理詰めのトレンド予測 ウエブ版                                     トップページへもどる 目次へもどる
     第6章 [エレガンス]と[カジュアル]もしくは[束縛]と[自由]
       7 最大のヒット商品はホリエモンだった
       人間にも「カジュアル」や「エレガンス」があります。
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自分自身が商品のビジネスでは、
 演技も必要
  これまでは「自由」の活性期でした。今回の「自由」での最大のヒット商品は「ホリエモン」だと私は思います。
  堀江貴文が、いきなり有名人になったのは2004年6月です。近鉄バッファローズを買い取ると宣言して世間を驚かせました。Tシャツにジーンズというスタイルも、既存の秩序や権威を無視したような言動も賛否両論が出ました。
  年が明けて2005年2月に今度は、ニッポン放送の株を買い占めました。フジテレビとの駆け引きはみんなの注目を集めました。次にどうなるか予想がつかない展開で、台本をねりにねったドラマを見ているようでした。普通はこういう問題に関心を持
 
ちそうもない人まで、ホリエモンを話題にしました。
  堀江はこの時も、カジュアルな服装でした。既存の秩序や権威を無視したような言動もプロ野球に参入を宣言したときと変わりませんでした。
  「自由」という循環要因を象徴するキーワードは、「カジュアル」、「ドレスダウン」、「何でもあり」、「オキテ破り」、「無礼講」、「非常識」、「きたない」、「崩れている」「偽悪的」でしたね。「束縛」という循環要因を象徴するキーワードは「エレガンス」、「ドレスアップ」、「トラッド」、「でなくちゃいけない」、「きれい」、「正統派」、「権威主義」、「形式ばる」、「ちゃんとしている」「偽善的」などがありました。
  こういうキーワードをひとつひとつ当てはめてみると、堀江さんはどう考えても、「自由」ですし、アンチ「束縛」です。実際にやったことやそのあげた成果の何倍も関心を持たれたのも当然でしょう。
 
  「自分の学生時代を『ニート』に例えた若者は、既存の秩序や規制に守られた大企業中心のビジネスに裸一貫で挑んで成功した時代の寵児として若い世代の共感を集めた。その浮薄な熱狂が失敗の土壌となった。
 ▼若者の喝采と旧世代の顰蹙(ひんしゅく)の中で生まれた時代の寵児は過去にもいる。若い日の石原慎太郎東京都知事が書いた小説『太陽の季節』はモラルを否定した無軌道な青春を描いてブームを作った。その後の消費社会の爛熟を予感させた作品を巡る世論は二分された。『ヒルズ族』の象徴の逮捕をどう受け止めたか。
 ▼プロ野球の球団やマスメディアの買収まで手を広げてそれが株価をつり上げて利益を生み出す。事業の内容ではなく『金がすべて』の
堀江流錬金術の底流にはルールやモラルを欠
――146――――第6章 「エレガンス」と「カジュアル」もしくは「束縛」と「自由」――――ファッション予測と流行予測、次へ
 

−トレンド予測 147段目−
いたニヒリズムが漂う。Tシャツにジャケット姿で『権威』に挑んだその姿に若者たちが重ねた新しい生き方への夢はどこへ向かうか」(日本経済新聞2006年1月25日1面11版「春秋」より)
 「太陽の季節」が第34回「芥川賞」を受賞したのが1956年ですから、石原慎太郎の「自由」は、堀江貴文の「自由」より4周期前になります。
  堀江貴文や石原慎太郎でも分かるように、人間にも〔自由・束縛〕の区別があります。今までの「自由」の次に来る「自由と束縛の中間」の時期には、「自由」に片寄りすぎたキャラクターの人間はこれまでほどには受けなくなります。
  かわりに人気が出るのは、「自由」タイプと思われている人間が「束縛」タイプの行動を取る場合と。これとは逆に、「束縛」タイプの人間が「自由」タイプの行動を取る*1場合です。過去の例では、2周期前の「自由と束縛の中間」の活性期に活躍したアナウンサー出身の逸見政孝さんは、この束縛が自由をやった例です。ニュースを読んでいたマジメ人間がバラエティ番組に進出して成功しました。ということは、バラティ番組に出ていた人間がニュースを読んでも中間期なら良いわけです。
 2005年の衆議院選挙を民主党代表として戦っ
 
 た岡田克也さんは、当時、その超マジメなキャラクターが時代と合わなくて損をしました*2が、これからは違います。「ひょうきん者の岡田克也」あるいは「不良中年の岡田克也」をぎこちなく演じれば人気者になれます。
 
  あなたが自由(カジュアル)タイプ、束縛(エレガンス)タイプのどちらだったとしても、自分と反対のキャラクターのマネをすると、中間の時期は人気者になれます。へたくそに演技しましょう。12年周期のうち、全く反対のタイミングの3年間をのぞいた残りの9年間はあなたのものです。
 
            

 
 
*1 「束縛」タイプの人間が「自由」タイプの行動をとる。
 ルー大柴やエドはるみがこのタイプである (書籍の「理詰めのトレンド予測」が出た時点では、二人とも人気が出ていなかった。なので、この注は書籍版の方にはない。サイト版のみ)
 
*2 ……損をしました。 
 個人の話ではないが、NHKも、その性格が時代と合わなかったため、小事件が大事件になった。
  
【関連ページ】
読紙感想文、10/02/13 服装批判で会見、謝罪
 
09/01/22転載
――147――――第6章 「エレガンス」と「カジュアル」もしくは「束縛」と「自由」――――ファッション予測と流行予測、次へ  

−トレンド予測 148段目−
 
 

 
目次 0 /
第1章 流行の原因には「特定要因」と「循環要因」の2つがある
1-1 / 1-2 / 1-3 / 1-4 /
第2章 「曲」と「直」で流行が変る
2-1 / 2-2 / 2-3 / 2-4 / 2-5 / 2-6
第3章 デザインの流行は「上比長」「下比長」に分かれる
3-1 / 3-2 / 3-3 / 3-4 / 3-5 / 3-6 / 3-7
第4章 「同一視」と「対立視」を知って流行を読む
4-1 / 4-2 / 4-3 / 4-4 / 4-5 / 4-6
第5章 「アリ型人間」と「キリギリス型人間」は交互に現れる
5-1 / 5-2 / 5-3 / 5-4 / 5-5
第6章 「エレガンス」と「カジュアル」もしくは「束縛」と「自由」
6-1 / 6-2 / 6-3 / 6-4 / 6-5 / 6-6 / 6-7 / 6-8
第7章なぜ、まったく同じ流行が起きないのか(3つの理由)
7-1 / 7-2 / 7-3 / 7-4
 
 
     
 
 
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