ページの表題 流行予測を新聞記事で 2004/06〜06/04トップページへもどる

冷え込む消費マインド
売れ筋見つけられず同質化

低価格追い打ち

   4月以降、売れ行きが日を追うごとに悪化している。3月まで2ケタ増を維持していた店も一転、暗雲が立ち込めている。好調な店やブランドはごく一部。メンズ、レディス、小物雑貨も売れ行き不振が広がっている。多くの売り場、メーカーは売れ筋を見出せずに深刻な表情。消費マインドの急激な冷え込みに戸惑っている。
 
同質化加速説
 「自社の問題を除くと、大きいのは近年、続いて
   
きた同質化の極み」と分析するのはユナイテッドアローズ。同質化説は強い。
  「個性的なものが売れない」と原宿のショップ「ナンバー44」。4、5月には売れ筋の欠如、トレンドやスタイリングの不在、仕掛けの弱さが重なって同質化したと見られる。売れ筋はデニム、美脚パンツ、シャツ、キラキラ商品、雑貨と、どこの店もほぼ同じ。ヤングから大人服、エレガンスからカジュアルまで上質化やベーシック志向一辺倒の強烈な“売れ筋の集中化現象”を生んだ。
  追い打ちをかけたのがコピー。「ベーシックに振りすぎたこともあるが、コピーが異常に早く出回り、随時出るヒットの山が小さい」とセシルマクビー。3月までの売り上げ2ケタ増が4月から1ケタになった一因に挙げる。
 
   
価格帯地滑り説
  同質化は低価格化を一歩、進めた。レディスヤングカジュアルのボリュームは1900円、2900円。昨年の4900円、3900円から地滑りした。しかも今年は1枚ではなく、タンクトップにシャツや羽織り物と、2枚セットだ。
  同質化と価格競争の強まりで苦戦している代表はカットソー。「5月連休以後、棚物単品の動きが悪化した」とロートレ・アモン。棚物の構成比が今春夏で45%前後まで高まっていただけに響くと話す。

 
(繊研新聞04年6月17日付1面より抜粋)
 
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−流行予測 2段目−
モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
話がだいぶ混乱しています。まず、仮需(小売店やメーカーがやったこと)と実需(消費者がやったこと)に分けましょう。「近年続いてきた同質化の極み」。これは、スタートの時点では実需。それからだんだん仮需。今年の話なら仮需。「個性的なものが売れない」。これは、数年前なら実需。今年の話なら仮需。「売れ筋の欠如、トレンドやスタイリングの不在、仕掛けの弱さ」。前年の数字などから、これが売れるだろうと山を張って、準備して、キャンペーンを張って、メデタシメデタシで終わったのが最近まで。それがうまくいかなくなったのが今年。
 
「売れ筋の同質化現象」、これは今年の話なら仮需。実需が本当にこうなっているのなら苦戦していません。いつも言っていることですが、仮需は実需に反応しているんではなくて、実需の累積に反応しています。
   
売れ筋の同質化現象という実需が何年も続いたので、その実需に合わせた仮需のピークが今年来たということです。
 
「コピーが異常に早く出回り、随時出るヒットの山が小さい」。ニワトリが先か卵が先かの議論になりますが、ヒットの山が小さいから、コピーが速く出回るようになったとも言えます。

あなたがコピー屋で今までオイシイ思いをしてきたとします。ちょっと前までは、どのヒット商品も寿命がロングで、コピーするのにも余裕がありました。儲けるための時間が十分ありました。ところがある時点から商品の寿命が縮んできました。にもかかわらず自分の同業者が増えてきて競合が激しくなってきました。、以前ほどうまく行かなくなりました。で、どうします。ちょっと前まではルンルンだったんですから、やりにくくなったくらいで、もうやめたとはならんでしょう。今までどおりのことを、ライバルより過激にやって、出し抜こうと
   
過激にやったら過激にしくじるするでしょう。「すぐにパクって安く出す」をもっと極端にしようとするでしょう。ライバルを出し抜くつもりでいたら、他の人も同じことを考えていて、みんなが早く安く出そうとするので、儲からなくなる時期が早くなっただけだったというのが今年です。これは限界まで競争が続きます。
 
「コピーが異常に早く出回り、随時出るヒットの山が小さい」というセリフを関係者が言うのは今回が初めてではありません。オゾックやフランドル、MKミッシェルクランが肩で風を切っていた時代の終わりにも言われたことです。もっと前の例では、鈴丹やキャビン、三愛の苦戦が始まったバブル崩壊前後にも言われたことです。当時とよく似たことが起こっているんです。
 
Tシャツに代表されるチープな 
 
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−流行予測 3段目−
カットソーが苦戦し始めたのも、当時と今は同じです。カットソーを作る丸編み機は、織物を作る織機や、セーターなどを作る横編み機に比べて高速運転が可能です。短納期で商品を納められますので、すぐにパクッテ安く大量に出す時代には、儲けの主役になります。その分、差別化の時代が来ると、嫌われるアイテムの代表になります。
 
さてこれからどうしたらいいんでしょう。今年の状況は、大手レディスチェーンがずっこけた時代、平成ブランド、日本型SPAがずっこけた時代によく似ています。ということは、これからのファッション業界は、POSTヤングレディスナショナルチェーン、POST平成ブランド時代によく似ているはずです。当時はインポートセレクトショップやインディーズが人気になっていました。
 
個性、クセ、希少価値、差別化、基本品質、丁寧な作り、ちょっと変わってる、私だけ、プラスアルファのデザイン、わが道を行く。こういう言葉を聞いて
   
どう思いますか。消費者としてどう思いますか。ちょっと前に聞いたときより今のほうが新鮮に聞こえませんか。私は、こういうコトバにみんなが反応して評価する時期を「対立視」と言っています。対立視のタイミングには、差別化が価格に転嫁できます。
 
今回の対立視もやるべきことは今までの対立視の時と同じです。これからやるべきことは、今までの成功パターンをより過激にやることではありません。今までの成功パターンは、失敗パターンになります。これからは、今までの成功パターンを否定して、その逆をやらなくてはいけません。どこまで逆を徹底させるべきかは、その人のおかれた立場によって違いますが、逆が入っていないと儲からないというのは、どの人も共通です。これはつらいことですので先送りしたくなります。先送りしなかったところが次のヒーローになります。
 
(この文2004/06/28に記載)
   
 
【関連ページ】
原因も結果も前と同じ、だからやるべきことも同じ
(理詰めのトレンド予測4章5節より)
 
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−流行予測 4段目−

【ベストセラー】
加速する「一人勝ち現象」

  片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』と養老孟司の『バカの壁』が、300万部を突破した。話題をさらった芥川賞受賞の2作品も売れている。ベストセラーの続出で、出版不況の出口は見えてきたのか。
解説部 鈴木 嘉一
      〔・・・・・・〕
■構造
「話題性」で進む二極化

  出版科学研究所によると、書籍の推定販売部数=グラフ参照=は7年連続で落ち込んだが、1−5月は金額で前年比2.8%増だった。佐々木利春主任研究員は「今年は久々に話題作が多い。秋には『ハリー・ポッター』シリーズ第5巻の発売が控えており、通年でプラスに転じる可能性は高い」と期待する。
  長引く出版不況の中で、なぜ記録的な
   
ベストセラーが相次ぐのか。佐々木主任研究員は「本をあまり読まない人が飛びつき、新聞やテレビのランキング情報がそれを増幅させる。その結果、売れる本はますます売れ、売れない本は全く売れないという二極化が進んでいる」と指摘する。
  出版界に明るいフリーライターの永江朗さんも『興味深いのは、片山さんのほかの作品はそれほど売れていない点だ。以前の読者なら、ある作家を知ると、その人の作品を読みあさった。今は『話題を集めている』という評判を安全牌とし、消極的に選択する」とみる。
  また、流通市場の変化も挙げられる。コンピューターに直結したレジの導入が、90年代、大手書店を中心に進み、どの店でどんな本が売れているか、瞬時に把握できるようになった。売れ筋の商品を並べるコンビニ店やスーパーでは当たり前のシステム。在庫管理が容易で、増刷計画が立てやすい。“書店のコンビニ化”も「1人勝ち現象」を加速させている。
(読売新聞2004/06/28、13版11面より抜粋)
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
人々が他人と同じことをしたがり、同じものを欲しがる時期があります。この時期を私は「同一視」と言っています。同一視とは、物事の共通点に関心を持ち、評価する流行です。同一視の時期には、売れているものの種類が減ります。そのかわり、その少ない種類の売れ筋はたくさん売れるようになります。長期間同じものが売れるようになります。売れていることが、売れている原因になります。
 
みんなと同じものに関心を持ち、みんなと同じものを買い、もんなと同じものを持とうとするわけですから、流行情報に弱くなります。売れているハヤっているとマスコミが言うとますます売れるようになります。その情報はウソであってもいいんです。消費者を信じ込ませることができれば効果があります。この頃の新作映画は、どれも大ヒットだらけですよね。「大ヒット」と表示が
 
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−流行予測 5段目−
あると、関心がない映画でも見たくなるという人が増えたからです。異性にもてない人は、自分はもててるもててると言いふらすと、こういう時期は本当にもてるようになるかもしれません。
 
全くのウソとまでは言えないが無理やり作っているという数字であっても、ヒット商品ランキングのランクが上がると、本当に売れるようになります。これだけでヒット商品が作れるわけではありませんよ。でも、本来の実力に上乗せできる数字が大きくなります。例えば、メールマガジンの場合、登録してくれた人にはオマケを付けるとか、デジカメが当たる懸賞に応募するには、メールマガジンに登録するのが条件だとか言って、無理やり登録者数を増やすと、その登録者数の多さにひかれてさらに登録者数が増えるということが起こります。後から登録した人は、デジカメのために登録したわけじゃありませんから、本当の読者です。同一視の時期には、この後から登録する人たちの数が半端じゃありませんので、手間隙お金をかけても十分元が取れます。
   
 
メールマガジンで効果があるのなら、一般の書籍でも効果があるはずですよね。それで、メルマガを書いている人が本を出す時に、何日の何時から何時の間に、インターネット書店のアマゾンで注文をしてくれたら、買った本の何倍も値打ちのあるおまけをつけますと広告するのが大流行となりました。アマゾンのベストセラーランキングは、集計期間が短いので、その程度の仕掛けでも数字が大きく変わるんです。この前なんか、一般の書籍ではないただの小冊子がランキング一位になりました。こりゃもう末期症状ですね。この方法も広がりすぎました。
 
どんなに犠牲を払っても、ランキング上位を取ってしまえば、その数字にひかれて買う人が増える、読む人が増える。買う人が増えれば、その数字にひかれて買う人が増える、読む人が増える。この繰り返しの相乗効果で、初めの犠牲は回収できる。この理屈が成り立つのは、他人と同じことをやりたい人が増える
   
同一視の時です。この数年間は同一視が続いていましたんで、ウソでもいいから数字を作れというのが大ハヤリになりました乗用車の1か月の販売台数が、その地方の全登録台数より多かったなんて地方があるそうです。どの業界もきわどいことをやっています。
 
ファッション業界も同じです。服をランキングを見て買うという人はあまりいませんが、ファッション雑誌がハヤる、ヒットすると言うと欲しくなるという人は大勢います。とくにこの数年増えました。それで、雑誌に載った商品ばかりが売れるという現象が、このところ起こっていました。他の人と同じものが欲しいんですから、そういう人の代表である読者モデルが、セレブと呼ばれて人気者になりました。
 
アパレルメーカーは、自分のところの商品を雑誌に載っけてもらうために、金とエネルギーを使っても元が取れるようになりました。雑誌に載せてもらう競争が起こりました。そういう動きを批判していたところも、
 
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−流行予測 6段目−
このごろは我慢できなくなって、雑誌に載るために金を使うようになりました。抵抗していたところが転向した(ダジャレではありません)のですから、流行のピークです。供給側の行動でみた流行のピークですから、消費者の行動でみた流行(実需)では終わりです。
 
話をベストセラーにもどしますと、売れる本がベストセラーに集中する現象はもう終わりです。これからは、いかにもマイナーという書籍が意外と売れるという時期に入ります。
 
(この文 04年07月18日に 記載)
 
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トーキョー再開発

      〔・・・・・・〕
  建築のデザインは、完全にトレンドが変わったようだ。都庁のように重さや権威を象徴するのではなく、透明度が高く、軽快で取っつきやすい.きっと時代の気分が、フォーマルからカジュアルに向かっているのだ。重さより軽さ、閉鎖より開放、権威より自由さ.巨大プロジェクトの施主たちも、時代の風の変化に鋭敏なのである。
  あちこちの会社でカジュアルフライディが広がっているという。話題のライブドアの社長も、そういえばいつもTシャツ姿だ。毎年トレンドの変わるファッションと同じように、あれほど巨大な再開発も、流行に簡単に左右されるのである。地上二百bの超高層ビルの威容は見ものだが、そのデザインはといえば、僕たちのネクタイの太さが変わるのと同じようにお気楽なものなのである。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は作家の石田衣良のエッセーからの抜粋です。2004年8月16日付の日本経済新聞夕刊に載りました。私がこの文を書いているのが2014年の10月ですから、今から10年前の話です。
 
カジュアルは12年周期ですから、10年前ということは今から2年後の2016年8月とこれはイコールになります。ただしそれは〔エレガンス・カジュアル〕という循環要因に関してだけです。
 
〔エレガンス・カジュアル〕の循環に関して私は多くの場合、衣類の流行つまり日本語の「ファッション」を例に説明していますが、それが直感的に分かりやすいからです。ファッション分野では、循環要因のステップが次のステップに移るたびに、おしゃれな人の格好がころっと変わりますし、オシャレでない人の格好も
 
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−流行予測 7段目−
2年後をあなたはすでに知っているそれなりに変化します。そしてそれをだれもが観察できます。だから説明に便利です。
 
でも実際はファッションと呼ばれている分野だけではなくて、人間が関与して起こる社会現象全体に〔エレガンス・カジュアル〕の循環要因は関与しています。たとえば、この石田さんのエッセーにあるように、巨大建築や人気者のキャラにもカジュアルの循環があります。拙著「理詰めのトレンド予測」ではおもに出版物を例に言葉のカジュアル循環について説明しました
 
現在はすでに、カジュアルの流行のテッペンであるトップカジュアルになっています。ただしそれは若い人の頭のなかだけの話です。オジサン・オバサンはまだですし、若い人の流行でも、外から観察する人が気付くという意味ではこれからです。
   
……というわけで、気付く流行のピークは2年後となるわけです。
 
これを読んでいるあなたは、大多数の人が気付くようになる時期の2年前にすでに知っているわけですから、今すぐにやるべき事、今から仕込んでおくべき事もわかりますよね。先手必勝です。
 
(この文、2014/10/21に記載)
 
【関連ページ】
最大のヒット商品はホリエモンだった
(理詰めのトレンド予測6章7節より)
 
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夏を乗り切る毛穴ケア

女性用化粧品に最新技術

 
滑らかな肌にあこがれ、毛穴の汚れや黒ずみを気にする女性が増えている。そんな女性への夏向け商品として、化粧品各社が毛穴対策商品を相次ぎ発売している。価格は一般的な化粧品より割高だが、高い機能性が売り物。従来の夏用化粧品は紫外線対策などが中心だったが、今年は最新技術で毛穴を目立たせない商品などで新たな需要を取り込もうとしている。
        〔・・・・・・・・〕
滑らかな肌求める

  美しい肌を求める女性の間ではシミやそばかすを防ぐ美白ブームが続いているが、最近はこれに加え、「赤ちゃんように滑らかな肌を求める傾向も強まった」(資生堂)ことが毛穴対策商品の背景にある。……
 
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−流行予測 8段目−
 
(05年5月17日付 日本経済新聞31面12版より抜粋)

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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
  これは、肌の表面のデコボコをきらい、フラットさを求める流行です。こういう流行は服地などにもありますね。
 
これとは逆の流行もあって、フラットをきらい、デコボコを支持します。服地ではコーデュロイ、エンボス、ゴム編、梨地織、クレープ、ピケ、ホップサック、ツイード、ブッチャー、タフタ、ブロードクロス、ポプリン、タッサー、ピケ、ドリル、チノ、ふくれ織りなどなどさまざまなタイプがあります。
 
  ただ、肌の場合、デコボコブツブツ
   
していた方がいいというのは、我々が持っている常識に反しますので、デコボコを大きくする化粧品というのはチョッとなさそうです。ということで、デコボコが流行している時の肌は、デコボコさせるものが流行するのではなくて、フラットにさせるものの評価が落ちるという形で現れます。つまり、売りづらくなります。
 
  フラットの流行も、他の流行と同様で、年齢によって受け入れる時期が違います。この流行は女性の場合、記事が出た05年5月時点では、30歳代から50歳代までで大当たりです。
 
  つまり、20歳代では、すでに終わっている流行ですし、60歳代ではまだ始まっていない流行です。盛夏になれば、30歳代もこの流行から外れます。
 
  前年の04年5月の時点では、このフラットの流行はヤングの流行でした。ヤングでは04年秋もフラットの流行は続きました。
   
それで05年は各社いっせいに毛穴対策商品を発売しました。
 
【この文、05年05月23日に記載】
 
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−流行予測 9段目−

新製品「旬」は一瞬

商品寿命考

短命のカラクリ■上
デジカメ首位、年7回交代
 −前略−
   日産自動車が中期経営計画のテコ入れ策として昨年九月に同時発表した、新型車六車種の息切れが早くも鮮明になっている。単月の販売台数が、発売後三カ月間の平均に比べ六割の水準を保っているのは小型車「ティーダ」のみ。高級セダン「フーガ」は半年で三割の水準にまで落ち込んでいることがわかった。
      〔・・・・・・〕
  トヨタ自動車も新車が売れる「旬」の短期化に悩む。数年前まで発売後半年間は月販目標をクリアする新車が多かったが「最近では三ヶ月ももてば
   
御の字」(幹部)。
  技術革新の早いデジタル製品ではより顕著だ。ヨドバシカメラでは今年五月までの一年間でデジタルカメラの全店販売台数一位が七回交代した。その前の一年間の首位交替は回だけ。「トップ商品が翌月、ベストテンから消えることもある」と担当者は指摘する。……

(日本経済新聞2005/07/01、11面13版より抜粋)
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
消費者が物事の違いに関心を持ち評価する時期を「対立視」と言います。これとは逆に、消費者が物事の共通点に関心を持ち評価する時期を「同一視」と言います。「対立視」が活性化している時期と「同一視」が活性化している時期は代わりばんこに来ます。そして、一定の周期で繰り返しています。
   
 
現在は対立視が活性化している時期です。若い人だけでなく、老若男女すべての市場が対立視になっています。 対立視の時期の消費者は、同じであることを嫌います。同じ物を大量に長期間見せられるとゲップが出ます。他と違う商品、自分が持っている物と違う商品、鮮度のある商品を求めます。ですから、この時期に売られる商品は、街にあふれるようになると急に魅力を失います。そのため、商品寿命が縮みます。
 
こういう時期には、ランキング上位の販売数が下がってきます。売れていることが必ずしも魅力にならないんです。それで、上位と中位の差が同一視の時期ほど大きくはなくなります。また、上位にとどまっていられる期間も短くなります。
 
こうなると、メーカーは、大手より中堅、中堅より零細なところのほうが、同一視の時期に比べて相対的に有利になります。
 
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−流行予測 10段目−
同一視の時は欠点だった、たくさんは作れないこと、たくさんは売れないことがプラスになるんです。
 
ですから、大手メーカーも小さなメーカーのような作り方や売り方をするようになります。同じデザインを長期間大量に売ることをあきらめて、こまめにデザインを変えるようになりますし、市場を細分化してそれぞれの分野に合った商品を供給するようになります。
 
小企業をまねる政策は、大手のメリットである大量計画生産を否定しますので、大手は業績のふるわないところが増えます。でも、短期間少量を消費者が要求しているんですから、苦戦してもやらざるをえないわけです。

 
【この文、05年07月06日に記載】
 
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    コンサルタント森田洋一    
(^^♪(^^♪(^^♪  ちょっと脱線  (^^♪(^^♪(^^♪
 
森田洋一です。テレビ局、映画会社、レコード業界、広告産業、プロダクションなどは、宵っ張りの朝寝坊で有名ですね。なにしろ、夕方に会っても「おはようございます」と言うそうですから。
 
こういう業界は、当たる方が圧倒的に少ないわけで、どうすれば当たるかが分かっていませんから、努力しても当たる確率はたいして上がりません。
 
逆説を言うようですが、だから努力するんですね。不安で不安でしょうがないから、自分を安心させるため「俺はこんなに努力している」と言えることをやるのですね。手っ取り早く、誰の目にも見える努力ということで、夜更かしの競争をするのだと思います。
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
 
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−流行予測 11段目−

世界への挑戦
    ぐっと身近に

日本の新興カジュアルブランド

海外バイヤーから熱い視線
日本の品質に高評価
  
  新興メーカーの間で海外進出熱が再び盛り上がっている。以前と異なる
のは、日本のカジュアルブランドへの評価が高まって進出が求められている点だ。合同展からの参加要請や、海外のショールームがブランドを発掘する動きが
目立っている。有力店のバイヤーの来日も目立ち、世界への挑戦がにわかに現実味を帯びてきた。
−中略−
デザイナーの高倉一浩さんは東京発のカジュアル
   
ブランドに対する関心の高さを実感している。 『ヨーロッパのバイヤーにとっては新鮮で、バランスの良さが評価されているのでは』と言う。
       〔・・・・・・〕
来日したショールームのバイヤーの目にとまって2カ月で話が決まった。

 
(繊研新聞2006/01/04、15面より抜粋)
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
現在は 「カジュアル」の活性期です。この時期は、デザインの自由度が上がり、新しいデザインを消費者が支持します。それで、日本のデザインが世界をリードするようになります。それは、特にカジュアルウエアではっきりします。そのことに気づいた、欧州のファッション関係者が日本に視察に来ます。日本オリジナルの
   
人気ショップを、そのまま欧州へ持っていった場合、成功の確率が以前より高くなります。日本からの直輸入品は、その鮮度の高さを評価されます。これを日本人がやれば輸出ですね。
 
日本のデザイナーが欧州へ進出した場合、向こうで評価される、つまり成功する可能性が上がっています。日本のストリートファッションのコピーが、欧州のコレクションに出てくるようになります。
 
前回のカジュアル活性期では、「我々が前年にさんざん売ったウエアにそっくりなデザインが、欧州のコレクションに大量に出ている」と日本のカジュアルウエアメーカーがびっくりしました。
 
欧州の業者が、日本のショップで買った商品をそのままそっくりコピーして欧州で売ると、実際に売れることが多くなります。
 
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−流行予測 12段目−
そして、これらのことは、消費者の流行ではなくて供給側の流行ですから、現在のようなカジュアルの活性期が終わった後もしばらく続きます。
 
この、日本のカジュアルファッションが欧州より先を行くようになり、コピーされるようになる流行について、さらにくわしく知りたい方は、は、今度出版される本でくわしく説明していますので、そちらを参考にしてください。
 
【この文、06年1月21日に記載】 
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セレクト書店

本選び・演出にこだわり


「同じ好み」にファン続々
大型店との違い強調
  小さいながらも、独特な品ぞろえや、こだわりで存在感を示す書店が増えてきた。大型書店やネット書店の隆盛、出版不況が言われるなか、店主の個性やセンスを発揮した書籍のセレクトショップ。空間演出にも凝りファンを集めている。
      〔・・・・・・〕
  品ぞろえや本選びを売り物にした小さな店は、以前からある。古書店であれば大半がそうで、独特の風情を醸し出している名店や人気店は少なくない。が、このところ目立ってきたユニーク書店は、きちんと新刊書も扱っているのが特徴。ヴィヴォ・ヴァも七割が新刊だ。
  「店はいわば私の作品。私の個性、才能を買ってもらっているんです。
   
私は空気感を売っているようなもの」
  ガケ書房(京都市左京区)を経営する山下賢二さん(33)は、出版社、印刷業、古書店、新刊書店での勤務を経ての開業だ。


(日本経済新聞2006/01/21付S11面「本選び・演出にこだわり」より抜粋)
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
セレクト書店は、「小さ」くて、「独特な品ぞろえ」をし、「こだわりで存在感を示す」わけですから、このあたりは、ファッション業界で「セレクトショップ」と呼ばれている店と同じです。
 
ファッション業界の元祖セレクトショップは、数が増えすぎて、個性があいまいになり、本来の定義から外れている店が増えています。
 
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−流行予測 13段目−
セレクトショップは、「オーナーや店長のセンスで、様々なブランドから選んだ商品を売っているショップ。特定のブランドを売るのではなくて、店側の個性や主張を売る」という本来の定義からは疑問符の付く店が増えました。現在の定義は「セレクトショップと自ら名のる店がセレクトショップだ」というものでしょう。その点、この記事に登場するセレクト書店は、本来の定義どおりの店です。
 
消費者が商品の違っているところに関心を持ち、その違っているてんを評価する時期があります。この時期に活性化している循環要因を「対立視」と私は言っています。対立視の時期には、セレクト書店のような、個性とこだわりと感性を前面に出した小さなショップが活躍します。他の商品や他の業界でも同じです。この時期には、その逆のタイプ、つまり、膨大な品ぞろえを誇る何でもありの大型店が苦戦します。消費者から、「何でもあるけど、欲しいものがない」と言われるのはこういう時期です。
   
実需より膨らむからバブルただ、つかまえている客の絶対数が、セレクトショップと大型店ではまるで違いますので、「対立視」や、それとは逆の循環要因である「同一視」との相関は、大型店の業績よりセレクトショップの業績のほうがはっきりしています。
 
現在は「対立視」の流行の後期にあたります。それで、「売れる」「儲かる」の実需だけでなく、「店が増える」「供給量が増える」という仮需の流行も膨らんでいます。
 
もしあなたが大型店の経営者だったとしたら、対立視の時期にはどうしたらいいでしょうか。カンタンですね。セレクトショップのやり方を部分的に取り入れればいいのです。対立視の時期は、大きな売り場を分割して、小さな専門店が集まっているように見せかけたり、個性的な商品を
   
増やしたり、量よりも種類を追求したり、商品の入れ替えをひんぱんに行ったりすると、そうしなかった場合より儲かります。実際に大型店は、「対立視」が来るたびに、毎回そういう対策を取るのですが、時期が遅すぎるためたいていうまくいきません。対立視が終わって、同一視が始まる頃になって、対策を本格化させるところが多いんです。
 
【この文、06年1月24日記載】
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−流行予測 14段目−

児童書新刊育つ

発行点数 5年で3割増
知育への関心広がる
  「ハリー・ポッター」がけん引してきた児童書市場のすそ野が広がっている。新刊発行点数は五年あまりで三割以上、伸びた。大手書店チェーン各社は相次いで児童書売り場を拡充、親子で絵本を読めるコーナーを設けるなど工夫する。
      〔・・・・・・〕
  こうした動きの背景には子供の「知育」への関心がある。文部科学省が昨年一二月、まとめた二〇〇四年度の『子供の学習費調査』によると、公立小学校に通う児童が教養を高めることを目的に単行本や文庫本などを購入する費用は一人あたり年間四千五百三十四円。前回調査(〇二年度、四三二九円)に比べ約五%増えた。
   
(日本経済新聞2006/01/21付31面より抜粋)
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
知育への関心が強まった最大の理由は、「アリ」という循環要因の活性期がこのところ続いていたためです。アリというのは、物事を長期的に考える流行です。この時期の消費者は、今現在だけでなく、将来のことも考えて商品を購入します。
 
児童書とオモチャを比べた場合、刹那的な面白さというてんではおそらくオモチャのほうが上でしょう。でも子供の将来を考えるときは、たいていの親は、オモチャで遊んでばかりいないで、本をもっと読んでほしいと思います。 それで、物事を長期的に計画的に考える「アリ」の活性期には、オモチャが売りづらくなり、児童書が売りやすくなります。
   
じつは、アリの活性期はもう終わりで、これからは、アリとは逆の「キリギリス」の活性期に入ります。ですから、知育への関心は今までより落ちてきます。
 
もし、あなたが出版社の人間で、児童書を扱っていたとして、キリギリスの活性期に入ったときにはどうしたらよいのでしょうか。簡単ですね。消費者は、刹那的になり、先々のことを考えなくなるのですから、将来のためになる本より今だけのための本を支持するようになります。具体的にいうと、教養も知識も身に付かないけれど、面白くて楽しい本です。これからの児童書は、親が喜ぶ本から子供が喜ぶ本へ、売れ筋が移ります。
 
【この文 06年01月24日 記載】
 
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−流行予測 15段目−

ワールドワイドなマルキューことSHIBUYA109(2)

  渋谷109にまた足繁く通うようになって、思ったのが、海外のお客様が増えたこと。
アジア圏だけでなくアメリカヨーロッパ?なお客様がどうみても増えてる
 
韓国・東南アジア方面のお客様は以前からいらっしゃる。でも、海外から来たのでなく、日本で生活している方だったりする。
 
それに対して、この数年で明らかに増えたのが、中国の方
団体さんや家族連れが多く、間違いなく中国からの旅行客
これはマルキューだけでなく、他のデヘでも見受けられるはず。
   
中国の景気のよさを物語っている一面
 
それに対して、いつの間に増えたのか西洋の方(ふるっ。)
白人って表現で大丈夫?
ほんといつのまに増えたのってぐらい眼につく。
アジア圏のお客様より見た目でわかるってのもあるけど・・・
女性の方二人ずれとかならまだしも、西の海外の方が男一人でショップ袋を2つも3つも持ってマルキューの館内を歩いている
そんなのもちょくちょく見かける。
 
もしか、サンプル買い??
どうみても、そんな海外のお客様もいる。
 
実際、コレクション見ていてあんた、マルキューのあそこパクッたでしょ!そう思えるものもある。
   

ほんとのところ、どうなのか店長に聞いてみると、
 
(^O^)外国のお客様多いです。結構、買ってくれま〜す。
 
(?_?)英語喋れるの?
 
(^O^)ぜんぜ〜ん
 
(?_?)どうやって接客してんの?

 
(^O^) This is No1!No1 Selling
これで押し切っちゃいます。No1に弱いですよ、海外の人って。
 
(?_?)ほんまかいな?それってやっぱりサンプル買い?
   普通に お み や げ !?かな?
 
 
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−流行予測 16段目−
ワンフレーズで押し切るのはいいけど、顔に似合わずたくましいのね、店長さん
 
ブログParadiseGarage'06年4月19日付(http://plaza.rakuten.co.jp/paradisegarage/)より 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
「エレガンス」が活性化している3年間は、デザインの自由度が下がり、挑戦的企画を消費者は受けつけなくなります。前回のエレガンスの活性期にも、決まり切ったデザインのおばさんくさい商品がエレガンスショップに並びました。それをヤングが喜んで買っていましたよね。そんな状態ですから、日本のデザインは欧州より遅れを取ることが多くなります。とくにカジュアルファッションがダメになります。

これとは逆に、「カジュアル」が活性化している
   
3年間は、デザインの自由度が上がり、挑戦的企画を消費者が支持します。そのため、日本のデザインは先進国のなかでも最先端を行くようになります。これもカジュアルウエアでとくに顕著にみられます。

04年までは、日本がカジュアルで、欧州がそうではありませんでしたから、日本のカジュアルファッションは世界の最先端を行くようになりました。その結果、日本のファッションをパクって欧州のコレクションで発表すると新しいと評価されるようになり、日本の店からサンプル買いして、それをそのままコピーして欧州で売ると儲かるようになりました。そのことに気付いた欧州のファッション関係者が現在、続々日本へ出張してきています。店頭の消費者の反応でみると、メドインジャパンをコピーすると儲かる時期はすでにピークを過ぎています。でも、日本のデザインをパクる流行は、消費者ではなく業界の流行ですので、そして、業界の流行は消費者よりかなり遅れますので、今が盛りという感じです。
   
07年の末ぐらいになると、これまでとは逆に、欧州のファッションをコピーして日本で売ると儲かる流行がスタートします。欧州のショップの内装をそっくりまねて店を作ると儲かるなんてことも起こります。これは、衣料品店だけでなくレストランや飲み屋など他の業界でも同じです。そういうことが当たりになって数年後に、それに気付いた日本のファッション関係者が、一人で、あるいは数人で、ショップ袋をいくつももって欧州の街をうろつくようになります。そして、向こうの店員に「これ売れてる!これが一番よ」と言われると、外れた商品でも買うようになります。つまり、今、日本に出張してきている白人がやっていることと同じことを、日本人が欧州に出張してやるようになります。

【この文、06年4月30日記】
 
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このページ前回更新 ’06年4月30日、最終更新2014/10/21
 



01/10/18