新聞記事で流行予測…読紙感想文[6]  トップページへもどる

(読売新聞09年12月09日付4面、生活情報部岩浅憲史より2カ所抜粋)
 
超長ブーツ 美脚「着る」
  「ニーハイブーツ」「サイハイブーツ」と呼ばれる、ひざ上や太ももを覆う超ロングブーツがこの冬、流行している。東京の銀座や原宿では、こうしたブーツをミニスカートやホットパンツに合わせた若い女性を数多く見かける。]
[ 冬場でもミニスカートやショートパンツの人気が衰えないことを反映してか、昨年頃から、超ロングブーツの色や素材などが豊富になっている。]
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読紙感想文
  物の上下方向のバランスに〔上比長・下比長〕という流行があります。上下を見比べたときに上が間延びして下が詰まって見えるのが上比長、上が詰まって下が間延びして見えるのが下比長です。これは約3年の周期で循環しています。つまり、上比長が優勢な時期が1.5年、下比長が優勢な時期が1.5年です。この3年周期は一定で、いつの時代時期にも伸び縮みしません。もちろん、将来も伸び縮みしません。ですので、今年や来年、再来年のファッション予測に使えます。
  これまでミニスカートやショートパンツが流行していました。それも超ショート丈でした。超ショート丈ボトムに超ロングブーツを合わせている人を見ると、全身のバランスで下部が上部に比べて間延びして見えます。つまり、下比長です。超ロングブーツが流行していたのはこれまでが下比長だったからです。循環のタイミングを考えると今年(10年)は上比長のタイミングです。つまり、これからの超ロングブーツはダウントレンドです。厳密にいうと、09年秋
 
冬の時点ですでにダウントレンドでした。続いているようにみえたのは、人の行動に惰性があることや、仮需と実需の混同、魅力の流行と買う流行と身に付ける流行との時差などのせいです。
 【この文、10年03月06日記】 
 
【関連ページ】
レッグウオーマー
パーツの流行は他とのバランスで答えが出る
(理詰めのトレンド予測第3章4節より)
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−トレンド予測 2段目−
(日本経済新聞10年02月13日付11面3版より2カ所抜粋) 
国母選手、開会式を欠席
 
服装批判で会見、謝罪
 【バンクーバー=原真子】 スノーボード男子ハーフパイプ代表の国母和宏選手(東海大)が公式服装の乱れで批判されている問題で、日本選手団の橋本聖子団長は12日、国母選手と共に記者会見し、同選手の開会式(同日夜)出席をやめさせると発表した。
 [国母選手は日本選手団の公式服装のシャツをズボンから出し、ネクタイをゆるめるなど着崩した姿で現地入りし、選手村での10日の記者会見でも「反省してまーす」と語尾をのばして発言。スキー連盟や日本オリンピック委員会(JOC)に苦情が相次いでいた。]
 
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読紙感想文
  ライブドアのホリエモンこと堀江貴文がマスコミに登場し一躍有名人になったのは2004年6月からです。近鉄バッファローズを買い取りたいと表明しました。当時の堀江氏はTシャツにジーンズという「公式の場にふさわしくない」服装で現われました。既存の権威を無視したような言動も話題になりました。
  当時の堀江は人気者になりましたが、現在の国母はケチョンケチョンです。形式や権威を茶化したようなキャラは同じなのに、世間の反応はだいぶ違います。何が違うのでしょうか。それは、マスコミに登場したタイミングです。
  〔自由・束縛〕という循環要因(一定の周期で循環している流行の原因)があります。「自由」を象徴するキーワードは〔カジュアル」「何でもあり」「オキテ破り」「非常識」「無礼講」「ドレスダウン」「きたない」「崩れている」「偽悪的」です。 「束縛」を象徴するキーワードは「エレガンス」「でなくちゃいけない」「ドレスアップ」「トラッド」「きれい」「正統派」「権威主義」「形式ばる」「ちゃんとしている」「偽善的」などです。この循環要因は、自由→中間→束縛→中間
 
→自由→中間→……と4つのステップを通って変化します。周期は12年です。自由の時期から束縛の時期、つまり逆までなら周期の半分の6年です。
  堀江が登場したのが04年、、今回の国母は今年(10年)ですから6年の時差があります。堀江と国母では、〔自由・束縛〕のタイミングがちょうど逆になっていました。
  今から6年後は、堀江貴文が登場した時のような「自由」に戻っています。その時は、堀江や国母のようなキャラが人気者になるタイミングになります。
 
 
 【この文、10年05月09日記】 
 
 
【関連ページ】 
最大のヒット商品はホリエモンだった
(理詰めのトレンド予測ウエブ版 第6章7節より)
 
 
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−トレンド予測 3段目−
(日経MJ 10年04月02日付04面より抜粋) 
尾島和雄編集長の
オトナ行動学
  伊勢神宮に行くのにタクシーに乗ったときのこと。「最近は若い女性が増えました。本当に神社ブームですね」と運転手さん。
 
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読紙感想文
  私の娘が通っている高校では弓道部が人気です。娘も入ろうかどうか迷ったようです。人気の理由は部長がイケメンだからだというのが、校内での定説だそうです。
  書道や剣術、日本舞踊などの日本の伝統文化に関心を持つ若い女性が増えています。高校の書道部の活躍は映画にもなりましたね。歴女というコトバも流行しています。
  若い女性が「日本の伝統文化」の価値を高く評価し、関心を持つのは、現在が〔束縛(エレガンス)〕のタイミングだからです。
  流行は、男より女の方が、年配者より若者の方が早いですし、振幅も大きくなります。それで若い女性の伝統文化ブームが眼に付くだけで、本当は同じ流行が、男女の別や年齢に関係なく起こっています。
  ただ、こういったものは大流行にはなりえません。多くの日本人を夢中にさせるには〔束縛(エレガンス)〕の度合いが強すぎるのです。こういったものは〔束縛(エレガンス)〕のピークでも小さな流行にならざるをえません。
 
  そして、流行が〔自由(カジュアル)〕にもどるにつれて歴女ブームもダウントレンドになります。
 
 
 【この文、10年05月29日記】 
 
 
【関連ページ】 
短歌、将棋、日本そば、緑茶、日本酒、剣道、着物、畳……
(理詰めのトレンド予測ウエブ版 第6章6節より)
 
 
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−トレンド予測 4段目−
共立女子大ストリートファッションリポート1008Sより抜粋)
ファストファッションが可能にした、お揃いスタイル。セールでさらに増加
  二人でほとんど同じアイテムを着ているスタイルが、渋谷だけでなく、原宿でも頻繁に見られるようになって3〜4年くらいになる。特に今年はそうしたお揃いの2人組(中には3人全く同じ装いのグループなども)が増えており、とても興味深い。多くのパターンは、2人でお店に行き、気に入った服が一緒になり、ファストファッションやセールなら、安価な値段で購入できるから、それなら一緒に買おうとなり、どうせなら着ていこうという流れのようで、Tシャツの色を別々にしたり、靴や小物で差異をつけるなどしながらも、お揃いのファッションを積極的に楽しんでいるようだ。]
 
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おそろいファッション花盛り
   
読紙感想文
  このレポートで紹介されているお揃いの2人組は、自分のファッションが他の人とかぶっても平気です。それどころか積極的に同じ格好をしたがります。そしてその同じであることを見せたがります。そうなるわけは、これまでの数年間が〔同一視〕のタイミングだったからです。
  06年6月発売の拙著「理詰めのトレンド予測」では〔同一視〕」という循環要因(循環している流行の原因)についてこう説明しています。
 あなたが街を歩いていて、向こう側からやってくる人が、あなたと同じ服を着ていることに気が付いたとします。そういう時あなたはどう思いますか。その人をニコニコ笑って見ますか。その日は一日中気分がいいですか。それとも、ムカッと来て腹が立ちますか。その日は一日中気分が悪いですか。
 自分と同じ服を着ている人を見て、ニコニコする人が増える時期を「同一視」といいます。物事の共通点に関心を持ち評価する流行です。「同一視」が活性期の時の消費者は、物事の細かい違いは気にしません。物を買うとき、商品と他の条件を天秤にかけます。他人と同じものを欲
 
しがります。大量に同じ物があると買いたくなります。
  自分と同じ格好をしている人を見て、ムカッ腹を立てる人が増える時期を「対立視」といいます。物事の違っている点に関心を持ち評価する流行です。対立視が活性期の時の消費者は、物事のわずかな違いを気にします。デザインも性能も妥協できません。商品に鮮度を求めます。他人と違うものを欲しがります。少ないことに魅力を感じます。
  自分と同じ格好の人を偶然見てもニコニコしているのは同一視です。自分から積極的に他人と同じ格好をするのも同一視です。つまり、「
二人でほとんど同じアイテムを着ているスタイル
」が増えたのはこれまでが同一視のタイミングだったからです。
  拙著の続きです。この〔同一視・対立視〕の循環要因は周期が約7年で、位相(タイミング)は2003年から「対立視」です。もちろんスタートの時期は性別年齢で違いますから、2003年からというのは20歳の女性の場合です。

  前回の対立視は03年スタートでした。同一視の周期は7年でしたね。03年の7年後は今年で
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−トレンド予測 5段目−
す。ということはこのお揃いブームはそろそろ終わりということです。少なくとも若い女性の市場ではおしまいです。
  このリポートにも「ファストファッションやセールなら、安価な値段で購入できる」とあります。消費者にとって安価な値段で購入できるとは、売るほうからみると値崩れしているわけです。
  魅力のあるなしで判定すると直前にすでにおわっている流行の場合、魅力はなくても魅力があったという思い出は消費者に残っています。そのため行動に惰性がしょうじます。消費者はすでに
タタミに「の」の字を書かなくなっていますから、つまり魅力に伴うためらいがなくなっていますから、高い値段では売れなくても見切り値段にすると高速で売れます。バーゲンと同じ原理です。それで、「すでに安くなっている」ことを無視して売れた数だけに注目すると、流行が続いているように、あるいはこれからピークが来るようにみえます。でもこれは、人間の行動に惰性があり、観察者に残像があることによる錯覚です。
  供給側の人間は古い流行に固執するので、すでに始まっている新しい流行になかなか気が付きません。〔同一視〕とは逆の〔対立視〕の流行は、す
 
でに若い人を中心にスタートしています
 【この文、10年09月14日記、10月04日加筆】
 
【関連ページ】 
理詰めのトレンド予測ウエブ版 第4章1節
新聞記事からでも流行が予測できる
 
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(^^♪(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪(^^♪
森田洋一です。
流行について研究を始めたとき、え!こんなに簡単なのと私は何度も思いました。簡単すぎるからこの仮説は間違っているに違いないと思ったこともあります。こんな簡単なことを誰も気が付かなかったというのはおかしいと考えたのです。でも間違っていませんでした。流行は見る角度によって複雑にも簡単にも見えます。わたしは、他の人が見たことのない角度から見たのです。
 
モード工学は理論が簡単です。それでいて適用範囲が広いです。ということは抽象度が高いということですので、現実に起こっている現象に落とし込むのに、ちょっぴりコツがいります。こういうところは私が学生時代に習った「熱力学」に似ています。複雑でややこしい数式や理論を駆使するわけではないので、あまりカッコは良くないのですが、実用性はピカイチです。
(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪

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−トレンド予測 6段目−
小島健輔氏のWEB「FCN」のバイヤーズサロン2010年9月号より3カ所抜粋)
[『限定商品はやっぱり魅力的!』
 新宿の某百貨店では、OLに人気の神戸系キュートブランドが限定商品でイベントを打ったところ、初日に昨年対比160%の売上げがあったとか。このブランドは関西に一店舗しかなく、都内ではWEB上でしか買えないことで限定性が高く、イベント効果は絶大。ビジュー付きダウンコートやレオパードカーディガン、ツイード切替ワンピース等、先物商品が完売続出だった。
 希少価値の高い限定商品やここにしか無い今しか買えない商品は、プライスに関係なく天候の影響も受けずに売れている。簡単にコピー&ペーストしたような類似品に消費者はもう飽き飽きしているのでは……。] 
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対立視が復活
   
読紙感想文
  プライスや天候に関係なく売れているのは魅力で計ったときの流行のピークだからです。ただし、数の流行ではピークではありません。市場の大きさでカウントするとスタートしたばっかりのタイミングです。
  4段5段目で述べたように今年(2010年)はすでに対立視のタイミングに入っています。これから供給側の人間が徐々に強気になることで市場が拡大していきます。
  対立視の時期には、タイミングの遅さ、類似品の多さ、量の多さ、どこでもあることなどが強いマイナスとなって作用するため、そういった欠点を価格の安さでリカバリーしきれなくなります。「簡単にコピー&ペーストしたような類似品」に消費者は飽きているわけですから、これまでそういう商品を提供してきた「ユニクロ」や「H&M」「フォーエバー21」のような大型チェーン店にとって向かい風が吹くようになっています。
  次の文は、拙著「理詰めのトレンド予測」の第4章4節「ファッション産業史にも循環がある」からの抜粋です。
 
  「もしも、あなたが大型店のオーナーで、対立視の活性期に苦戦したとしらどうしたらいいでしょうか。簡単ですね。セレクトショップのやり方を取り入れればいいのです。
  対立視の時期は、大きな売り場を分割して小さな専門店が集まっているように見せかけると、そうしないより良くなります。内装をシロウトくさくしたり、陳列をゴチャゴチャと見づらく分かりにくくしたり、店や売り場の最前面から商品を撤去したり、入口を狭くしたりしても、そうしなかった場合より儲かります。個性的な商品を増やしたり、量よりも種類を追求したり、商品の入れ替えをひんぱんに行ったりすると、そうしなかった場合より儲かります。
  実際に大型店は、「対立視」が来るたびに、毎回そういう対策を取るのですが、時期が遅すぎるためそれほどうまくいきません。対立視が終わって、同一視が始まる頃になってから、対策を本格化させることが多いのです。

  つまり「希少価値の高い限定商品やここにしか無い今しか買えない商品」が
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−トレンド予測7段目−
売れる時期は、そういう商品が苦手な店であっても、希少価値を追求するべきです。少なくともそうしているように見せかけるべきです。
 
 
 【この文、10年10月18日記】
 
【関連ページ】 
理詰めのトレンド予測ウエブ版 第4章4節
ファッション産業史にも循環がある
 
フォーエバー21 開店1ヵ月
 
「ユニクロ」は純利益37%増

本選び・演出にこだわり

新製品「旬」は一瞬

加速する「1人勝ち現象」
 
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       モード工学代表 森田洋一
 
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