理詰めのトレンド予測 ウエブ版                        トップページへもどる 目次へもどる
     第2章 [曲]と[直]で流行が変る
      2 乗用車の流行を理詰めで予測する
           時期を決めるとデザインが定まります。
車の歴史を知ると次がわかる
  歯ブラシは形がスレンダーなので曲、直の違いが分かりやすいのですが、ずんぐりむっくりしたオデブちゃんタイプの商品ですと〔曲・直〕は、「曲がってる」「真っ直ぐ」という語感とちょっと違ってきます。そういう商品の例として、乗用車を考えてみましょう。
  車は、人やエンジンを乗せているので、かなりの容積が必要です。歯ブラシのようにスレンダーにすることができません。こういうふくれた商品を曲がっているように見せるには、その中心線を曲げるのではなくて、表面を曲げてやる必要があります。それで全体が丸っこくなります。
  立方体と球を比べると、立方体の方が「真っすぐ」、球の方が「曲がってる」というイメージですよね。立方体も立体なので、表面はやはり曲がっていますが、その曲がりが、球のように表面全体に広がっているわけではなくて、角と辺に集中しています。そのため、「真っすぐ」のイメージが強くなります。
  それで乗用車も、循環要因が「直」の活性期になると、立方体や直方体、あるいはそれを組み合わせた形をイメージさせるデザインが売れます。「曲」の活性期になると、球や卵形、あるいは女性の体をイメージさせるクネクネとしたデザインが売れます。
 
  では、過去にヒットした車を「曲」、「直」で
分類してみましょう。もちろん、過去の車を分類するのは、昔を懐かしむためではなくて、それを未来へ延長してこれからのトレンドを予測するためです。
  日本で最初の大衆車といえば、富士重工業の「スバル360」です。発表が1958年の3月ですから、フラフープが大流行した年です。
  360CCエンジンで高性能、低価格という条件を満たすため、薄い鉄板でも強度を保てる「モノコックボディ」を採用しました。モノコックは卵の殻という意味で、名前の通り卵のような丸っこい形をしていました。そこでスバル360は「てんとう虫」という愛称で呼ばれました。丸いから丈夫なのだと、当時メーカーが宣伝していたのを覚えています。
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−トレンド予測 21段目−
  循環要因のタイミングを計算しますと、当時は「20歳の女性で『曲』が1955年10月から57年6月まで」です。ということは、発売された1958年3月は、30歳代から上の男性が「曲」だったことになります。富士重工の人たちがモノコックボディを採用するとき、流行を意識していたかどうかはわかりません。でも結果はピッタリ
でした。
  でも、あなたはこう反論するかも
しれません。
「初めての大衆車なら、他に選択肢がないんだから、形がどうのこうのは関係ないんじゃない?」
 いえいえそんなことはありませんよ。もしデザインが外れていたのなら、そんなに売れません。買わない選択肢もあるのですから。たとえ売れたとしても、他のメーカーがライバル車を投入した段階で
止まります。
  ところがスバル360は12年間も生産されました。50年近くたった今でも
初代FFファミリア
ファンが大勢残っています。結果としてロングセラーになった商品は、一見すると流行を超越しているように見えますが、スタートの時点では、循環要因の波にうまく乗っています 。
 
  スバル360が「曲」のデザインの大衆車代表なら、「直」のデザインの大衆車代表は、山口百恵が引退した年、1980年6月に発表されたマツダの「初代FFファミリア」でしょう。すぐに若者中心に爆発的にヒットし、「1980〜81年日本カー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれました。あまりに売れるので、当時トヨタの営業部門が「うちにあったら、あの何倍も売ってみせるのに」と悔しがったそうです。
  この車は、直線と平面だけが目立つデザインでした。縦、横、水平な面だけでできているかのようでした。当時の私は、「いくら車が走る棺おけと言われているからといって、ここまで四角くすることないのに」と思っていました。
  当時は「20歳の女性で『直』が1978年7月から80年3月まで」です。「FFファミリア」は人気が若い男性に片寄っていましたから、遅い方へずらすのは、半年から一年ぐらいでいいでしょう。「初代FFファミリア」は1980年6月でしたから、「直」がヒットする時期にちゃんと入っていますね。
 
  今度は、初め苦戦して後から人気が出た例です。
次の記事は、日経流通新聞1988年8月11日付に載ったものです。
『メルセデス・ベンツ190E』シリーズ(車両本体価格四百三十万‐五百六十三万円)は、西独ベンツ社が初めて手掛けた小型車。ベンツの持つ高級イメージが影響して三年前の販売当初は市場の反応が鈍かった。その後は従来のベンツと変わらぬ高い品質とコンパクトなデザインが受けて順調に売り上げが伸びている。
  大衆車は作らないという
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-トレンド予測 22段目−
ベンツ車の方針と高価格のため購買層は限られているものの、世代は40歳が中心でベンツのユーザーとしてはかなり若い。メルセデス・ベンツ日本(本社東京)では『ご主人がベンツに乗っていて、その快適さをよく知っている奥さんや子供が購入するケースが多い』と分析している。
  「ベンツ190E」は四角い車です。発売が1985年、人気が出たのが87年ごろです。当時は「20歳の女性で『直』が1985年7月から87年3月まで」でした。「ベンツ109E」は「40歳が中心」の男女がユーザーでしたから、20歳の女性を1年遅らせればいいでしょう。すると1985年の不人気も、87年ごろの人気もうまく説明できますね。  
  「ベンツ190E」と同じ頃に人気になった車に、1987年9月にフルモデルチェンジした本田技研工業の「シビック&CR-X」があります。こちらのユーザーは若くて20歳代が中心でした。ボディの形は? もちろん四角です。
 
  この「ベンツ190E」の記事の次に、
小さくて丸っこい車、「ミニ」の話しが続きます。「二十九年間変わらないユニークなスタイルが再評価され、人気を集めているのが英国ローバ社の『ミニ』(同百五十九万‐百七十四万円)だ。『機能だけを追及した車が増えているなかでミニの優雅さとかわいさが若者に新鮮に見えたのでは』(オースチン・ローバー・ジャパン)という。大量生産できないために日本に輸入できる数が限られることも『他人とは違う車に乗りたい』という消費者の欲求をくすぐるようだ。7月までの販売台数は前年同期と比べ四〇%近く伸びている」(同)
  当時の「曲」の活性期は、「ベンツ190E」が売れた「直」の次ですから、「20歳女性で『曲』が1987年4月から88年12月まで」です。「若者」といっても20歳ということはないでしょうし、男も多いと思いますので半年遅らせてみましょう。すると「1987年10月から曲」になります。「ミニ」の売れた時期とピッタリ合い
ますね。
  車の丸さに循環があるという考えは以前からあります。でもそれはたいてい15年周期だとか30年周期だとか、かなり長い周期を想定しています。
  我々は直感で流行の循環周期を捉えようとするとたいていは長すぎる方に間違えます。とくに車は、モデルチェンジや買い換えの間隔が〔曲・直〕の循環要因の周期よりも長いので、ゆっくりした流行であると錯覚しがちです。私自身も直感的には、車のデザインが1年9ヵ月で反対になるとは思えません。もっとゆっくり替わっているように感じています。でもその直感は間違っています。〔曲・直〕の循環は、乗用車だって他のものと同じで、3年6ヵ月の周期です。
  「
車はファッションだと語るヤングたち。自動車市場をけん引する消費者として登場した彼らの行動は多分にムード的だ。『一、二年前までは角ばった車がいいと言っていたのに今は丸みを帯びた物が人気の的』といった具合だ」(日経流通新聞1988年4月21日付より)
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−トレンド予測 23段目−
  これはバブル時代の若者の話です。ですからその行動が少し極端になっています。ただ「一、二年前までは角ばった車がいいと言っていたのに今は丸みを帯びた物が人気の的」と変化が速いのは、バブル時代でなくたって同じだし、若者でなくたって同じです。あなたも私も自覚していないだけで、好みの変化は速いのです。
  「直」のデザインを代表する車というと、私などは先ほどの「初代FFファミリア」を思い出すのですが、もう少し若い世代では、1991年1月に登場した、三菱自動車の4WD「2代目パジェロ」ではないでしょうか。300万から500万円もする車なのに爆発的に売れました。
  アメリカ兵が日本国内に大勢いた時代を知っている私からみれば、パジェロはジープですね。4WDトラックにも近いので、半トラックとも言えます。どちらにしても、それまでの
セダンを見慣れた目で見れば、えらく四角い車です。
  当時は、「20歳の女性で『直』が1989年1月から90年9月まで」でしたから、発売された1991年1月は、40歳以下の男性が「直」でした。
  あなたは、「2代目パジェロ」を乗用車と呼ぶのに抵抗があるかもしれません。でも、「2代目パジェロ」に乗り換えた人が、それ以前にどんな車に乗っていたかを考えてください。パジェロから他の車に乗り換えた人がどんな車に乗り換えたかを考えてください。「2代目パジェロ」は、クセは強いですが、やはり乗用車だったことがわかります。商品分類は、口先の建て前ではなく、消費者が示す実際の行動で判定すべきです。
  先ほどの、小さくて丸い「ミニ」のようなデザインは国産車でも売れています。1995年11月に登場した富士重工業の「ヴィヴィオ・ビストロ
ビストロ
です。 
  「
『この車の開発はイレギュラーだったんですよ』。九六年のヒット商品、レトロ調軽自動車の先駆けである富士重工業のヴィヴィオ・ビストロの開発に当たった竹中恭二さんはこう言って笑う。
 実用車のイメージの強かった軽自動車にレトロの雰囲気をまとわせるというアイデアは当初、社内での評判はさんざんだった。『営業部門の大半は売れないと断言した』(竹中さん)。何とか説得して発売が決まったが、せいぜい二千台売り切っておしまいと開発担当者さえ思ったという。
  ところが、ふたを開けると反応は予想外だった。一年間で六万五千台売れ、今も月に四千‐五千台の注文がある。ビストロのベースになったヴィヴィオは約六十万円だがビストロは約九十万円。
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-トレンド予測 24段目−
月八千台の軽乗用車販売台数のうち五千台以上がビストロに置き換わったため、軽自動車の販売額が大幅に伸びた。
  変えたところは基本的にフロントマスクとリアのバンパー、ランプだけで、開発費は通常の百分の一。しかし、そのわずかな違いが軽自動車の主な購買層である若い女性のおしゃれ感覚にピッタリと合った
」(日本経済新聞1997年2月1日付より)
 
  当時の「曲」は、「20歳の女性で、1994年4月から95年12月まで」ですから、1995年11月登場の「ヴィヴィオ・ビストロ」はそのタイミングに合っていますね。
  これまで、「曲」型のデザインの代表として「スバル360」「ミニ」「ヴィヴィオ・ビストロ」を、「直」型デザインの代表として「初代FFファミリア」「ベンツ109E」「シビック&CR|X」「2代目パジェロ」を紹介しました。これまでの例で考えると、「曲」=「丸み」、「直」=「四角っぽさ」に見えます。乗用車がそうなりやすいのは、人やエンジンを乗せるためにかなりの容積を
必要とすることと、表面がなめらかな鋼板であること、左右対称形であることなどの理由によります。
  
  ではここで、「曲」=「丸み」ではないタイプの乗用車の話をしましょう。トヨタ自動車の「WiLL Vi(ウィルヴィアイ)」です。この乗用車は、ボディをおおっている鋼板にウネがあることがデザインの特徴です。
  リアウインドウが絶壁頭みたいに後ろに倒れていることも手伝って「かぼちゃの馬車」という愛称だそうです。でも、私なんかは、ブリキの湯たんぽやトタンの波板を連想します。もっとも、湯たんぽのウネは横向きですが、ウィルヴィアイのウネは縦方向です。

  鋼板のウネとなると車全体のシルエットというよりも素材感に属しますね。事実、衣料品でウネと言えば、コール天、テレコ、綾織など、たいていは生地の話になります。
  ウネがあれば平らではないわけですから、表面が曲がっています。つまり「曲」です。ウネのように、表面のデコボコを強調することも
「曲」なのです。
  「ウィルヴィアイ」が発売されたのが2000年1月です。当時の若い女性は、「曲」の時期が終わり、次の「直」の活性期に入っていました。
『予想外に伸びません』。明日香に応対してくれた、トヨタ自動車VVCプレジデントの清水順三さん(53)が見つめるのは、カボチャをかたどったという乗用車『WiLL Vi(ウィルヴィアイ)』。今年一月、二十代から三十代前半の女性を対象に約百三十万円で売り出した。
 月販千五百台の目標に対し、実績は千台前後。『購入者の満足度は高いんですが、同世代になかなか広がりません』と清水さん。
」(日本経済新聞2000年7月23日付「エコノ探偵団」より)
  肝心の20歳代から30歳代前半の女性に人気がないようですね。〔曲・直〕の循環要因だけで、乗用車が売れるかどうかが決まるわけではありませんが、このように、循環要因を外すとやはり大変です。
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-トレンド予測 25段目−
  トヨタの「bB」という車があります。この初代が売り出されたのが2000年2月ですから、ウィルヴィアイとほぼ同時期です。こちらは「直」のデザインでしたからヒットしました。
  「『こんな車が売れるはずがない』とトヨタの幹部連が"太鼓判"を押した〇〇年発売の初代『bB』は、角張ったデザインが予想に反し大ヒットした。しかし今ではホンダ『モビリオスパイク』など類似車が多く、昨年発売した二代目『bB』は苦戦気味だ」(日本経済新聞2006年4月12日付「くるま」より、担当大林卓、阿部将樹、小高航)
  発売当時はほとんどの人が「直」でした。だから売れました。ただ、60歳代より上の男性はまだそうではありませんでした。だから、自動車メーカーの幹部連には、この車の魅力が理解できなかったのです。
 
  この時の「直」は、若い女性なら2001年春ごろから、他の性別年齢もその後順次「曲」の活性期にもどりました。この時期の「曲」でヒットしたのが、2002年3月発売の
マーチ」です。
  「
丸みを強調した外観が受け、ヒットを飛ばす日産自動車の新型『マーチ』。同車以外にも最近、円形や球形、卵形など丸い形で売れ行きを
伸ばす商品が増えている。分野も玩具やカメラ、レストランなど多岐にわたっており、「丸」がデザインの大きなトレンドになりつつある。
」(日経MJ2002年5月16日付「『まる』がさあ来る」より)
  「
もちろん、丸いデザインで最大のヒットが日産自動車が三月に発売した新型『マーチ』だ。4月末までの約2カ月間で五万五千台を受注した。同社では好調の要因に丸をイメージした『個性的デザイン』を挙げる。」(同)
  この記事にもあるように、丸いデザインは乗用車以外でも同時期に流行します。それは、〔曲・直〕の循環要因が、形のあるものでは共通して働いているからです。同じ客層向けでは、そのタイミングも一緒です。
  ただ、性別年齢が違えば流行のタイミングは違います。
「曲」の流行は、共通の性別年齢で観察するか、性別年齢による時差を修正して観察しなければ、3年6ヵ月の循環が出てきません。これは、他の循環要因でも同じです。
 
  トヨタ自動車は2004年11月に高級セダン「マークX(エックス)」を発売しました。これまでの「マークU」に比べて丸みを強調したデザインになりました。高級感を出すために、欧州車の外観をまねたのでしょう。
  「
トヨタ自動車は十日、主力車種『マークU』の後継車として十一月九日に発売した新型高級セダン『マークX(エックス)』=写真=の一カ月間の受注台数が二万二千台となったと発表した。全面改良を機に名称やデザインなどイメージを一新した。結果、手薄だった若者客も開拓。当初目標の一万台の受注を二倍以上上回る好調な滑り出しとなった。
  先代マークUが主な客層としてきた世代層は五十‐六十代だが、マーク]は『四十代
以下の受注が二五%前後に
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−トレンド予測 26段目−
増えている』(トヨタ)。」(日本経済新聞2004年12月11日31面12版より)
  40代を「若者客」に入れていますから、「マークX」のお客さんはずいぶん年齢が高いですね。当時の20歳の女性は、「『曲』が2001年4月から02年12月まで」で「『直』が2003年1月から04年9月まで」でした。「マーク]」が発売になった2004年11月は、20歳の女性が「直」の時期に入ってから2年近くたっています。次の「曲」が復活しています。 「マーク]」の中心客は流行のタイミングが、20歳の女性より2年ぐらい遅れているようです。このことからも購買選択権者の年齢が高いことが分かります。
  乗用車の売れ行きはボディの形だけで決まるわけではありません。また、ボディの形の良し悪しは〔曲・直〕の循環要因だけで決まるわけではありません。
  にもかかわらず、これまでの例で分かるように、ヒット車の多くが〔曲・直〕の循環で説明できてしまいます。その車が「曲」か「直」かの区別が楽にできるデザインなら、ヒットするか
どうかカンタンに判定できます。このことから、乗用車の流行と、〔曲・直〕の循環要因は相関が非常に強いことが分かります。
  前に話したことのおさらいをします。20歳の女性は、「2001年4月から02年12月までが『曲』」、「2003年1月から04年9月までが『直』」、「2004年10月から06年6月までが『曲』」、「2006年7月から08年3月までが『直』」です。
  ということは、20歳代半ばの男性は20歳の女性より循環要因が7ヵ月遅いのですから、「2001年11月から03年7月までが『曲』」、「2003年8月から05年4月までが『直』」、「2005年5月から07年1月までが『曲』」、「2007年2月から08年10月までが『直』」です。
  60歳ぐらいの男性ですと、それより1年遅くなりますから、「2002年11月から04年7月までが『曲』」、「2004年8月から06年4月までが『直』」、「2006年5月から08年1月までが『曲』」、「2008年2月から09年10月までが『直』」です。
ほかの性別年齢も同じように簡単に計算できます。
  いまのは、期待しているデザインが、いつからいつまでなら売れるのかを年齢別に知る方法でした。「曲」を例に話していますが、考え方は他の循環要因でも一緒です。
  これは一次関数ですから、「bB」の場合のように、知りたい時期を定めて、何歳から何歳までなら売れるのかを求めることもできます。
  2005年1月に発売された軽自動車「スバルR1」は丸みを帯びた外観が特徴です。2005年度のグッドデザイン賞(Gマーク)を取りました。富士重工業はこの車に期待を込めて、1958年発売の「スバル360」と同じ「てんとう虫」という愛称を付けました。ところがこれが苦戦をしました。販売台数が目標を下回っています。
  スバルR1が発売になった、2005年1月は、男性も女性もほとんどの年齢が「直」の時で、「てんとう虫」型丸みデザインを受け付けないタイミングでした。1年たって、翌2006年になると20〜30歳代の若い人が「曲」に
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-トレンド予測 27段目−
なりましたが、メーカが期待するシニアは、その時点でも「直」のままでした。つまりスバルR1は、発売時期をもっと早くすればシニアに、もっと遅くすれば若者にうけたはずのデザインを、どちらも支持しないタイミングで出してしまいました。
  このように、期待の時期にどんなデザインを出すのがよいかを判定するのにも、期待のデザインをいつ出すのが良いかを判定するのにも、循環要因は使えます。
 
  新車が発表されたとき、その車が「曲」か「直」かの判定がはっきりできるデザインなら、かなりの確率でその売れ行きを予測することができます。あなたは本当に当たる預言者になれます。ちょっとだけ早すぎたかなというタイミングで発表された乗用車は、スタートダッシュは出遅れますがロングセラーになる可能性が高くなります。ちょっと遅めだなというタイミングで発表された乗用車は、おそらく人気が短命になるはずです。期待するユーザーにターゲットが合っているかどうかを
知るのにも、循環要因は使えます。
 
  〔曲・直〕の循環は、お客さんが同じならタイミングも同じです。商品分野ごとに異なって見えるのは、季節感だとか、ビジネスルールだとか、流行現象をゆがませるものが違うからです。循環要因なら同じですから、あなたが、他の分野のヒット商品をデザインの参考にするのは理にかなっています。しかし、同じ客ならタイミングも同じなのですから予測にはなりません。
 
  ヒットした車のデザインを、強度や居住性、空気抵抗などで説明する人がいます。でも、あなたがデザイナーなら、こういう理屈で「曲」「直」を決めてはいけません。いつでも使える理屈では流行は起こりません。
 
(続く)
 
07/05/25転載
目次 0 /
第1章 流行の原因には「特定要因」と「循環要因」の2つがある
1-1 / 1-2 / 1-3 / 1-4 /
第2章 「曲」と「直」で流行が変る
2-1 / 2-2 / 2-3 / 2-4 / 2-5 / 2-6
第3章 デザインの流行は「上比長」「下比長」に分かれる
3-1 / 3-2 / 3-3 / 3-4 / 3-5 / 3-6 /
3-7
第4章 「同一視」と「対立視」を知って流行を読む
4-1 / 4-2 / 4-3 / 4-4 / 4-5 / 4-6
第5章 「アリ型人間」と「キリギリス型人間」 は交互に現れる
5-1 / 5-2 / 5-3 / 5-4 / 5-5
第6章 「エレガンス」と「カジュアル」もしくは
    「束縛」と「自由」
6-1 / 6-2 / 6-3 / 6-4 / 6-5 / 6-6 /
6-7
/ 6-8
第7章なぜ、まったく同じ流行が起きないのか(3つの理由)
7-1 / 7-2 / 7-3 / 7-4
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