理詰めのトレンド予測 ウエブ版                        トップページへもどる 目次へもどる
   第2章 [曲]と[直]で流行が変る
     1 曲げるのも伸ばすのも流行だ
       短所も流行すると長所になります。
 三年半で循環している
  1970年代に、米国でジョギングブームがありました。当時は日本でも流行しました。
  その後、1980年代にアメリカではウォーキングのブームがありました。正式には「エクササイズ・ウォーキング」と呼ぶそうです。
  そのニュースが日本に入ってきた時、その歩くフォームの奇抜さに私は驚きました。ウォーキングをしている人のヒザが伸びっぱなしになっています。足が一本の棒みたいに真っ直ぐなのです。
 普通我々が歩く時、腰の股関節とヒザの関節の両方を動かしています。それが
エクササイズ・ウォーキングの人はヒザ関節をほとんど使いません。股関節だけで歩くといった感じです。とくに足を前に振り出した時は足が、まるで定規を当てたかのように真っ直ぐ
です。
  しばらくして、私は気が付きました。
「これは、曲がっていて当たり前のものを真っ直ぐにする流行だぞ。ということはそれとは逆の、真っ直ぐなのが当たり前のものを曲げる流行もあるはずだ。『曲がってる』と『真っ直ぐ』は循環要因の同じシーソーの両端にいるカップルに違いない」
  私は「曲がっていて当たり前のものを真っ直ぐにする流行」を「」(ちょく
、「真っ直ぐであって当たり前のものを曲げる流行」を「」(きょく)と名付けました。
  この〔直・曲〕流行循環仮説にしたがって流行現象を分類してみると、機械的循環が出てきました。この循環要因の周期は3年6ヵ月です。位相(タイミング)は、20歳の女性で、2004年10月から「曲」になります。
  つまり、20歳の女性は、「2001年4月から02年12月までが『曲』」、「2003年1月から04年9月までが『直』」、「2004年10月から06年6月までが『曲』」、「2006年7月から08年3月までが『直』」です。
  循環要因は、性別年齢が同じだと、個人差はほとんどなくて、どの人もほぼ
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−トレンド予測 18段目−
同じタイミングで変化します。が、性別年齢が違うとそのタイミングもそれぞれ違ってきます。年齢が3歳弱上がると1カ月遅くなります。男性は女性より5カ月弱遅くなります。
  さきほど2004年10月から「曲」だと言いましたが、それは20歳の女性の場合で、ハイティーンだとこれより早くなります。逆に年齢が上がればこれより遅くなります。50歳代前半の女性はちょうど1年遅れます。それで、05年10月から曲です。つまり、性別年齢で消費者を区分すると06年は、かなり広い範囲の人が「曲」であると分かります。
 
  ではここで、曲、直の違いが直感的に分かりやすい歯ブラシを使って、商品を分類してみましょう。
  歯ブラシの柄(ハンドル)は、昔は真っ直ぐなのが当たり前で、曲がったものなんて見たことがありませんでした。それが、私がハイティーンのころになると、柄が曲がっているものがいくつか出てきました。たとえば、1969年8月に
発売された「バネットライオン」はロングセラーになりました。歯ブラシの首のところが逆U字型に曲がっています。「柄が前歯にぶつからないので奥歯の裏がみがきやすいという利点がある」と当時メーカーは強調していました。
  私も愛用していたので分かるのですが、バネットライオンに限らず、柄が曲がった歯ブラシは、確かにメーカーが指摘する歯の部分は磨きやすいのです。でもそのかわり他の部分が磨きづらくなります。つまり、曲がっているという長所は短所でもあるわけです。長所と短所を比べれば、ほぼプラスマイナスゼロです。ということは、柄が曲がっていたほうがいいのかどうかは、機能というより好みの問題です。
  最近の歯ブラシでいうと、エビスの「リグクリスティ」や、ライオンの「デンターシステマストレートハンドル」、サンスターの「GUMデンタルブラシ」がストレートハンドルですから「直」です。一方、花王の「クリアクリーン」や、ジョンソン・エンド・ジョンソンの「リーチ」は首のところが曲がっていますから「曲」の方です。
  このうちの「リーチ」が全国販売された
のが1982年2月です。「20歳の女性で1980年6月から82年2月までが『曲』」ですから、当時は、ほとんどの年齢の女性が「曲」でした。20歳の女性は、この直後に「直」になりましたから、理想より遅めかなぐらいのタイミングだったことが分かります。
  歯ブラシの「曲」「直」が判別しやすいのは、その形が細い棒だからです。それで曲がっていイプでできていますから、「曲」「直」の判別が楽です。
  2002年頃に、競技用タイプの自転車「ロードバイク」が人気になりました。ロードバイクといえば「ドロップハンドル」が定番です。両端が前に曲がって、下に曲がって、さらに後ろに曲がっているハンドルです。機能性を強調できる限界まで曲がっていますから、「曲」の活性期にピッタリのデザインです。
  これが「直」の活性期になると、真っ直ぐな棒のような「フラットハンドル」に人気が移ります。ロードバイクでもフラットハンドルが売れますし、マウンテンバイクのようなフラットハンドルを標準装備している自転車に人気が
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移ります。
 
  あなたが扱っている商品を折り曲げてみてください。あるいは、まっすぐに伸ばしてみてください。次に、それを正当化する理屈を考えてください。  斬新なヒット商品が作れるかもしれません。
(続く)
07/05/25転載
  
目次 0 /
第1章 流行の原因には「特定要因」と「循環要因」の2つがある
1-1 / 1-2 / 1-3 / 1-4 /
第2章 「曲」と「直」で流行が変る
2-1 / 2-2 / 2-3 / 2-4 / 2-5 / 2-6
第3章 デザインの流行は「上比長」「下比長」に分かれる
3-1 / 3-2 / 3-3 / 3-4 / 3-5 / 3-6 / 3-7
第4章 「同一視」と「対立視」を知って流行を読む
4-1 / 4-2 / 4-3 / 4-4 / 4-5 / 4-6
第5章 「アリ型人間」と「キリギリス型人間」 は交互に現れる
5-1 / 5-2 / 5-3 / 5-4 / 5-5
第6章 「エレガンス」と「カジュアル」もしくは
    「束縛」と「自由」
6-1 / 6-2 / 6-3 / 6-4 / 6-5 / 6-6 / 6-7 / 6-8
第7章なぜ、まったく同じ流行が起きないのか(3つの理由)
7-1 / 7-2 / 7-3 / 7-4
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