ページの表題 社会の変化は流行の原因ではない        トップページへもどる

−トレンド予測 1段目−

流行要因は目に見えない

モード工学の森田洋一です。
市場のトレンドが動く原因は、大きく分けて、循環要因と特定要因の2種類があります。循環要因とは、流行を繰り返させる要因のことです。誰でも直感的には分かっているように流行には繰り返しがあります。その、繰り返している方の流行の原因が循環要因です。たとえばミニスカートの流行は、これまで繰り返し何度も起こっています。このところ落語がブームでしたが、落語ブームもこれまで繰り返し来ています。このようなタイプの流行を起こす原因が循環要因です。
   
一方、流行には繰り返さない変化もあります。この繰り返さないタイプの流行を起こす原因を特定要因と呼びます。
 
狭い意味でのファッションではとくに循環要因の部分が大きくなります。だから、流行が繰り返していることを我々は直感的に理解できます。でもファッションと呼ばれていないトレンド変化でも、循環要因の影響はかなりの部分を占めます。見えづらいだけです。
 
マスコミは流行の原因について語るとき、ふつう循環要因の話をしたがりません。市場のトレンドが動く原因のもう一つの方の特定要因だけで説明しようとする傾向があります。その方が楽だからです。
   
特定要因は、戦争や干ばつ、社会事件のように直接見ることができる場合が多いですし、そうでないときも統計が取れます。それに対して循環要因は、直接見ることができません。普通のやり方では統計も作れません。だから、マスコミは流行の原因について語るとき、循環要因を無視します。それどころか、循環要因によるトレンド変化さえ特定要因のせいにする傾向があります。
 
例を出しましょう。BSE(狂牛病)ショックです。2001年9月に狂牛病にかかった牛が発見されたという報道があり、そのせいで、 焼き肉店や、牛丼チェーン、ハンバーガーショップが大苦戦をした。そうマスコミは説明しました。この説明は半分は正しい。ただし半分だけです。                               
 
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−トレンド予測 2段目−
この、「牛肉苦戦は狂牛病が原因だ」説では、なぜ、ハンバーガー屋や牛丼屋がそれ以前に安売り競争をしていたのか説明できません。安売り競争は狂牛病以前なのですから。
 
マクドナルドが、平日に販売するハンバーガーを半額にしたのが、BSE発覚の前年の00年2月です。吉野家が牛丼を400円から280円に値下げしたのが、やはり同じ年の10月です。
 
ハンバーガー屋や牛丼屋が値下げ競争をしたのは、既存店の売上が前年割れを続けていたからです。
 
値下げ競争が好きな経営者はいません。あなたが、ハンバーガーチェーンの社長なら、どんどん売れていたら値下げなどしないはずです。たとえ、円高などで仕入れコストを下げることに成功した
   
としても、売る値段をすえおけばそのまま利益になるのですから、今までの値段で売るか、客から文句が出ない程度にちょっとだけ下げるかです。同業者とけんかになるほどの値下げなどしません。
 
牛肉業界が値下げ競争したのは、ディスカウント店が増えたのは、牛肉が消費者にあきられていたからです。すでに嫌われていたからです。 
 
人間の行動には習慣性、惰性がありますから、あきられた商品でも、その魅力の落下ほどにはすぐに消費が落ちることはありません。とくに食品では、口に入れるものですので消費者は保守的になりますからなおさらそうです。
 
消費者が好きになっている度合いを基準にすると、BSEショック直前の牛肉はその魅力の実力より売れすぎていたことになります。
   
その数字の過剰部分を狂牛病ショックがカットしたのです。
 
BSEはもともと鶏や羊の病気です。それがかからないはずの牛にかかったから騒いだわけですから、そもそも、BSEが恐いから鶏肉を食べるというのはナンセンスです。BSEが恐いから牛肉が嫌いになったのではなくて、牛肉が嫌いになったから、BSEをあれだけ騒いだのです。
 
03年10月6日に8頭目のBSE感染牛が見つかりました。検査の結果によると感染ルートは今までの牛とは違うようです。でもだれも騒ぎません。牛肉もいつもどおり売れました。03年末にアメリカで狂牛病が見つかった後は、牛丼が食べづらくなりましたが、それは、役人や政治家のせいで、お客が店に行かなくなったわけではありません。アメリカでは、狂牛病発見の後も牛肉の消費量は減って
 
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−トレンド予測 3段目−
いません。むしろ増えています。
 
狂牛病は特定要因ですので、狭い意味でのファッションではありません。でも、客観的な深刻度が同程度でも、消費に強く影響を与えたえる時期と弱く影響を与え時期があります。つまり、狂牛病が市場に影響を与える度合いは時期や場所によって異なります。この違いはファッションです。
 
この狂牛病ショックによく似たことは過去にも起きています。69年10月に起こった「チクロショック」です。アメリカで人口甘味料のチクロに発ガン性の疑いがもたれ、厚生省が製造販売を禁止しました。あの時も、死者が出たわけでもないのに大騒ぎになりました。その影響で、「渡辺のジュースの素」で有名な渡辺製菓が倒産しています。
 
当時は、「甘さ」の流行のどん底の時期にあたり
   
ます。キャラメル、アメ、かりんとう、甘納豆などの甘味の強い菓子がのきなみ苦戦していました。一方で「スナック菓子」と呼ばれる新勢力が急拡大していました。砂糖相場は泥沼状態で、精糖会社はコスト割れに苦しんでいました。甘い味は嫌われていたのです。だから「チクロ」は「ショック」になったのです。
 
ちなみに甘味料のチクロは、ヨーロッパでは今でも使われています。[チクロショック」のときに大騒ぎをされたマスコミの方は、ヨーロッパへお出かけの際は断食をおすすめします。
 
人気絶頂のタレントにとって、ゴシップは勲章ですが、落ち目のタレントにとっては致命傷になります。これも同じ現象です。
 
最大の原因ではないし、本当の原因でもないといっても、数字急落の直接のきっかけは、狂牛病ショッ
   
 
(^^♪(^^♪  ちょっと脱線  (^^♪

    講演会場の森田洋一 
新聞に載った私の写真です。ファッションビジネスについて講演したときのものです。
 (^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
 
 
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−トレンド予測 4段目−
クですし、チクロショックですし、ゴシップです。そしてこれは事件ですから目に見えます。それで、マスコミはそちらばかりを強調します。

袖の長さはエアコンで説明できない

循環要因による変化なのに構造要因による変化のせいにされている例を他にもあげましょう。
 
「サラリーマン向けのドレスシャツで半ソデが売れなかったのはエアコンが普及したからだ。いくらネクタイを締めていても、半ソデではドレッシーじゃないよな。カジュアルすぎる。それに、真夏でもジャケットを脱がない人が増えたしね。」半そでドレスシャツが売れなくなると、百貨店やスーパーはいつもこう言います。メーカーも同じことを言います。しかしこれは誤りです。 
   
たしかに、20年スパン、30年スパンの話としてはエアコン原因説は必ずしも間違っていません。エアコンが普及する前のサラリーマンは大変だったようです。夏場の午後などは、暑さで頭がボーとしてくるし、汗で書いたものは汚れるし、たまりかねて扇風機を回せば、風で書類は飛んでしまうし、……。  私も暑がりの汗っかきなもので、当時の人の苦労は想像がつきます。もし許されるなら、裸同然の格好で仕事がしたいくらいでしょう。でもできません。せめて、腕ぐらい出しておきたい。腕まくりしても、しないよりはましだけどやっぱり暑い。ネクタイは締めているのだから、半ソデくらいは許してよね。 でも、事業所にクーラーが普及してくると事情は変わってきます。半ソデでなくてもルンルンで仕事ができます。そうなると、半ソデを着ていることは、まだクーラーが入っていないダメ会社のダサいサラリーマンですとわざわざ宣伝していることになります。それで、見栄を張って長ソデを着ようとなります。
   
乗用車で風を入れるための三角窓が廃れてしまったのと同じ理屈です。
 
でも、クーラーの普及は1年や2年で起こったことではありません。事業所のクーラーの普及率が、1年で20%から80%になったなんて事実はありません。チョッとづつチョッとづつ普及していきました。ですから、半袖が売れない主因がエアコンの普及ならば、何年も何十年もかかってダラダラとなだらかに半袖のシェアは落ちてきたはずです。ところが実際は、半袖のシェアはある年に急激に落ちています。予期せぬ人気急落にそのときのドレスシャツ業界はあわてます。秋が来る前に処分しなくてはなりませんから大変です。でも間にあわずに大量の在庫を残してしまった。そんなことを過去に何回も何回も繰り返し経験しています。

 
その逆もあります。
 
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−トレンド予測 5段目−
半そでドレスシャツの予期せぬヒットです。今度も足らなくなって大あわてです。売れてない長そでドレスシャツのソデを切って半そでに作りかえます。これも繰り返し経験しています。天気のせいではありません。暑ければ半ソデが売りやすい。涼しければ長ソデが売りやすい。当たり前ですね。でもそれは特定要因ですから主因ではありません。脇役です。長そでが売れた夏がみんな冷夏だったわけではありません。むしろいつもより暑かった年もあります。半そでが売れた年が特別に気温や湿度が高かったわけでもありません。
 
クーラーの普及による半ソデ占有率の変化は、単年度に区切って観察すればちょっとだけになります。それも同じ方向のちょっとだけです。同じ方向のちょっとだけの変化では、供給過剰も供給過小も起こりません。でも、現実の半そでは余る年と足らない年があります。流行だからです。
   
ある夏に半そでが売れるのか売れないのかは流行なのです。
 
2011年春夏も半袖ドレスシャツがヒットしましたが、このときは原発事故による節電のせいにされました。これも同じです。節電は、半袖の流行にプラスに働きましたが、流行を作ったわけではありません。でもマスコミはそれだけで半袖の流行を説明しようとしました。
 
流行を、ダラダラ型の特定要因によるちょっとだけで説明しようとする傾向は、むしろ衣料品以外のほうが強くなります。たとえば冷蔵庫、あなたの家に最初に来た冷蔵庫に比べて、今使っているのはどうですか。かなり大きいのではないですか。ドアの数も増えました。なぜ大きいのでしょう。冷蔵庫が普及することによって、冷凍食品や紙パック入り牛乳、減塩漬物、生菓子のように、冷蔵庫を使うことを
   
(^^♪(^^♪ お知らせ (^^♪(^^♪
 
  森田洋一です。日経MJの「身につく読書」欄で私の本がほめられました。
理詰めのトレンド予測」(秀和システム)
06年6月6日発売 294ページ1260円
   理詰めのトレンド予測の表紙 
  ここまで種明かしをして良いのかなと自分でもためらったくらいにトップシークレットを公開しました。詳しいことは森田洋一の本のページで
 
 (^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
 
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−トレンド予測 6段目−
過剰・過小生産の原因は流行前提とした食品が増えました。近所の店で毎日買っていたのが、比較的遠い店でまとめて買うようになるなど、買い物の習慣が変わりました。
 
冷蔵庫に何を入れるかという常識も変わりましたね。我が家の女房は、醤油、鰹節から、薬、水枕まで冷蔵庫に入れています。この分だと、缶詰を入れるのも時間の問題かも知れません。
 
省エネの技術が進んだというのもありますね。大きいのに買い換えたからといって、前より電気をたくさん食うわけではないのだから、このさい大きくしとこうかとなっても自然です。
 
こういうもろもろの大型化の理由は、
   
長期の変化の説明としては私も正しいと思います。電気冷蔵庫が普及し始めてから45年ぐらいたちますから、45年かかって起こった変化の説明としてはいい線いっているのではないでしょうか。
 
でも、45年かかったということは、1年分の変化は1/45ということです。同じ方向のちょっとずつの変化です。こんなもので生産過剰や生産過少が起こるわけありません。でも、家電量販店へ行くと分かりますが、大型冷蔵庫の値引率が 大きくなる年や、小型冷蔵庫の値引率が大きくなる年があります。販売台数の読み間違いをいつもやっているということです。
 
こういう短期の変化は社会の変化のせいではありません。流行なのです。メーカーが今月あるいは今年何台生産しようかと決めるときに大事なのは流行です。構造変化のちょっとずつではありません。
   

戻る変化を続く変化と間違える

では、設備投資はどうでしょう。かなり先の市場の変化まで読むべきですし、読んで当然です。だったら、変化は大きいが、しばらくするともどってしまう短期の流行の変化よりも、単年度なら少しずつの変化でも長期間同じ方向を向いている社会要因(特定要因)のほうが大事な場合もあるのではないでしょうか。
 
「やるべき」「やって当然」で言えば、そのとおりでしょう。実際に設備投資を計画実行する人達がそう動いていればね。でも現実の社長さんや事業部長さんはそうしていません。 大手電気メーカーの幹部が、もし本当にそういう発想で行動しているのなら、過剰生産と過少生産を2年ぐらいの交代で繰り返すシリコンサイクルなど発生するわけがありません。実際は、1年足らなければ強気、2年足らな、
 
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−トレンド予測 7段目−
ければ超強気、1年あまれば弱気、2年あまれば超弱気という、我々のような普通の人と同じ発想で行動しています。
 
半導体は長期にわたって成長を続けていますし、装置産業ですので、設備投資は巨額ですが、ランニングコストは、量産するほど増産分はタダに近づくという性格をもっています。そのため、強気と弱気のサイクルが他の分野と比べると極端になります。というだけで、電気冷蔵庫の生産量を決めるのと違う思考回路で会社が動いているわけではありません。
 
長期的に考えて行動しなければならないのに、短期の変化に過剰反応してしまうのは、工場の設備投資だけではありません。03年ごろ、マスコミがさかんに流していた報道に、シニアマーケットが元気だというのがありました。 価格の高い贅沢品を
   
高年齢層がジャンジャン買っている。プラズマテレビを買っているのはこの層だ。携帯通話料だ、就職難だ、リストラだと、金を使う気になれないことだらけの若い連中と違って、資産家の年金世代は財布の口が緩んでいる。シニア市場はおいしいぞ。…というわけで、さまざまな企業がいっせいにこのマーケットに参入しました。
 
この話、以前にも聞いたことがありませんか。それより7年ぐらい前の96年前後です。当時のマスコミも、03年ごろとほとんど同じことを言っていました。で、結果はどうなりましたか。シニアマーケットを狙えビジネスはほとんどが失敗でしたね。参入した企業で結果が出る前に、シニア層の財布の口が閉じてしまったのです。
 
何がいけなかったのでしょうか。シニアで贅沢品がジャンジャン売れているのなら、それにビジネス
   
のやり方をシフトするのは当然です。問題は、その傾向がこれからもずっと続く構造変化だと考えて、全く新しいビジネスを始めてしまったり、新たに投資をしたりして、ブーム以前の元いた場所に簡単にはもどれないように、再修正できないようにしたことです。シニアが元気かどうかは流行だという発想がなかったのです。
 
消費者が高い贅沢品を買うかどうかは、収入や資産だけでは決まりません。経済学者や評論家は、収入や資産で購買性向を説明したり、消費の傾向で企業の利益を説明したり、企業の利益で家計収入を説明したりと、説明のジャンケンポンをやります。でも、こういう経済の理屈だけで、それぞれの数字が決まるわけではありません。それぞれの数字は個人が作っているわけではなくて、大勢の人の判断の合計がきめているわけですから流行なのです。もちろん、変化のすべてが流行だとは私も言い
 
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−トレンド予測 8段目−
ません。でも、流行で説明できる部分があるのです。
 
流行ですから、若い人が先で年配者が後です。渋ちんの流行が来たとき、先に渋ちんになるのは若い人です。そのタイミングでは、シニアはまだ贅沢を続けていますので。若者市場を締め出された人達は、シニア市場にすがりつきます。 でも、シニアの流行は若者より遅れているだけですから、景気のいいのはその一瞬だけで、すぐにシニアも渋ちんになります。 あるはずだと思っていた市場がいきなり消えるのですから、そ
の上に乗っていた業者は、ダルマ落としのダルマのように落ちてしまいます。
 
渋ちんの流行があるということは、その逆の流行もあるわけです。その時はみんなの金遣いがあらくなりますし、価格感度も低くなります。安さにあまり反応しなくなります。
   
これも流行ですから、ずっと続くわけではないのですが、構造変化(ダラダラ型の特定要因)だからずっと続くはずだと勘違いして、低コスト低プライスの店がよく自分の店の原則を崩してしまいます。「昔と違って日本も豊かになった。家ん中は物であふれている。安くてもいらん物はいらないはずだ。だからこれからは価格一辺倒じゃだめだよな。安っぽい物が安いだけなんて飽きられてる。安さを強調するのはひかえて、納得価格でいこう。店の雰囲気や接客にも気を配らなければ。」
 
日本が豊かになって物があふれているのは私も認めますが、それは私が子供だったころと比べた場合です。スーパーマーケットなどというものが産声を上げたばかりのころと比べた場合です。当時は、商店街が福引をやると、お客さんがわんさか押し寄せました。みんな今より貧しく、物欲も今よりたくさんありました。でも、その当時から今まで数十年もたって
   
います。何十年もかかって大きな変化になったので、1年分の変化としてはわずかなものです。ですから、昨年と今年、一昨年と今年のように短期間の過去と比べて、今が特別豊かだったり、物があふれてたりなどということはありません。
 
でも店主は、客が安さに反応しにくくなったのが、これからずっと続く、元にもどらない構造変化だと思っているのですから、簡単には戻れない方法で店を変えてしまいます。
 
次の渋ちんの流行が来て、お客様の価格感度が再び上がると、お店は前のやり方でよくなるわけですが、なかなか元に戻せません。 仕入れの厳しさをゆるめるのは簡単ですが、元の厳しさへ戻すのは何倍も大変です。低品質低価格のものから高品質高価格のものへ変わるのは簡単ですが、低品質低価格へ戻すのは心理的抵抗が何倍も強くなり
 
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−トレンド予測 9段目−
ます。接客を重視するのに比べて、それをやめるのは何倍も勇気が要ります。従業員を増やすより減らす方が大変です。チラシをカラー化するのは簡単ですが、モノクロに戻すのはやはり怖いです。ずっと使うつもりで金をかけた内装は、そんな短期では回収できません。なによりも、つらい自己否定をしたばっかりなのに、それをまた否定してもとへ戻せなんてひどすぎます。そんなこんなで、店はあまり元にもどらずに、現状に近いところで足踏みすることになります。
 
その次に、一億総浪費家の流行が再び来ると、またずっと続く構造変化だと勘違いして、自店の原則をさらに崩します。原則崩しの2回目です。そんなことを何回も繰りかえしているうちに、もとは低コスト低プライスの繁盛店だったところが、高コスト高プライスの元気のない店になっていきます。
   
メーカーにしろ小売りにしろ、市場の変化やお客様の変化に合わせるのは当たり前のことで、そのことは別に問題ないのですが、それがずっと続く構造変化だと勘違いすることが間違っているわけです。
 
特定要因のせいにしたがる理由は、前に話したように、特定要因は目に見えるから、それを使うと説明が楽だというのがあります。マスコミはもっぱらこれですね。もう一つの理由は、これからの変化を否定できるということです。これまで市場が変化してきたことは認めるから、これからの変化は勘弁してほしいという気持ちが、ビジネスをする側の本音としてあります。この変化が今回で最後であって欲しいのです。 ですから、市場の変化に過剰に反応してしまう人も、無視したがる人も、やっていることは逆のように見えますが、その本音を比べると、市場がクルクル変わるのを嫌っているというてんでは五十歩百歩なのです。でも、流行の原因は目に見えま
   
 
           モード工学研究所の森田洋一
 
(^^♪(^^♪ちょっと脱線(^^♪
 
「経営者会報(発行8万部)」という中小企業の経営者向けの雑誌に私の記事が載りました。もっとも自分で原稿を書いたわけではなくて、取材を受けただけですが。
 
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
                                 
 
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−トレンド予測 10段目−
せんし、どんどん変わりますので、目に見えていて、安定しているものだけで説明して安心したいという傾向は、どの業界にも強くあります。市場の変化を、なんでも構造要因や社会のせいにしておけば一応は分かった気になりますが、何も解決しません。また同じように適応しすぎ、しなさすぎを繰り返すだけです。循環要因による市場の変化は、それだけを切り出して論じなければいけません。特に短期の変化を観察するときは重要です。特定要因(構造の変化)が市場を変えているのも事実ですが、そういうのは、循環要因の話をした後からでいいと思います。
 
循環要因は、特定要因と違って直接目に見えませんから、循環要因による変化は、多くの人が読みを外します。分からない変化というのは、それ自体が不安ですから、今の傾向がいつまでも続くと考えることによって安心しようとします。それでなおさら 
   
外れ方がひどくなります。それを外さないためには、過去の資料をもとに、循環要因の最小単位とその動きのパターンを、前もって確定しておく必要があります。目に見えないから分かりにくいだけで、流行は、単位にまで分解してながめれば、かなり単純です。しかも、そのルールはいつも同じです。その、単位にまで分解した循環要因を組み立てて作ったモデルを、時間軸にそって動かしてやれば、次の変化が目に見えるようになります。前もって分かれば、自分がやっていいこと、やってはいけないこともあらかじめ知ることができます。
 
地雷が恐いのは、地面の中に隠れているからです。どこにあるか初めから分かっていれば、恐がらずに歩くことができます。それと同じです。流行が前もって読めていて、次に何が起こるかわかれば、安心して前へ進むことができます。
   

個人の力で流行は作れない

  私は、一個人の行動が単純だと言っているのではありません。一人の人間の行動は複雑ですし、完璧な予測は無理です。
  しかし、流行が一個人の気まぐれだけで発生することはありません。
  聖子カットやアムラーなど、有名人の名前が付いた流行があります。でも彼らが流行を作ったわけではありません。聖子が「聖子カット」をする前に、「聖子カット」はすでに流行しはじめていましたし、安室奈美恵と同じ格好の「アムラー」が話題になる前から「アムラー」はすでに街を歩いていました。
  たまたま有名人が流行に合った事をしていた。それで、流行の拡大スピードがアップした。そして、その人物の名前で、その流行を呼ぶようになった。……ということです。
 
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−トレンド予測 11段目−
ちょっと話が古くなりますが、イギリスで、髪を後で束ねて大きなリボンで止めた髪形が流行ったことがあります。当時イギリスではその髪型を「ファーガソンのリボン」と呼びました。アンドリュー王子と86年に結婚したセーラ・ファーガソンが恋人時代にその髪型をしていたのです。
 
日本でもこの髪型は流行しました。でも誰も、「ファーガソンのリボン」とは言いませんでした。日本にはファーガソンはいませんから当然です。でもはやりました。イギリスでも同じです。ファーガソンがその髪型をしようとしまいとはやったのです。ファーガソンという人物がいようといまいとはやったのです。
 
ファーガソンは、当時英国民が注視していた人物です。マスコミへの登場回数も半端ではありません。その人物がしていた髪型なのですから、
   
流行の拡散スピードが上がるのは当然です。 でも、その髪型に魅力がなければ、マスコミ露出度がどんなに高くても流行はしません。
 
雑誌でヒットした漫画がテレビアニメ化されると「人気がさらに加速」する場合があります。でもそれは、アニメになって、雑誌だけに連載されていたときよりも魅力が増したことを必ずしも意味しません。漫画雑誌の発行部数は、メジャーなものでもン百万部です。日本人は1億2千万人以上いるわけですから、全体の数パーセントの人の目に触れているにすぎません。それがアニメ化されればケタ違いに多くの人の目に触れるわけです。その漫画の魅力がなくなっていなければ、「人気がさらに加速」するのは当然です。でもそれは、魅力がまだ残っていた場合です。残っていなければ「人気がさらに加速」したりはしません。
   
それと同じことで、有名人が身につけたり愛好したりすれば、そうでなかった場合に比べて多くの人の目や耳に触れるわけですから、それによって「人気がさらに加速」することはありますが、そうなるのは、その商品に魅力がもともとあった場合だけです。有名人が魅力がないものをはやらせることはありません。
 
最初に始めた人はどうでしょうか。、流行がスタートした時の人です。この人の前はだれもいなかったのですから、流行を作ったと言えるのではないでしょうか。
 
ある特定の人物が流行を顕在化させるということはありますが、ある特定の人物が流行を作るわけではありません。流行に参加するのがだれよりも早い人はいます。どんなファッションでも、おそらく最初に始めた人は1人でしょう。でもその人を見て他の
 
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−トレンド予測 12段目−
人が感激しなければ、感激してマネをしなければ、その次ぎの人はいませんし、その次ぎの次ぎの人もいません。
 
1人がやったことが、イチ、ニー、ヨン、パー、イチロク、ザンニー、ロクヨンと増えていけば流行ですが、一人のままで終わったのなら流行ではありません。流行は、それがどんなに小さくてもマスの現象です。そして、マスとしての人間行動は、単位にまで分解すれば単純です。単位に分解できても、個人の行動を読む場合は確率論になってしまいますが、集団では確定値になります。
 
それを組み立てて作った簡単なモデルを未来に延長して変化を見れば、実用上十分な精度でビジネスの次の手が読めるようになります。後は、先回りして待ちかまえていればよいのです。先回りといっても、必ずしも消費者の先回りをする必要はあり
   
ません。やれますし、やってもいいのですが、やはり大変です。そこまで早くしなくても、ライバルより先回り、業界の現状認識より先回りしていれば十分ビジネスになります。 
 
 
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          モード工学代表 森田洋一
 
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このページ前回更新 12年09月12日、中見出し「過剰・過小生産の原因は流行」加筆2014/03/17。
 
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