理詰めのトレンド予測 ウエブ版                        トップページへもどる 目次へもどる
     第3章 デザインの流行は[上比長][下比長]に分かれる
     4 パーツの流行は他とのバランスで答えが出る
       服飾雑貨、それを身に付けることによって、全身のバランスがどう変るかということが大事です。
ブーツ・レッグウォーマー・ソックスの考え方は同じ
  服の話はこれくらいにして、雑貨に移ります。
2003年秋にロングブーツのヒットがファッション業界で話題になりました。
03〜04年秋冬の旬のアイテム、ニーハイブーツが百貨店でも売れている。大量に出ているというわけではないが、個性の強いアイテムが早い時期から動いていることで、注目されている。」(繊研新聞2003年8月28日付より)
  ニーハイブーツというのは、上部がヒザ(ニー)より高く(ハイ)なっているブーツで、超ロングブーツのことです。
後ろにスリットやくぼみがあって、ニーハイでもヒザが曲げられます。これはかなり極端なデザインですから、売れ行きはたいしたことはありませんでしたが、もっとおとなしいロングブーツは大量に売れました。2003年秋の立ち上がりは、ヤングからヤングミセスまでロングブーツがいっせいにヒットしました。
  ロングブーツは、それをはいている人を見ると、他のシューズをはいている場合に比べて、その人の下の方が延びて見えるので下比長のバランスです。でも、ブーツだけを単品として見たときには、足首の部分がないパンプスなどと比べると、上部が延びているので、靴の上部と下部とのバランスでは上比長になります。
  このように、身に着けている人の全身の
バランスと、単品としてのバランスで矛盾しているアイテムの場合は全身のバランスの方が優先します。それで、ロングブーツは「下比長」の時期にヒットする商品になります。 
  ショートブーツの場合は、はいている人の下部を伸ばして見せるという働きがほとんどないので、単品としてのバランスの方が表に出てきます。それで「上比長」の時期にヒットする商品になります。バスケットシューズなどのくるぶしを保護するハイカットと呼ばれる靴もショートブーツの仲間です。
 
  以下の記事は、1991年冬から1993年春まで続いた上比長の時の話です。
高島屋大阪店の婦人靴売り場でカジュアルスニーカーの動きがよい。
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−トレンド予測 57段目−
くるぶし丈のハイカットでひもで結ぶタイプを中心に、前年二倍の売り上げとなっている。売れ筋はナチュラルカジュアルのイメージが似合うもの。ハイカットタイプは、ロングタイトスカートやストレートのジーンズとのコーディネートが狙い。中心価格はハイカットタイプで一万円前後、ローカットで四千九百−七千九百円。」(繊研新聞1993年5月21日付10面より)
  くるぶし丈では、人の足を長く見せる働きはありませんが、スニーカーそのものの上部を長く見せることはできます。だから上比長のデザインです。
  ブーツのデザインには、その筒の高さで、下比長型と上比長型の両方があります。もし、ロングブーツもショートブーツも同じブーツじゃないかと考えて、この違いを無視すると、〔上比長・下比長〕のどちらの時期にも、「売れた」という人と、「売れなかった」という人がいることになってしまいます。
  これは、レッグウォーマーでも同じで、ヒザコゾウのそばまでくる、あるいは
小売店にもヒットが作れる
ヒザより上までくる縦に長いレッグウォーマーだと下比長ですが、ルーズソックスの上半分みたいな感じで、足首のまわりにしがみついているタイプのレッグウォーマーだと上比長の表現になります。レッグウォーマーにもブーツと同様、ロングとショートの区別があって、どちらに属するレッグウォーマーかで、売れる時期が逆になります。
  この理屈は、同じデザインのレッグウォーマーでも言えます。下比長の時期にショップがレッグウォーマーを売るときは、縦になるべく引き延ばして、ロングに見せるとより売れるようになります。上比長の時期はその逆で、下へずり下ろして短く見せた方が売れます。
  2002年秋冬から2003年秋にかけて、レッグウォーマーがヒットしましたが、このときは下比長の時期だったので、縦長のタイプでした。
秋冬に向けて今年は脚のファッションに注目が集まっている。中でも人気なのが、ひざ上まである丈の長いレッグ
ウオーマーとハイソックスだ。この二つをカラータイツなどと組み合わせて、重ねばきを楽しむのが今年風。背景にはスカートスタイルの復活やひざ丈ブーツの流行、重ね着スタイルの定着などがある。
  九月初めの伊勢丹新宿本店(東京・新宿)のストッキング・靴下売り場。まだ残暑も厳しいというのに、秋冬物の特設コーナーができた。レッグウオーマー(八百−千二百円)やひざ上ハイソックス(八百円)などが飛ぶように売れていく。
『一週間で前年の約六倍の九百五十点も売れた。波及効果で売り場全体も好調に推移している』と婦人雑貨バイヤーの伊香敬司課長は語る
」(日経MJ2003年9月20日付より)
  小売店がシーズンの初めから強気なのは、前年にすでにヒットしていたという実績があるからです。実績と言っても、見逃しの三振をやっていますから数字はたいしたことありませんよ。前年は、売れないから数字にならなかったのではなくて、間に合わなかったから数字にならなかった
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−トレンド予測 58段目−
のです。
 
  先の記事にも出ていましたが、ソックスの丈も、ブーツやレッグウォーマーと同じ考え方で判定できます*。次は、読売新聞2005年3月10日付23面12版の記事です。
紳士用靴下の中で、『ホーズ』と呼ばれるひざ下までの長い靴下の人気が高まっている。スーツ姿で足を組んだ時、ズボンのすそからすねが見えず、足元はスッキリ。ふくらはぎ全体を包み込むフィット感も人気の理由のようだ。」「靴下メーカー『ハリソン』(兵庫県加古川市)のオンラインショップでは、この2年でホーズの売り上げが約3倍に伸びた。購入者は30代から40代が中心。
  循環要因は、男性は女性より約5ヵ月遅れますし、年齢は3歳弱上がると1ヵ月遅れます。この記事では、30代40代の男性が中心とありましたから、循環要因のタイミングが若い女性より約1年前後遅れています。
  別表で見ると、20歳前後のレディスの下比長は、2002年4月から03年9月までです。ですから、それより1年遅いホーズの中心客のタイミングは、2003年4月から04年9月までとなります。
  ということは、この記事が出た2005年3月は、下比長が終わってからまだそれほど立っていない時期です。シーズンの初めは、消費者が前年同シーズンの思い出で物を買うので、一年近く前の売れ筋が復活しています。循環要因では終わっていても、流行現象としての下比長型はまだ終わっていないことになります。つまり、この記事が出た時点でのホーズは、約2年前に始まってまだ終わっていない流行と言えます。
  翌年の2005年春夏は、外れて2年目ですから、シーズンの初めからダメです。
 
  ホーズは、スーツの下(内側)にはく靴下です。ズボンは当然長ズボンですから、せっかく長いものをはいても普段は見えません。
隠れてしまうものにも流行がある
見えない場所なのに、ミニスカートの若い女性と同じ流行があります。他人には見えなくても、買う男性の頭の中では見えているのですね。
  この、隠れてしまっていて外から見えないものでも、形に流行があるというのは、部品産業ではとくに重要な考えです。ICチップやコンデンサーのように、完成品の中に隠れてしまって消費者の目に触れないものでも、部品の購買担当者には見えていますから、格好が悪いと売れません。まして、自動車エンジンやオイルタンクのように、消費者が見る可能性のあるものは、外から見えなくてもデザインに気をつかうべきです。
 
  パーツの流行は、それ自体のバランスより、それが付いている本体のバランスの方が優先します。あなたが分譲住宅の業者なら、窓の高さに気をつけてください。同じデザインの窓でも、その高さによって「上比長」にも「下比長」にもなります。

  

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−トレンド予測 59段目−
 
* ……判定できます。
 2005年から翌年にかけて「ニーハイソックス」がヒットした。これはニーハイブーツと同じ。だから下比長。
 
【関連ページ】
レッグウオーマー 足元ゴージャス

 
07/08/21転載、脚注10/04/08転載

 
   講演依頼は直接森田洋一へ
 
目次 0 /
第1章 流行の原因には「特定要因」と「循環要因」の2つがある
1-1 / 1-2 / 1-3 / 1-4 /
第2章 「曲」と「直」で流行が変る
2-1 / 2-2 / 2-3 / 2-4 / 2-5 / 2-6
第3章 デザインの流行は「上比長」「下比長」に分かれる
3-1 / 3-2 / 3-3 / 3-4 / 3-5 / 3-6 / 3-7
第4章 「同一視」と「対立視」を知って流行を読む
4-1 / 4-2 / 4-3 / 4-4 / 4-5 / 4-6
第5章 「アリ型人間」と「キリギリス型人間」は交互に現れる
5-1 / 5-2 / 5-3 / 5-4 / 5-5
第6章 「エレガンス」と「カジュアル」もしくは「束縛」と「自由」
6-1 / 6-2 / 6-3 / 6-4 / 6-5 / 6-6 / 6-7 / 6-8
第7章なぜ、まったく同じ流行が起きないのか(3つの理由)
7-1 / 7-2 / 7-3 / 7-4
 
 
 (^^♪(^^♪(^^♪ ちょっと脱線 (^^♪(^^♪(^^♪
        83年の上比長型ワンピース    
  着ている人の上下方向のバランスを見たときに、上の方が間延びして、下の方がつまって見えるデザインを上比長といいます。このワンピースはネックラインが下がり、丈が長いので上比長です。 
 (^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪(^^♪
 
        
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このページ最終更新12年02月09日
 
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