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  第5章 [アリ型人間]と[キリギリス型人間]は交互に現れる

  2 家電、自動車業界の景気は予測できる
      家電や乗用車の業界の景気の移り変わりを見て、次を予測しましょう。
好不況も流行だから年齢によ
  る時差がある

  1984年に、東京秋葉原の電気店で、新しく設けられたパソコンフロアの売り上げが、他の売り場を圧倒するという「事件」が起こりました。日本で最初にパソコン(マイコン)ブームが起こったのは1976年でしたが、それから8年後の出来事です。
  当然、パソコン売り場の新設拡充競争が起きます。パソコン専門店も増え、秋葉原はパソコンの街になっていきました。
  CDプレーヤーの「D−50」が、ソニーから発売され、爆発的に売れたのが同じ1984年の秋です。以後の数年間、
CDプレーヤーとCDは驚異的な伸びを続けました。
  成熟化したと見られていたカラーテレビが新たに成長を始めたのも1984年です。26インチ以上の大型サイズが、つまり30万円前後の高価なテレビが、ホームシアター感覚を求める消費者に受け、その後も売り上げは順調に伸び続けました。
  同じ1984年に日本ビクターとソニーが、「カメラ一体型VTR」を軽量化させ、ヒットしました。翌85年は他社も軽量化競争に参入し、「カメラ一体型VTR元年」と呼ばれました。その後も倍々で増え、二年後には販売台数が4倍になりました。
  こういう新しいヒット商品がつぎつぎと 
出てきた1984年は、若い人がキリギリスになってまもない時期に当たります。家電市場には、すでにキリギリスになっている若い消費者と、まだアリのままの年配の消費者が混在していました。ですから、特定のヒット商品、特定のヒット売り場はあったのですが、この年は、家電業界全体が大きく膨らむところまではまだ行きませんでした。
  1985年からは、シェーバー(電気カミソリ)の高級化が始まりしました。
  「シェーバーの高級化で先行するのはドイツのブラウン社。同社は八五年、網刃ときわぞり刃を同時に使い、アゴの下などそりにくい部分に対応できる高級シェーバー『システム1-2-3』を
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−トレンド予測 102段目−
発売した。『これが大ヒット商品になり、その後の高級化の流れに弾みをつける格好になった』(ブラウンジャパン社)という」(日経流通新聞1991年6月8日付より)
  1987年ごろの洗濯機のブームは全自動洗濯機がリードしました。このことは先の松下電器産業電化本部の話にも出てきましたね。
全自動洗濯機は新しい技術ではありません。そのころより20年ぐらい前からすでにありました。でもそれまで主流だった2槽式に比べて、価格が約2倍もするのがネックで、なかなか普及しませんでした。それがいきなり売れ出したのです。消費者は価格の高さを以前ほど気にしなくなりました。それは他の家電でも同様でした。アンケート調査の結果でも、価格は優先順位を落としていることがはっきり分かりました。
  88年1月に日産自動車が高級乗用車シーマを発売しました。
パーソナルカーとしては初めて500万円台を超えた車種でした。シーマはヒットし「シーマ現象」と呼ばれました。金ぴかバブル時代の真っただ中でした。
  では、このときは〔アリ・キリギリス〕の循環要因はどちらだったのでしょうか。若い人はアリです。すでにアリにもどっていました。事実、当時の若者は消費が地味になりはじめていました。
  乗用車の場合価格が高いので、高級車を買える人となるとどうしても年配の男性に片寄ってしまいます。法人℃要も大きいですしね。ですから、高級車が売れるかどうかは年配の男性の流行で考えなければなりません。それは〔曲・直〕の話に出てきた高級セダン「マークX(エックス)」でも同じでしたね。
  それと、日本では〔3ナンバー車=高級車〕ですが、その統計を見ると、3ナンバー車は何年も前から売れており、前年の1987年の販売台数は前年比37%増でした。ですから、シーマは、
バブルは流行を変形させる
売り出される前からメーカーが強気でしたし、ヒットをマスコミも騒いだわけです。「シーマ現象」は、当時のキリギリスを象徴する現象というより、最末期の輝きを象徴する現象でした。
  ただし、1988年以降も、普通乗用車の総販売台数は2ケタの伸びを続けました。ようやく勢いが反転して、前年同月比の連続割れが始まったのは1990年の9月からです。バブル恐るべし!
  この販売不振ははじめ、翌年の湾岸戦争へと続いた「湾岸危機」のせい*1にされました。それで、一時的な落ち込みだと思われていました。
  そのころの家電製品はどうだったのでしょうか。1988年5月20日付の日本経済新聞によると、
  「経済企画庁が19日発表した消費動向調査(3月実施)によると、耐久消費財購入世帯が昨年から今年一−三月にかけて増加、保有世帯割合はVTRが五三・〇%と初めて
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五割を超したのをはじめ、音声多重式カラーテレビ、ルームエアコン、プッシュホン,CDプレーヤーなどが目立って上昇した。企画庁では、『高級、高機能製品、新商品を家庭が買い求める形で耐久消費財ブームが起きている』と分析している
  当時、前年の1987年にNICS(新興工業国・地域群、具体的には韓国・台湾・香港・シンガポール)製家電のブームがあり、国産品も低価格化が進んでいました。
  家電製品の場合、典型的な工業製品ですから、量産すると、増産した分の製造コストがタダみたいに安くなってしまうという性質があります。そのため薄利多売に走りやすい傾向があります。ですから、販売台数は消費者の人気を必ずしも正確に表していません。価格変動や在庫の量など、他の数字も平行して見てやる必要があるのです。
  その家電製品の低価格化の速度が上がってきたのが、この1988年です。オープン価格製品が増えたのもこのころです。商品寿命も極端に短くなって
きました。
  当時はバブル時代ですから数は売れましたが、一方で値崩れもひどかったということです。比較的若い消費者が「アリ」に戻っていて、価格感度が上昇したからです。
  この後、バブル崩壊とともに乗用車も家電も数が売れなくなり、前に紹介した記事のような惨状になったのです。
  世界最大の電気街、東京秋葉原のシニセや中堅電気店が続々と閉店に追い込まれたのがバブルのピークから直後にかけてです。バブル時代末期は、統計数字は派手でしたが中身がカラッポでした。実際は、経済企画庁が「耐久消費財ブームが起きている」と言ったあたりからすでに儲からなくなっていた*2のです。
  1991年は、乗用車の販売台数伸び率(前年同期比)がマイナスになりました。とくに高級普通乗用車やスポーツカーが落ち込みました。年間トータルではこの年からマイナスですが、若い人に人気のあった車種では、前年の1990年に、5割減という
信じられないような落ち込みがすでに起こっていました。
  1991年6月にトヨタは新型カローラを発売しました。でも、価格設定が高すぎたため販売がふるいませんでした。発売直後から前年実績割れが続きました。当時の自動車不況を象徴する車種になりました。その反省から1992年10月に「マークU」をフルモデルチェンジした際は機能を高めたのにもかかわらず、価格をほとんど据え置きました。こちらは爆発的に売れました。おなじころ、高級車の「クラウン」「ソアラ」は販売不振が続いていました。
  1992年1月に日産自動車から2代目の「マーチ」が出ました。安さが評価されて、逆風下順調に売れました。1300ccより、価格のより安い1000ccの方が人気でした。
  「アリ」の時期は、耐久消費財が売れませんが、それは消費者が耐久消費材を嫌うようになったからではなくて、締まり屋、渋ちんになったからです。価格感度が高いわけですから、価格を思い切って安く
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設定してやるとそれだけは例外的に売れるようになります。安い価格をつけるということはしんどいことですし、いろいろ犠牲を伴います。しかし、安くした努力が報われる時期でもあります。
  これが「キリギリス」になると逆になります。耐久消費財が売れるようになりますし、価格が安いことが訴求力を失います。
 
  1993年は家電製品に変化が見られた年です。相変わらず悪いものもありましたが、回復してきたものも出てきました。家電業界は景気がまだらになった年です。
  猛暑だった翌1994年はエアコンが売れました。それに続いて1995年、96年も販売台数が前年を上回りました。エアコンが売れた理由は猛暑だけではなかったわけです。当時のエアコンは、すでにほとんどの家庭に普及していて、一家に2台目、3台目の需要が支えていました。
  また、同じ1994年は、携帯電話が急速に普及を始めた年でもあります。
あなたも知ってのとおり、携帯電話は、初期費用よりランニングコストの方がかかります。先々の費用を軽視する「キリギリス」の時期にふさわしい商品です。
  この年は車を目的地に導くカーナビゲーションが爆発的に売れ出した年でもありました。次の1995年は家庭用パソコンの販売がピークでした。対前年比1・7倍もの台数が売れました。
  次の話も1995年です。
  「今年一−八月のカラーテレビの国内出荷台数は前年同期比一五%増の五百六十万台。過去最高だった八八年の九百五十万台に迫る勢いだ。しかも、統計に入っていない韓国メーカーなどの輸入品も含めると九五年の国内総出荷は推計千百万台。これに年間百万台以上の市場に育った液晶テレビや昨年登場したテレビパソコンなども加わり、テレビはどんどん増えている。
  乗用車も同様の傾向が見られる。十月の乗用車の新車登録台数は
前年同月比八・九%増。軽自動車の販売台数も九月に同八・一%増と好調だ。」(日本経済新聞1995年11月3日付1面13版「消費新潮流・豊かさのシンドローム」より)
  また、高級高機能家電も売れていました。
大蔵省の貿易統計によると、イタリア製の全自動洗濯機の輸入金額は九五年一−十一月で二十二億四千万円と前年同期に比べ三十五倍となっている。国別でも米国を抜いてトップ。
  この輸入品の主役は、横向きに洗濯機を回転させるドラム式の洗濯乾燥機だ。洗濯物を放り込めば乾燥まで自動で行う。製造コストの比較的安いイタリアは欧米メーカーの白物家電品の生産拠点となり、ドラム式洗濯機も採算が集中する。

  なかでもシャープが昨年五月に発売した『新乾洗』(希望小売価格二十万円)は、国内での出荷台数が
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−トレンド予測 105段目−
昨年五−十二月の累計で二万三千台に達した。スウェーデンの大手家電メーカー、エレクトロラックスと共同開発し、イタリアにあるエレ社のグループ企業のザヌーシに生産させた商品だ。」(日本経済新聞1996年1月19日付より)
  この家電ブームの次に来たデジタル家電ブームでは、ドラム式洗濯乾燥機はブームの柱になりましたが、ドラム式洗濯乾燥機が家電ブームを作ったわけではないことが、この記事からも分かりますね。ドラム式洗濯乾燥機は、1つ手前の家電ブームですでに高い値段で売れていましたから。
当時の乗用車の販売台数は、バブル時代と比べれば話しになりませんが、それなりに回復していました。
  1995年5月発売の新型カローラは、価格を安く設定したのにもかかわらずおもしろくない車として不人気でした。カローラを買う年齢層が「キリギリス」の時期だったので消費者は、機能やデザインなど、価格以外のことの方を評価するようになっていた
からです。 
  その後、過半数の消費者が「アリ」にもどり、耐久消費財はまた値崩れしました。
そのころ売れていた車は1996年11月発売のマツダ「デミオ」、1998年2月発売の日産自動車「キューブ」などの小型RV車でした。セールスポイントは「広くて安い」です。
  1996年は、まだ多くの家電で販売台数が伸びていましたが、値崩れが激しく「利益なき繁忙からの脱出」が各社の課題でした。DVD(デジタルビデオディスク)プレーヤーは、売れば売るほど赤字で、一万円札を貼り付けて売っているといわれる始末でした。
  家庭用パソコンも売れなくなっており、翌1997年はパソコン専門店の倒産が相次ぎました。洗濯機も食器洗い乾燥機もエアコンも携帯電話も売れなくなりました。

  この時の耐久消費財景気のどん底が、消費税率の上がった1997年でした。
  「『安さを強調した品ぞろえに回帰しろ』。日本電気大型店協会会長の平井進吾マツヤデンキ社長は、
6月下旬の経営会議で檄(げき)を飛ばした。昨年来、高額品の品ぞろえを増やしたが、それを今月から再び価格重視に戻す。消費税率上げの反動は四、五月で終わるはずだったが、六月も需要が予想ほど回復しないためだ。」(日本経済新聞1997年6月27日付、「97年度企業収益を読む」大阪経済一部田村正之より)
  1998年に空気清浄機メーカー「カンキョー」が倒産しています。
  それからしばらくしてまた風向きが変わりました。
  乗用車では、1999年9月に高級車「クラウン」が発売になり、安価な小型車「ヴィッツ」の販売台数を上回り注目されました。クラウンはその後も順調に売り上げを伸ばしました。同じころ輸入車でも高額車の人気が回復してきました。
キリギリスの時は、実用一点張りのものよりも、遊びの要素が強い物が売れます。長期的利益よりも、今すぐのうれしさの方を優先させるからです。
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  2001年4月にトヨタが発売した高級スポーツ車「ソアラ」の発売1ヵ月の受注が目標の7倍になり注目されました。このソアラは販売価格が旧モデルの1・5倍以上の600万円することでも評判になりました。購入したのは、40代〜50代のお金持ちでした。
  当時は、トヨタのエスティマや本田のオデッセイなど、値の張る車が売れていたので、トヨタは発売前から強気だったのでしょう。
  高価格帯が良かったのは車だけではありません。
  「東京・日本橋の三越本店。高額品が並ぶ六階の特選品売り場で異変が始まったのは、約一年前からだ。
  『ロレックスのエクスプローラーT、入荷したら連絡もらえます?』。土曜の午後、声の主は白いTシャツに短パンを身に着けた三十台と見られる男性。三十八万円もするこの腕時計を買い求める若い男性客が
財布が軽くなってもケセラセラ
次々に訪れる。同店だけで三十件以上が入荷待ちだ」(日本経済新聞2001年8月12日付17面「Sunday Nikkei」より) 
  「日商岩井自動車販売が経営する仏プジョーの店『ブルーライオン目黒』(東京・目黒)。週末になると若いカップルで店内は込み合う。お目当ては個性的デザインの小型車『206』シリーズ。同クラスの国産車より数十万円は高いのに、『購入客の七割は三十五歳以下』。今春発売されたオープンカー『206CC』(二百七十五万円)は今予約しても納車は来春という人気ぶりだ」(同) 
  2002年には、プラズマテレビとDVDレコーダー、デジタルカメラが「新・三種の神器」と呼ばれるようになりました。プラズマテレビは前年の約3倍、DVDレコーダーは約5倍の台数が売れました。デジタルカメラは1・4倍を下回りましたが、すでにかなり普及して
いましたので個数としてはかなりのものでした。
  ただ、この伸び率の大きさはキリギリスの勢いをそのまま表してはいません。市場規模は、その商品が止まる直前までは、実需にではなく供給量つまり仮需に比例しますから、この数字は仮需の勢いを示しているだけです。
  この時の家電ブームは、デジタル家電がリードしましたので、経済全体の好景気を表すときにもデジタル景気と呼ばれました。
  この比較的若い人の贅沢ブームが終わった後も、シニアマーケットの方では贅沢ブームが続いていたために、2003年ごろに、シニアマーケット参入ブームが起きました。
  〔アリ・キリギリス〕も循環要因ですから、〔曲・直〕などと同じように性別、年齢の時差があります。計算の仕方も同じです。つまり、若者が先に終わり、シニアは後です。
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−トレンド予測 107段目−
  ところが供給側の人間は、贅沢ブームは循環しているとは考えていないので、シニア層だけに残った贅沢ブームを年金資産などの特定要因で説明しようとします。特定要員が原因なら当分の間大丈夫なはずなので、若者市場から閉め出された業者はシニア市場にしがみつきます。でも、シニアは若者よりタイミングが遅いだけですから、その直後に贅沢をしなくなります。あるはずだと思っていた市場がいきなり消えますから、その上に乗っていた業者は、ダルマ落としのダルマのように落っこちてしまいます。
  ということで、シニア贅沢バブルも7年半の循環があります。 
  2003年夏ごろからデジタル家電の値下がりが速くなってきました。すると、もう少し待てばもっと安くなるはずだとさらに買いびかえが起こりました。消費者の大多数はすでに「アリ」の時期に入っていましたので、先々のことを重視するようになりました。それで、値下げの需要促進効果が薄れてしまいました。
  家電業界は、翌2004年のアテネオリンピックの神風を期待しましたが空振りに終わりました。そのころにはシニアまで、締まり屋、渋ちんになっていたのです。
 
  さて、次に「キリギリス」が復活し、耐久消費財が売れるのはいつでしょうか。
  〔アリ・キリギリス〕の周期は、7年半でしたね。ということは前回キリギリスになってから7年半で次のキリギリスです。アリが始まってから4年弱でキリギリスです。具体的な時期を言うと2005年後半ぐらいです。つまり、もう始まっています。ただし、2005年後半というのは「若い女性の市場では」です。
  過半数の市場がキリギリスになり、耐久消費財業界が強気に変わり、仮需が膨らみ、統計数字が好転し、マスコミが楽観的なことを言うようになるのには、今までのキリギリスがそうであったのと同様に、かなりの時間がかかります。
  同じ循環要因なら、世界のどこでも
周期は同じです。なぜなら、人間の生理現象だからです。でも、国(文化圏)ごとにタイミング(位相)が違います。どちらの国がどれだけ早いのか、あるいは遅いのかは、循環要因ごとにバラバラです。すべての循環要因が早いという国はありませんし、何でも遅いという国もありません。この循環要因ではあの国が早い、その循環要因ではこの国が早いと言えるだけです。
  それに「早い遅い」と言っても便宜的なものです。陸上競技の長距離走と違って、循環要因にはスタートもゴールもありませんから、厳密にはどちらが前なのか後ろなのかは誰にも言えません。5年周期で1年早いということと、4年遅いということは同じですからね。この場合、「1年早い」と言う方が「4年遅い」よりも直感的に理解しやすいというだけです。
  〔アリ・キリギリス〕の循環要因は、日本と外国では時差があります。たとえば日米では、米国の方が日本より数年遅れています。むろんこの場合の
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−トレンド予測 108段目−
「数年遅れている」も便宜的なものです。日米で流行に時差がありますから、家電や自動車のように「キリギリス」との相関が大きい産業では、日本で「アリ」の時期になって不況が来たとき、日本では値崩れがひどい商品を米国へ輸出すると、米国はキリギリスですからまだ値が通ります。それで日本企業は一息付けます。
  こういった「キリギリス」型産業の米国への輸出や進出の歴史について、マスコミは勇ましい話をしたがります。でも、日本が悪くなったので米国をあてにしたわけですから、米国へ「行った」「出た」と言うよりも、日本から「逃げた」と言ったほうが真実に近いのではないでしょうか。
 
  あなたが耐久消費財メーカーの人で、どの市場を攻めるかの決定権を持っているなら、若者向けの商品を開拓しましょう。価格は高めにしてください。若者に限定すれば、耐久消費財ブームはもう来ています。これは数年続きますし、途中で年齢を引き上げれば、その後も好景気を謳歌できます。
 
 
 あなたが自社製品の輸出を検討しているのなら、業界の景気と相関が強い循環要因が何かを調べて、それが日本と逆のタイミングになっている国への輸出を考えてください。逆になっている国への輸出は、氷屋が炭屋を兼業するようなものですから、あなたの会社の業績の変動を小さくすることができます。
(続く)  
  
*1 「湾岸危機」のせい
 特定要因だけで説明しようとするからである。
 
*2 儲からなくなっていた
 ほとんどの場合、数量のピークは流行が終わった後に来る。
 
[同一視・対立視]の年表
  
08/1/8転載、10/06/04脚注転載、16/11/07転送先追加  
 
 
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