 ぱっと見で分かるiPhoneとの違いはキーボードです。BlackBerryには、一般のパソコンと同じ物理キーボードが搭載されていました。iPhoneも |
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キーボードがあることはあるのですが、必要なときにのみ画面に表示させる方法ですので、ちょと見た感じではキーボードは消えています。今も売られているガラケーを見ても分かる通り、スマホに限らず携帯電話はどれも物理プッシュボタンを採用していましたから、iPhoneのキーボードレスは衝撃的で、ライバルメーカーやハードユーザーは、無くすことの欠点が気になり、それを受け入れるのに時間を要しました。 押しやすさだけで考えれば、今でも、物理キーボードや物理プッシュボタンのほうが、画面を押す方式より優れています。反発する気持ちもわかるのですが、でも流行ですからね。消費者が支持しているのなら問答無用で取り入れるべきですよね。でも直ぐには出来なかった。しまったと気が付いたときにはiPhoneにはるか先を行かれてしまい、自前でどうこうする事もできず、アンドロイド陣営に自ら組み込まれることになりました。 米国での話です。昔のマクドナルド、マクドナル |
ド兄弟が実際に自分で経営していて最も元気が良かった頃のマクドナルドにはメニューが4つしかありませんでした。ハンバーガー チーズバーガー フライドポテト
ミルクセーキの4つです。無いのはメニューの数だけではありません。テーブルがない。ウエイトレスがいない。テーブルがないのですから、商品も、お持ち帰り用の袋入りしかありません。厨房も極限まで合理化していて、従業員に余計な動きがない。当時のレストランの常識から考えるとないないづくしの店でした。それによって、速さと低価格の両方を実現していました。
当時のレストランの経営者から見ると、それまでの有って当たり前を部分的にせよ否定している訳ですから、真似しようとしても心理的抵抗がかなり大きくなります。で、パクれる |
(真似できる)ようになるまでに時間がかかりました。とくに老舗レストランの経営者は、変えたくない自分が大きくなりすぎていましたから、いつまでたっても受け入れられませんでした。そのため、マクドナルドの独走が続きました。
今のマクドナルドは、当時とはかなり違っています。メニューは、流行っていない食堂にあるお品書きみたいに増えています。テーブルもあります。厨房も、コストが掛かっている割に、従業員の行動の単純化ができません。経営は、高学歴&高偏差値の人でないと務まらないほど複雑になりました。にもかかわらずちょっとしたことで赤字になります。 メニューの数を考えると、増やしたほうがビジネスでプラスになるときと、減らしたほうがプラスになるときがあります。どちらの流行もあるのですから、長期的には大きな変動はないはずです。にもかかわらずマクドナルドではメニューの爆発が起きました。減らすほうが増やす |
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よりも心理的抵抗が大きいのです。今までの自分を否定する度合いが大きいからです。あなたの部屋がガラクタだらけで、インテリア雑誌に載っている部屋の写真とはかなり違っているのと、理由も含めて似ていますね。 日本のAV機器のリモコンを見ると、ボタンが隙間なくびっしり並び、メロンパンの皮みたいになっています。簡単操作のスマホを、老人用という、市場をわざわざ狭めるような言い訳を付けてからでないと開発できません。これも、減らすほうが増やすより辛いのが原因です。 さきほどウォークマンの話をしましたが、ソニーはトランジスタラジオのときも似た経験をしています。米国の家電メーカーにとって、ソニーのトランジスタラジオは、安くて小さくて性能の悪いラジオでした。当時のトランジスタラジオの音質の悪さは私も覚えています。今の常識で音質が悪いと言っているのではありません。当時の真空管ラジオの音を聞き慣れた自分としてはめちゃ |
くちゃ悪い音でした。だからソニーは独走できたのです。
企業は、改善 改良 バージョンアップが好きですね。アイサイトと同じで、これまでの自分を否定する度合いが小さいからです。この逆が嫌い。改悪やバージョンダウンが大嫌いです。ソニーのトランジスタラジオは、真空管ラジオに比べてサイズは改良されていましたが性能が改悪でした。その嫌悪感のため、他社はソニーの独走を許してしまいました。 日本車が米国市場に進出を初めた頃、ソニーのトランジスタラジオと同じことが起きました。米国の自動車メーカーから見ると日本車は、安くて小さくて性能の悪い車でした。この中でもとくに性能が悪いという部分に米国の車メーカーはアレルギーを起こしました。自分たちが有って当然だと |
思っている性能を部分的にせよ否定するということは、それまでの自分を大きく否定しなければならない行為だったからです。それで、日本車パクリカーをすぐに出すことができませんでした。市場があることがわかっていながら、そのことを受け入れるのに無駄な時間を費やしました。そのため日本車の独走を許してしまいました。
日本車メーカーは「安くて小さくて低性能」な車をわざと輸出したわけではありません。昔のテレビコマーシャルに「いつかはクラウン」というキャッチフレーズがありました。日本の自動車メーカーも米国の場合と同じで「大きくて、値段が高くて、高性能」な車が好きです。でもそれが米国市場では「小さくて、安くて、低性能」な車だったわけです。米国のメーカーも最終的には「小さくて、安くて、低性能」な車の需要を無視できなくなりました。最後は認めたわけですが、それがあまりにも遅すぎました。 似たことは日本国内でも起こっています。 |
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軽自動車の流行です。日本のお大手メーカーにとって、軽自動車は安くて小さくて性能の悪い車です。アメリカの自動車市場における日本車と、日本の自動車市場における軽は同じポジションです。ですから、この流行を大手メーカーは、受け入れるのに時間がかかりました。今は、軽自動車を大手メーカーは受け入れています。でも遅すぎました。軽自動車専業メーカーの独走を長期にわたって許してしまいました。
スマホゲームにおいて、ソニーや任天堂が遅れを取ったのも同じ理由です。既存大手ゲームメーカーにとってスマホゲームは、安くて小さくて性能の悪い製品でした。これまでの自分を否定する度合いの大きなものでした。それで、捨てる自分を持たない新興企業の独走を許してしまいました。 コンピューターの世界でも似たことがありました。 1968年4月公開の 2001年宇宙の旅 という |
映画で悪役として出てくるコンピューターはHALという名前ですが、これが、アルファベットで、IBMの文字を1個ずつ前へずらしたものであることは有名な話ですね。
昔、IBMといえばコンピューター コンピューターといえばIBMという時代がありました。コンピューター市場において、IBMのシェアとノレンがあまりにも大きいので、他社は正面から戦うのをあきらめて、その互換機や付属機器に活路を見出そうとしていた時代がありました。現在は違いますね。今の若い人にとっては「IBM? なにそれ」かもしれません。IBMは何を間違えたのでしょうか。 昔のコンピューターは、買うにはあまりにも高く、置くにはあまりにも大きかったので個人所有ができませんでした。研究機関や企業が所有するものでした。でも、組織所有のコンピューターを順番を待って使わせていただくのではなく、個人で持ち自由に使いたいという要望は当時もあった |
わけで、それを実現させたのがパソコンです。初期のパソコンはマイコンと言われていました。つまり、私(だけ)のコンピューターです。
日本におけるパソコンの第1次ブームでは、売られたのは完成品ではありません。ビニール袋に部品が入っていて、買った人が組み立てて使います。今の我々から見ればおもちゃですね。実用性はありません。でも大ヒットしました。それくらい、自分で独占所有できるコンピューターが パソコンの流行の初期においては、当時の大手メーカーはその流行を受け入れられませんでした。だってパソコンは、安くて小さくて性能の悪いコンピュータだったからです。それまで自分達がやってきた、高くて大きくて性能の良いコンピューターの開発を否定するコンピューターだったからです。 パソコンが大化けしそうだと、コンピューター |
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における次の主戦場になる可能性が高そうだとわかった後もIBMはへっぴり腰のままでした。人と予算をパソコンに十分に振り向けることができませんでした。それは既存事業を削ることになるからです。それがIBMにとってつらすぎたのです。結果、アップルやマイクロソフトなどに代表される、守るべき自分を持たない新興企業の独走と急成長を許してしまいました。
話を大人ミニに戻します。我々は、自分の今までを否定する度合いの大きな変化を受け入れるのにそうでないものより長い時間を要します。、売るアイテムをかえる。つまり今までの売れ筋だったアイテムを否定して、別なアイテムを売り出すということは、「ボタンの大きさを変える、ボタンの数を変える、季節に合わせて素材を変える、プロにしか分からないレベルでシルエットを変える」などと比べると、それまでの自分を否定する度合いが大きくなります。それで受け入れるのに余計に時間がかかります。 |
では、もし、ヒットと同時に時間をかけずにすぐにやってしまった企業やブランドが有ったらどうなるでしょうか。トランジスタラジオやウォークマンと似たことが起きます。他社がもじもじしている間は独走できます。市場はブルーオーシャンですから、どんなに強気でも作り過ぎにはなりません。他社がようやく追随しはじめるころまでには「大人ミニの○○」「大人ミニなら○○」などというのれんが出来てしまっていますから、ライバルが増えすぎて価格競争が激しくなるレッドオーシャンになった後も優位を保ち続けます。でもこういった事件はめったに起きません。それまでの自分を否定することは、人間の本能に反していますので、ダイエットなみの心理的苦闘を覚悟しなければならないからです。新アイテムを大量に市場に出すということは、全部で100%ですから、今までの飯のタネであった既存アイテムを止めるかその数を大きく減らさなければなりません。これがつらいので、新アイテムは、早くやった場合でもチョロチョロの数量になりがちです。でも、チョロチョロでのれんを作るのは無理
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なのです。
これまで「今までの自分を否定する度合いの強いことを受け入れるのには時間がかかる」と言いましたが、これだけで、変えるのにかかる時間が決まるわけではありません。 実際はもう少し複雑です。変えなければいけないことを示す経験が強ければ時間は短くなります。その経験頻度が多ければ、かかる時間は短くなります。つまり、時間の長短というよりも「経験の強さ×経験の数」の大小と言ったほうがより正確です。 (上の文、2018/10/31 記載。青字の部分は2019/02/05加筆) 【関連サイト】 没落するMicrosoft、「失われた10年」の原因は何だったのか? ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ |
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