ページの表題 新聞で流行予測 2015/10~2016/10 トップページへもどる

「SHUNNGA 春画展」

カップル・女性 屈託なし

 東京の閑静な住宅街にある小さな美術館が、思わぬ人出に嬉しい悲鳴を上げている。目白の永青文庫で開催中の「SHUNGA 春画展」には、性愛を表現した鎌倉時代から江戸時代までの肉筆画、版画など130点超が並ぶ(展示替えあり)。大胆な性描写がタブー視され、これまで日本で本格的な春画展は実現しなかった。初めての試みに若い女性やカップルらが殺到している。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
モード工学の森田洋一です。
 
左の文は、日本経済新聞15年10月21日付夕刊の「ブレイク!」からの抜粋です。
 
この春画展は、前に大英博物館で開催したものの帰国凱旋展示です…となるはずが、20以上の施設に断られたすえのやっとこ開催でした。蓋を開ければ大ヒット。「移動もままならないほどの混雑ぶり」だそうです。
 
春画は、当然セックスのタブーに触れますから、ほとんどの美術館の責任者がビビって断ったのもしょうがありません。やっちゃたら、あちこちから批判され、客も入らず、のれんに傷がつき、後遺症も長く続くかもしれ
   
ないと考えたのだと思います。でも結果は逆でした。セックスのタブーは逆にはたらきました。プラスにです。いつもとは桁違いの入場者数にそれが表れています。
 
流行の原因である循環要因に〔束縛・自由〕というものがあります。循環要因は文字通り一定の周期で循環していていくつもあります。〔束縛・自由〕もその中の1つで、トップ束縛→3合目自由→7合目自由→トップ自由→3合目束縛→7合目束縛→トップ束縛と変化します。
 
若い男女とその母親ぐらいの層では、現在これが「トップ自由」になっています。この時期には、タブーに触れることが新鮮でかっこ良くなります。タブーに触れるといっても程度問題ですけれどね。ともかく他の時期よりも寛容になります。寛容を通り越してプラスに評価されます。ファッションの世界でも、破れた穴だらけのダメージジーンズや、タトゥーつまり刺青が流行しています
 
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-流行予測 2段目-
ね。
 
春画展に限りません。タブーが強すぎていつもだったら無理目に思えることでも今なら大丈夫です。これからも成功事例がいろいろ出てくるでしょう。でも、図に乗っていつまでも続けてはいけません。トップ自由は2年間しかありません。その後には、タブーはやっぱりタブーだったという時期がやってきます。
 
(この文、15年10月27日に記載)
 
【関連ページ】
 
長期的に今どんなトレンドが来てる?
 
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五郎丸氏

(W杯までに)強豪のウェールズ、イタリアに勝っても世の中がこっちを見ることは一切なかった。外国出身選手がいるからと思われていたから。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
上の文は、日本経済新聞15年12月29日付にある直木賞作家の安倍龍太郎氏とラクビー日本代表の五郎丸歩氏の対談からの抜粋です。抜粋しすぎましたね。ごめん。
 
2013年6月に日本代表は、遠征してきたウエールズと2戦し、15日の2試合目に23-8でウエールズを下しました。また、2014年6月21日にはイタリアに26-23で勝利しました。この当時の日本代表はテストマッチに勝ち
   
続けていまして、次のルーマニア戦にも18-13で勝ち、記録を11連勝まで伸ばしました。去年のワールドカップの直近にもテストマッチ3連勝を記録しています。
 
つまり、ラクビー日本代表はだいぶ前から強くなっていたのです。でも私はそれを知りませんでした。あなただってそうでしょう。一部のラクビーファン以外は誰も気が付きませんでした。それが今回のワールドカップ3勝で大騒ぎになりました。マイナースポーツがいきなりメジャーに昇格です。
 
一般の人は、日本のラクビーが強くなったのに気が付いていませんでしたから、3勝に驚くのは当然なのですが、それにしてもこれまでとの落差がありすぎます。なぜ気が付かなかったのでしょう。なぜ話題にならなかったのでしょう。「ラクビーでの勝利」という商品が流行から外れていたからです。
 
これは狭い意味でのファッションと同じことです。
 
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-流行予測 3段目-
流行にドンピシャであっても店に無ければ売れませんし、店に有っても流行から外れていれば客は素通りします。流行にあっている物が店にあるときだけそれはヒットします。
 
ラクビーの全日本がどんなに勝っても、流行から外れていれば、コアなファン以外はみな素通りですし、負けていれば、勝利という商品がないわけですから、流行に合っていても素通りです。全日本が勝って、それが流行のタイミングに合っていたから、たとえベスト8に選ばれなくても、外国出身選手がいても、普段ラクビーに関心を持ってない人まで巻き込むほどのフィーバーになったわけです。
 
(この文、16年01月08日に記載)
【関連ページ】
女子ソフトボール元日本代表監督 宇津木妙子氏
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スゴイのに売れない…おじいちゃんのノートいかが

孫がツイート 注文3万冊

  東京の小さな印刷所が手作りした方眼ノート。特許まで取ったのに在庫の山となっていたこのノートが突然、注目を浴び始めた。きっかけは製作者の孫娘がつぶやいた元日のツイッター。7千~8千冊あった在庫に対し、3万冊を超える注文が入り、大手文具メーカーからは提携話も持ち込まれている。
          〔・・・・・・〕
どこのページを開いても真ん中がふくらみにくく平らになる。手で押さえなくてもきれいに開き、…

 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、朝日新聞16年01月19日付の記事からの抜粋です。
真ん中が膨らまないと何がいいのでしょうか。まず、手で押さえなくてもいいから書きやすい。コピー機に伏せておいたときに真ん中が浮かないので画像の中央が黒くならない。歪まない。左右のページが面一枚になるので、左右のページにまたがる図や文が書き込める。つまり、レイアウトの自由度が上がる。ノートの片面サイズの2倍の書き込みができる。例えばA4番のノートならA3番として使える。などなど。
 
でもこの事例を、優れた商品だから簡単にヒットしたと短絡すると間違えます。ヒットに恵まれない上手な歌手がたくさんいるように、爆発的なヒットに恵まれない優れた商品も世の中にはたくさんあります。というか、そちらのほうが圧倒的に多いのです。
 
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-流行予測 4段目-
 
このノートのヒットは、左右のページを分けて使うのが当たり前(参照点)なのを1ページとして使うのですから「一体化」の流行です。ファッション衣料ではワンピースやオールインワン(つなぎ)がこのタイプの流行です。トップとボトムが一体化していますよね。
 
一体化と言ってもこれは独立した循環要因ではありません。分けるのが当たり前のものをくっつけた結果一体化したわけですから循環要因としては結合に当たります。〔結合・分離〕の結合です。つまり今年は結合の流行期なのです。
 
ということがわかっていれば、分かれているのが当たり前だ、区別するのが当たり前だという商品を一体化させるデザインはヒットの確率が現在上がっていることも分かりますね。
 
なお記事中に「全く売れず」とありますが、それは
   
消費者に全く売れなかったという意味ではありません。商社や大手文具店に相手にされなかったという意味です。つまり仮需の話です。
 
ビートルズが最初のレコードを出すときえらく苦労したように、「ハリーポッターと賢者の石」の著者が出版にこぎつけるまで大変だったように、仮需段階での人気は当てになりません。需要≫供給だから大ヒットするわけで、結果が大当たりの商品であればあるほど業界内の拒絶は大きくなります。

 
(この文、16年09月12日に記載)
 
 
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-流行予測 5段目-
   

服好きつかむ地方セレクト店のSC店

路面店の「商品と接客」+入りやすさ
超有力セレクトショップがここ1年で出したSC店の売上が堅調だ。好調な理由は「質の高いブランドを気軽に手に取れる売り場」と「購買につなげる接客力」。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
上の文は、繊研新聞16年2月4日号に、大竹清臣氏、疋田優氏の連名で掲載されたものからの抜粋です。

〔同一視・対立視〕という循環要因があります。循環要因というのは流行の原因で、文字通り循環しています。
   
同一視の時期の消費者は、物事の共通点に関心を持ちそれを評価します。この時期の消費者は、品質やデザインの小さな違いに無頓着になります。そのため高品質や高感度が価格に転嫁しにくくなります。他人と同じであることを好みますから、どこにでもありそうなデザインを、価格を安くして店に出すと、もちろん流行から外れていてはダメですけど、広い範囲の人たちに爆発的に売れます。そのため、売れ筋をすぐにパクって安く出すブランドや店の業績が上がります。これを後出しジャンケンとも言います。ここ数年好調だった店にはこのタイプが多かったですね。

同一視の時は、価格や買いやすさなど、商品そのもの以外の優劣が業績に影響を与えますのでSC(ショッピングセンター)内の店舗が路面店より有利になります。その他大勢と同じ行動が取りやすいというのもSC内の店にとって追い風です。

セレクトショップは高品質・高感度を売りにして
 
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-流行予測 6段目-
います。しかも、大勢の人が通りそうな所をわざと避けた場所に出店している事が多いです。ほんとうに人が来ない場所ではビジネスになりませんから、あくまで他店より相対的に来ない場所ですけど。場合によっては、昔の(今じゃありませんよ)ブティックやDCブランドのように、わざと店内に入りにくく買いづらい店にすることだってあります。

なので、同一視の時期には、セレクトショップらしいセレクトショップは苦戦します。同一視の逆にあたる対立視の時期にうまくいくように仕掛けた業態だからです。

SC出店は同一視のときに良かったのでしたね。ですからSC内のセレクトショップは、商品は対立視、立地は同一視になっているので、同一視優勢から対立視優勢に変わる変わり目のタイミングで元気になります。

この記事に出てくる店はいずれもメンズセレクトショッ
   
プです。メンズはレディスより流行が遅くなります。今のセレクトショップは昔と違って客の年齢がかなり高くなっています。これも流行が遅くなる要因です。
 
先ほど「同一視優勢から対立視優勢に変わる変わり目」であると言いましたが、それは流行が遅いオジサン市場だからです。しかも去年の話だからです。もっと早い市場。例えばレディスヤングの今年の話としてはこれでは遅すぎます。レディスヤングの今年の大当たりは、メーターの針が振り切れるほど対立視シフトした店ですね。

 
(この文、16年02月05日に記載)
 
【関連ページ】
新聞記事からでも流行は予測できる
 
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-流行予測 7段目-

人気商品 すばやく増産
従来の半分、2ヵ月で

ファーストリテイリング傘下でカジュアル衣料のジーユーは、売れ行きに応じて柔軟に生産販売できる仕組みを導入する。従来は生産計画を決めて店頭に並ぶまで4カ月かかっているが、取引工場と綿密に連携して半分の2カ月で増産する。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、16年2月17日付の日本経済新聞からの抜粋です。
 
〔同一視・対立視〕という循環要因があります。同一視の時期の消費者は他人との共通点に関心を持ち評価します。その結果、他の人と同じ格好をしたがります。自分だけのデザインは他の人から浮いてしまうので避けようとします。そのため売れるデザインが無難で平凡になります。街でたくさん見かけるデザインのほうが、めったに見ない尖ったアイテムより好ましく思えますので長期間同じデザインを支持します。結果、商品寿命が伸びます。
 
流行の循環サイクルが伸びるわけではありません。流行周期は、同一視の時期であろうと対立視の時期であろうと変わりません。流行のピークを過ぎた商品は
   
売れる価格が下がってきますが、その下り勾配のピッチが同一視ではゆるいのです。で、他でヒットした商品をすぐにパクって安く出すとそれは準ヒットします。
 
この記事の例では発注から販売まで4カ月かかっています。他社が投入してから自社がそのヒットに気がつくまでに時間がかかります。ヒットに気がついてから発注をかけるまでにも時間がかかります。合計で考えると4カ月ではすみませんね。もっとも、カットソーなどもともと短サイクル向きな商品ではもっと速く店頭に並べられます。
 
どちらにしろ、パクられた元の商品よりはかなり遅れて店頭に並ぶので安くしないと売れません。が、同一視の時期は価格の下落がゆっくりなので、安いといっても採算があう価格で売ることができます。ヒットを確認してからスタートさせる後出しジャンケンなので企画リスクが小さくなります。
 
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-流行予測 8段目-
ビジネスモデルが交代するこのビジネスモデルは、同一視の時期なら、企画のリスクが小さいというプラスのほうが、高くは売れないというマイナスより大きくなります。ここ数年好調だった店やブランドに「すぐにパクって安く出す」タイプが多かったのは、これまでが同一視だったからです。
 
ただ良い時は長くは続きません。同一視がダウントレンドになり、逆の対立視が上昇してくると商品寿命が縮みます。値崩れが速くなり、採算の取れる期間が短くなります。
 
すぐにパクって安く出すファーストファッションと呼ばれるビジネスモデルが、対立視の時期になりうまく回らなくなってきたのですから、対立視の時期にも通用するようにモデルチェンジしなければなりません。
 
   
でも、パクリビジネスで成功していた企業はそれを拒絶します。今までうまく行っていたんだから否定なんかできるか、今までの成功パターンをもっと極端にやれば元気を回復させられるはずだと考えます。短サイクル競争や低価格競争が激化します。
 
でもこれは、流行に逆らっていますのでうまく行きません。他社を出しぬいて早く店頭に並べたつもりが、他社も同じことを考えていて、自社と同じ時期に同じ商品が並びます。速出し競争が激化し、商品が洪水を起こす時期が前よりも早くなります。ますますアイテムが短命化します。
 
競合が極端になっているレッドオーシャン市場でのたうち回っているうちに、店やブランドの評価が落ちてきます。対立視になり、アイテムに鮮度や個性、高品質を求めるようになった消費者の要求に答えていないからです。成長企業の交代が避けられません。

 
   
もっとも今言ったことは、現時点では予測です。こういう現象がすでに起こっているわけではありません。これからこういうことが起こりますよと言っているだけです。何事が起きたのか多くの人間に理解できるまで事態が進行するには、これから何年もかかります。 
 
(上の文、2016/02/17 記載)
 
 
【関連ページ】
売れ筋見つけられず同質化
 
限定商品はやっぱり魅力的

 
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-流行予測 9段目-

欧州発、塗絵ブーム
無心に手動かし快感

 女性たちの塗り絵ブームが止まらない。
      〔・・・・・・〕
買う中心は20~50代の女性で「昨年からのブームの勢いは衰える気配がない」
      〔・・・・・・〕
 ブームで塗り絵に使う色鉛筆が品薄状態だ。三菱鉛筆によると、100色セットが前年の8倍の売上を記録。昨年末発売の塗り絵用商品は2カ月で初年度目標の3倍の注文が舞い込んだ。
 ブームの発端は英国の出版社が2013年に出した「秘密の花園」。これが隣国フランスに飛び火した。

 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、日経新聞16年3月16日付夕刊からの抜粋です。
 
イギリス版「Secret Garden」が刊行されたのが2013年3月、その日本版「秘密の花園」が出版されたのが13年6月です。この塗り絵ブームは海外のほうが大きくてフランスやブラジルなどでは塗り絵本が、日本とは桁違いの100万部単位で売れているそうです。
 
大人の塗絵ブームは以前にもありました。その切っ掛けは05年に河出書房新社から発行された「大人の塗り絵 美しい花編」だったとマスコミの多くが言っています。でもこれは半分ウソです。この前年の04年に「塗絵倶楽部」がすでにヒットを飛ばしていました。
 
ただこれはインターネット通販で売られていたため
   
ヒットといっても限界がありました。それを書店で売って桁違いの参加者を獲得させるのに成功させたのが河出書房新社です。他の出版社も類似本を出したため更に市場は膨らみました。
 
塗り絵本は、ページをめくると白地の紙に黒の線画が目に飛び込んできます。書店で売られている段階では無彩色のモノトーンです。それを家へ持ち帰ってから色付けをします。完成品になった後では、複数の有彩色が塗られた彩色画となります。無彩色から有彩多色へ流行が移る変わり目にでこそヒットできるアイテムです。
 
狭い意味のファッションでも色が復活して来ていますね。数年前は、おしゃれな人ほど全身真っ黒なモノトーンだったり、全身真っ白だったりしていましたが、このごろはベージュやパステルなど色みを感じさせるものを着ている人が増えてきています。もっと派手な色を差し色として取り入れる人も増えました。
 
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-流行予測 10段目-
ジワジワ色が増えてくる 
この流行はこれから更にエスカレーションします。より派手な色のシェアが大きくなりますし、色数も増えていきます。
 
ただ、単調に一直線に伸びるわけではありません。色の流行は、いくつもの循環要因が関係していますので、他の循環要因の影響で変化が止まって見える場合があります。後退してみえる時だってあります。
 
これは季節の変化に似ています。冬から春に変わるときを考えても、日々の変化で見ると、いきなり春真っ盛りになったように思える日も、冬に戻ったように思える日もありますが、数週間・数カ月のスパンで観察すると確実に夏に近づいていきます。

 
   
私がここで言っている派手な色の広がりも同じで、ワンシーズンだけで観察するとむしろ後退して見える場合もありますが、より長期のスパンで観察すると、派手色だらけの方へにファッションは確実に変わって行きます。
 
(上の文、2016/04/07 記載)
 
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-流行予測 11段目-
担当カラー決めて

色違いでおそろ服

個人の「担当カラー」を決めて楽しむ女子グループが増えている。それぞれのイメージカラーで色違いファッションを楽しむ場合もあれば、好きなアイドルグループの「推しメン(一推しのメンバー)」を示すために特定の色のモノを身につける子たちも。
      〔・・・・・・〕
  タワーレコード(東京・渋谷)が昨年10月に発売した「推し色グッズ」もアイドルファンなどを取り込み、販売数が18万5千個を突破する「異例の大ヒット」
      〔・・・・・・〕
 購入者は87%が女性でアイドルグループのファンのほか、アニメファンにも売れている。当初は7~8色展開だったが、自分の推し色がないファンからのリクエストが相次ぎ、現在は最大12色。
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、日経MJ2016年5月9日付け16面からの抜粋です。メンバーカラーとも言い、かなり昔からあります。それが再び流行しているという話です。双子コーデなどと同じでおそろい服を着ることが多いのですが、メンバーが多いことと、それぞれが色を違えていてかぶらないことがお約束です。
 
この話にあるカラーコーデは、グループ全体で見れば多色、メンバーごとに見れば単色。お店の店頭で見ても品揃えは多色、メンバーのそれぞれが買うときは単色です。で、単色と多色の中間になります。こういう流行を私は複色と言っています。
 
この記事にもあるように現在の若い女性は複色のタイミングです。次は多色になりますがその直前です。
   
流行は年齢性別で時差があります。オジさんオバさんは現在複色の一つ手前の単色のタイミングです。白黒グレー濃紺などの地味なモノトーンには飽きてきたが、派手でカラフルなファッションにはまだ抵抗があるというタイミングです。そのため、基本モノトーンにクリアな色を差し色として使ったり、ベージュや茶などのおとなしい色をベースにしたりします。どちらの表現が正解になるかは他の循環要因で決まります。
 
(上の文、2016/05/19記載)
 
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-流行予測 12段目-

中国からも悲鳴。今、なぜ日本向け「衣類輸出」が激減しているのか?

      〔・・・・・・〕
ゴールデンウィークが明ける時期は、通常なら秋物が繁忙期を迎える。しかし、今年は状況が変わっているようだ。中国のみならず、ベトナムでも、日本輸出向け縫製工場はガラガラだという。中国では、「日本人は中国を見捨てたんではないか」と訝しがり、ベトナムでは「日本人はベトナムに飽きてしまったんではないか」と疑っているという。

 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、2016年5月24日付のMAG2NEWSからの抜粋です。
 
〔同一視・対立視〕という循環要因があります。循環要因というのは、流行を循環させている原因で、我々の頭の中にあり、それ自身が文字通り循環しています。
 
これまでの数年間は同一視のタイミングでした。この時期の消費者は、物事の細かな違いを気にしません。商品の鮮度(新しさ)に鈍感で、他人と同じものを欲しがります。自分の家のタンスや外の街や店頭で、同じようなデザインがあふれていてもそれだけの理由ではウンザリしません。他の人と浮いてしまうのを嫌がります。何処にでもあるような物がいいのですからデザインがシンプルになります。商品寿命が長くなります。値崩れの時期が遅れます。
   
 
そのため、同一視の時期は大ロット計画生産に有利になります。縫製工場を他社より早く押さえたところが勝利します。そんな経験を数年繰り返すと早期発注競争が起きます。
 
これが今までの日本でした。でももう終わりです。現在は、同一視とは逆の対立視が上昇しつつあります。対立視の時期の消費者は、物事のわずかな違いを気にします。デザインに妥協できません。商品に鮮度を求めます。少ないことに価値があり、他人とかぶるのを嫌います。違うものを欲しがります。目新しいデザインでも、店頭や街であふれてくると買う気が失せます。
 
それで、対立視の時期は小ロット短サイクルに有利になります。これまでより少なめのロットをこれまでより遅く実需に引きつけて発注するところが勝利します。商品寿命が短くなるので、去年一昨年の売れ筋を早期計画生産すると見切りや不良在庫になってしまうからです。
 
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-流行予測 13段目-
 
商品寿命が短い時代には、リードタイムが長くなる縫製工場は、そうでない工場より不利になります。で、昔だったら国内生産回帰が起こりましたが、現在は国内工場が衰退していますので、その動きは一部で見られるだけだと思います。多くの縫製工場が経験するのは、閑古鳥が鳴くほどに暇だったその直後に来る鉄砲水のような短期多頻度注文です。
 
小ロット短サイクル生産のことをQR(クイックレスポンス)と言います。昔、この言葉をレナウンが使い始めた頃は対立視の時期になって数年たっていました。商品寿命が短く量が売れないので、まだ実需が残っていることを店頭で確認しながら少しだけ生産しようとしました。
 
その後同一視に戻り同じものが大量に売れるようになってもQRは流行語として残りました。ただしQRの意味が変化しました。同じものを追加で繰り返し
   
生産し結果大ロット生産になるという意味にです。
 
現在のQRは流行語とはいえませんね。当たり前になっちゃいました。でもその意味するところは、今までとこれからでは違います。レナウンが使い出した頃のような本来の意味のQRが復活するタイミングです。
 
(上の文、2016/05/26 記載)
 
 
【関連ページ】
原因も結果も同じ、だからやるべきことも同じ
(理詰めのトレンド予測第4章6節)
 
年10回の展示会は当たり前 店頭投入まで1カ月未満
 
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-流行予測 14段目-
「ちょこっとおしゃれ」指南本大ヒット

「普通の服」読者を発掘

  人気ブロガーや女性誌編集者による30~40代女性向けファッション指南本が相次ぎベストセラーになっている。「普通の服」をうまく着こなす方法を解説した実用性が受けているようだ。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、日本経済新聞2016/06/07付夕刊からの抜粋です。
 
2014年の春の頃にノームコアという言葉が話題になりました。ノーマルとハードコアを組み合わせた造語で究極の普通という意味です。ノームコアは日本でも流行りました…て言うか、もっと前から流行っていましたね。流行り始めてからもう何年もたっています。流行り物は廃り物。そろそろ終わりです。
 
ファッションサイトのアクロス内にあるストリートファッション定点観測でも脱ノームコアを言っています。なんでも、今年も去年同様白トップスが多いが、今年は去年に比べてデザインに一工夫があるそうです。また、ズームアップアイテムに柄シャツを取り上げていて、事前の予想より多いそうです。ただしヤングに集中
   
だんだん派手になっていくしています。そう言えば、ヤングでスカジャンが復活したこともちょっと前に話題になりましたね。
 
現在のファッションは、地味から派手な方に変化する途中にあります。ヤングは現在派手の7合目、ミセスは派手の3合目です。ミセスはまだ地味に未練を残していますが、究極の普通には新鮮さをすでに感じなくなっています。
 
この日経の記事では、昨年3月に出版された「365日のプチプラコーデ」がベストセラーになったことが、普通服ブームの事例としてあげられています。プチプラとはプチプライス、つまり安いという意味だそうで、これは現在の低価格ブームに合っています。つまり、〔アリ・キリギリス〕のアリという別の流行要因がヒット要因として関係しています。
 
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-流行予測 15段目-
他の循環要因の応援がないとベストセラーになれないほどに「普通の服」の流行はパワーダウンしてきているということです。
 
来年になればド派手がヤングに受け入れられるようになります。おしゃれな人ほど派手になります。ミセスだってこれまでよりは派手になります。普通服は、以前のようなダサイファッションに戻ります。
 
(上の文、2016/06/11 記載)
 
 
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中国生産へ回帰

高品質で短納期
レディス分野を中心に顕著
  レディス分野を中心に中国への生産回帰が進み始めた。ここ数年,ASEAN(東南アジア諸国連合)、バングラデッシュへの生産シフトが加速したが、高品質な商品を短納期で生産できるメリットが再評価されている。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、繊研新聞2016/06/14付からの抜粋です。
 
東京向け衣料品の縫製工場は、1950年代までは東京23区内にありました。それが、高度成長による人件費の高騰で採算が合わなくなり、賃金相場の高い都心から逃れるため、人件費と土地代の安い地方へと移転していきました。1960年前後のことです。映画「三丁目の夕日」が描いている時代です。
 
当時は、地方移転といってもまだ関東平野の中でした。時がたつにつれて経済成長とともに、人手不足と人件費の高騰は東京近県にも及ぶようになり、更に地方へ地方へと移転していきました。
 
日本国内全域で人件費が上がり移転先がなくなった時点で、新たな生産基地として注目されたのが韓国
 
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-流行予測 16段目-
です。韓国生産の全盛期がやって来ました。それもつかの間、韓国の経済成長による人件費の高騰で縫製工場は採算が取りづらくなり、新たな生産基地として注目されたのが中国です。当時の中国の人件費はばか安でした。中国は人口が多いのですぐには賃金が上がりません。日本の衣料品縫製のほとんどがメドインチャイナになりました。中国縫製の発展は、日本のアパレルビジネスの仕組みを大きく変えるほどのインパクトが有りました。
 
これまで続いてきた移転の繰り返しの歴史はこれで終わりになるかと思われたのですが、やはりダメでした。経済成長による人件費の高騰は中国でも起こりました。中国国内での地方移転もありましたが、これも時間稼ぎにすぎないことが目に見えていましたので、新たな移転先国として注目されたのがASEANとバングラデシュでした。これが今です。

これまで話してきた移転史には一つウソがあります。
   
歴史は戻ったり進んだりウソというのは言いすぎですが単純化しすぎています。縫製工場は大消費地から常に離れていったわけではありません。近づいた時期もあります。より大消費地に近い縫製工場の人気が復活した時期があります。それはコストよりも短納期を優先させなければならない「対立視」の時代です。ただ、人件費の上昇はその期間も続いていましたので、工場が消費地から離れていった時期に比べて期間も短く勢いも弱くならざるを得ませんでした。三歩進んで二歩下がる。また三歩進んで二歩下がる。遠距離地方への移転は、一時的なスイッチバックを繰り返しながらこれまで進んできました。
 
現在の日本は、商品寿命の短い対立視の時期に入っています。短納期生産が尊ばれるタイミングです。だからASEANや
   
バングラデッシュから中国への回帰、中国から国内への回帰が起こります。でもその動きは対立視の期間だけです。短納期よりも低コストが優先する時期である同一視が復活すると、これとは逆の、国内生産から中国生産へ、中国生産からより遠方国生産への動きも復活します。ま、そうなるのはかなり先ですが。
 
(上の文、2016/06/14 記載)
 
【関連ページ】
「同一視」と「対立視」を知って流行を読む
(理詰めのトレンド予測第4章より)
 
  
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-流行予測 17段目-

大きな浮き輪、膨らむ人気

SNSで写真映え
  大人が複数で乗ったり寝そべったりできる大きな浮輪が人気だ。ドーナツ型やフラミンゴ型などカラフルでかわいらしいデザインが続々登場。写真映えするため交流サイト(SNS)との相性が良いことも追い風となり、若い女性を中心に支持を集めている。
 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、日本経済新聞2016/08/13付からの抜粋です。
 
私はこう言われることがあります。「うちの業界は特殊だよ」。私はいつもこう答えます。「どこの業界もそれなりに特殊です。でも流行は一緒です。ある特定の分野だけの流行はありません」。
 
浮輪が大きい方が新鮮で魅力があるときは、浮き輪以外のものも大きい物が売れます。例えばレディス分野でメンズのウエアを女性が着る流行がこのところ続いていますが、その理由の1つはメンズサイズの流行ですし、メンズウエアでビッグサイズがヒットしているのもこれです。最近話題になっているアロハシャツの人気復活にもゆったりサイズの流行が関係しています。
 
   
テレビでも、最近ブレイクしたタレントには太った人が多いですね。代表はマツコ・デラックスでしょう。この頃人気の出ているデブたちは自分が太っていることを隠そうとしません。人気の理由を本人も分かっているんです。デブとは言えない体型でも体全体が大きければやはり人気者になっています。
 
私達の頭は1人1個しか無くてそれで全部を処理しています。浮き輪専用の流行回路なんてだれも持っていません。浮輪なんてものが普及する前から流行はありました。大小の流行だってありました。つまり、大小は浮輪とは独立した循環要因(脳の中にある流行の原因)なんです。
 
あなたが所属している業界の商品にも大小の流行はあるんじゃないですか。今大きい方が売れていません
か。
 
大きい流行は今年からではありませんよね。すでに
 
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-流行予測 18段目-
時間がたっています。ですから、なぜ大きい方が優れているのか、なぜ機能的なのかという、ラージサイズの流行を正当化する理屈があなたの業界にすでに出来ているはずです。でもその理屈は後知恵です。業界の人間やマスコミが自信たっぷりに後知恵後講釈を言うようになったらその流行はそろそろ危ないのです。
 
たとえそれが後知恵であっても、流行を正当化させるのに役立ちますから、流行現象を大きくしたり寿命を伸ばしたりなどの影響を与えます。でも後知恵で流行を止めることは出来ません。大小は流行です。小の流行が復活したときにあわてないように今から準備しておきましょう。
 
(上の文、2016/08/18 記載)
 
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発売の初年度から大きく売り上げるブランドはかつてに比べて少なくなった。成熟した今のマーケットでは、かなりの提案力と話題性がなければ消費者には響かないからだ。

そのため、店舗の入れ替えよりも既存店都の取り組み強化を重視する商業施設が最近増えている。

 
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モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左の文は、繊研新聞2016/08/25付の「め・て・みみ」からの抜粋です。

〔新奇・日常〕という循環要因があります。狭い意味のファッションに限定すれば〔派手・地味〕と言ったほうが分かりやすいでしょう。循環要因は流行の原因で繰り返しています。これまでの日本は日常のタイミングでし
た。

ここ数年「ノームコア」と言うことばがあちこちで使われました。究極の普通という意味です。つまり、日常的であり地味でもあるファッションです。近年の流行を説明することばとして使われました。普通がかっこいいのでは、いかにもファッションでございますというのは出る幕がありませんね。ファッション業界が不況になるのもしょうがありません。
 
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-流行予測 19段目-
お祭りが復活する ノームコアが流行している時期の消費者は、新奇なもの奇抜なものを評価しません。つまりお祭りを嫌います。それで、店舗改装や新店オープンに失敗が増えます。このところバーゲンが盛り上がりませんが、これも今までがアンチお祭りのタイミングだったことが関係しています。この循環要因は移り変わりがわりとゆっくりしていますので、日常の流行は数年続きます。

砂場の棒倒しは、はじめ大胆に、終わりに近づくに連れて臆病に砂を削るのが勝利の秘訣です。流行も同じで、はじめ大胆に終わりに近づくに連れて臆病に対処するのが勝利の秘訣です。でも、人間は経験の繰り返しに弱い。生活が掛かっているとなおさら弱くなる。で、勝利の秘訣の逆をやりがちです。
   
去年の冬にスカジャンの復活が、今年の夏にアロハシャツの復活が話題になりましたね。つまり、現在はノームコアはダウントレンドで、奇抜なお祭りがアップトレンドになっています。「新奇」の流行はまだ大当たりではないですよ。でも確実にそちらに進んでいます。ですからこれからは、店舗の入れ替えの成功事例が増えてきます。
 
(上の文、2016/08/27 記載)

 
【関連ページ】
「普通の服」読者を発掘


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-流行予測 20段目-
   
モード工学研究所の森田洋一 読紙感想文
左は「たった1年で利益を10倍にする 建設業のための経営改善バイブル」という本の表紙です。2016年9月14日が初版になります。私の息子が橋梁を架ける会社に勤めているもので、新聞広告を見たときに面白いかなっと思って買いました。読んだ人たちの評価も高く、アマゾンのカスタマーレビューは、私が見たときは6人でしたが全員☆☆☆☆☆星5つでした。
 
著者である中西宏一さんが主張しているのは「売上至上主義」を捨てて「粗利益」を目標にせよということです。これは、素人からみれば当たり前の話なんですが、建設業界ではそうではありません。
 
建設会社の経営者の多くは基本的には『売上』しか見ていない。私は今まで多くの建設業界の会社を訪問し、1000人以上の経営者や幹部、営業担当者と話を
   
してきたが、驚くことにほとんどは売上高のことしか話題にしない」(P38より)。「できれば経営者、経営幹部、営業幹部が、受注の仕方において意識改革をしてくれればいいのだが、それが無理なら外すしかない」(P79より)。
 
過激ですな。
 
なぜ経営幹部たちはかたくななんでしょうか。それは売上至上主義が正しかったからです。正しい時代があったからです。
 
デジタルカメラが普及する前、フイルムカメラが当たり前の時代は各メーカーのシェアは大きくは変動しませんでした。シェアランキング下位のメーカーがヒット商品を出してもシェアランキングの入れ替えは起きませんでした。
 
ところがデジタルカメラが普及し始めるとシェアの、
 
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-流行予測 21段目-
ランキングは大きく変動するようになりました。となれば新製品の開発競争は激化しますし、販売促進費もバンバンかけるようになります。利益は後回しで良いからまずシェアを取れ。ランキング上位になれば利益は後から付いてくるぞという時代の到来です。ダイエーの中内功さんも言っていたように「売り上げはすべてを癒やす」です。
 
でもこの売り上げ至上主義が正しいのは市場が膨らんでいるときです。業界が成長しているときです。成長が止まれば、あるいは縮んで来れば、沢山の犠牲を払ったわりには売り上げは増えなくなり、値崩れとコスト増で赤字になってしまいます。
 
建設業界は、その建設投資額でみると2092年がピークです。2010年が直近の底です。この約20年弱の期間は業界が徐々に縮小していましたから、売上至上主義をやってはいけないタイミングでした。でも経営幹部たちは自分が若い頃の成功体験に縛られて売上
   
至上主義を捨てられませんでした。それがさらなる苦戦を招きました。
 
これは建設業界に限りません。今の日本には、成長が止まった業界や縮んでいる業界がたくさんあります。でも、高度成長期や安定成長期の成功体験に縛られて利益を必要以上に減らしている企業が多いのです。
 
(上の文、2016/10/24 記載)
 
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売上至上主義は成長期なら正しい
 
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2015/10/27ページ作成、2016/10/24最終更新