理詰めのトレンド予測 ウエブ版                         トップページへもどる 目次へもどる
     第3章 デザインの流行は[上比長][下比長]に
    分かれる

        1 ファッションは反対から反対へ移る
           上下の比率の流行は3年周期です。
 三年半で循環している
  まず、下(44段目)の図を見てください。若い女性向けのキュロットスーツです。あなたが35歳より上なら見覚えがあるはずです。これは、両方とも実際に流行ったことがあるデザインです。ただ、売れたタイミングが違います。あなたが当時を知らなかったとしても、あるいは覚えていなかったとしても、常識で分かりますよね。この2つのデザインは、同時期には流行できません。
  言葉のうえでは、どちらも同じキュロット
スーツです。買った客層もほぼ同じです。なのに売れた時期が別です。左と右では何が違うのでしょう。
 左のキュロットスーツは、右のものと比べると上下方向のバランスが違います。上が間延びして下が詰まって見えます。逆に右のキュロットスーツは左のものより上が詰まって下が間延びしています。間延びして見える場所、詰まって見える場所が違うのです。そのため、流行するタイミングが別になりました。
  これは、キュロットスーツでなくても同様です。同じアイテムであっても、似たようなデザイ
ンであっても、間延びして見える位置や、寸詰まりに見える位置が違うと、同時期にはヒットできません。
一方、同じ時期にヒットしたものを比べると、別なアイテムであっても、別なデザインであっても、間延びして見えるところ、寸詰まりに見えるところは同じです。つまり、上が伸びて下側が縮んで見えるキュロットスーツが売れている時期は、ワンピースも、コートも、水着も、セーターも、スカートも、それを着た人の上部が伸びて下部が縮んで見えるデザインが売れています。
―――43―――――デザインの流行は「上比長」「下比長」に分かれる――――――ファッション予測と流行予測、次へ

−トレンド予測 44段目−
  間延びして見えるのが上側か下側か、寸詰まりに見えるのが上側か下側かで、その時々のヒット商品を分類すると、一定の周期の循環があることが分かります。上部が下部に比べて相対的に間延びして見えるものがヒットする時期を上比長」(じょうひちょう)、下部が上部に比べて相対的に間延びして見えるものがヒットする時期を下比長」(かひちょう)と私は呼んでいます。
  つまり、「上比長」と「下比長」は循環要因で、同じシーソーの両端にいるカップルです。循環周期は約3年です。「上比長」の流行がスターとしてから、その次の「上比長」の流行がスタートするまでが3年です。「上比長の流行がスタートしてから、逆の下比長の流行がスタートするまでが、3年の半分の1・5年です。この間隔で替わりばんこに流行します
  と言われても具体的なイメージがわきませんね。それで、〔上比長・下比長〕の循環を年表にしてみました。それが、PDFにある「〔上比長・下比長〕の年表20歳レディス」という表です。
  左端の「80年」とか「92年」とあるのは
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-トレンド予測 45段目−
西暦です。月別の細かい目盛りは入れてありませんが、それぞれの上端が1月で、下端が12月です。その年が上比長のタイミングなのか、下比長のタイミングなのかは、西暦の右側に書いてあります。そして、それぞれの循環周期は、3年と10日です。
  上比長、下比長の右側に記入してあるのが、その時々にヒットしたアイテムの具体例です。
 たとえば1980年にヒットしたものに「長いストラップのミニショルダーバッグ」があります。
  ショルダーバッグは、肩に掛けられるようにベルト(ストラップ)が非常に長くなっていて、上下方向のバランスで、上部が間延びして見えます。このことは、手持ちバッグの手持ち部分と見比べるとよくわかります。ですから、よほどひねくれたデザインでない限り、ショルダーバッグは上比長の活性期に売れます。
  この1980年に流行ったミニショルダーバッグはストラップが長かったので、ものを入れる本体が、腰ないし腰より下の位置にくるほど下がっていました。「上比長」の活性期でなければヒットできないデザインです。
  次の記事は、当時の「ミニ・ショルダー・ブーム」をデザイナーの箱守廣さんがリポートしたものです。
  「
スカート異変のためか、白黒ブームのためか、目新しいアクセントが目立っている。ミニ・ショルダーと呼ばれる小さなショルダーバッグを、肩からバイヤスに長いストラップにぶら下げてアクセントのポイントにする新しいおしゃれ。ひと昔前のポシェットバッグに次ぐブームになる可能性もある。
 ただし、ポシェットは第一次オイルショック後のフォークロア・ブームに出たものであるが、今度のミニ・ショルダーは第二次オイルショックとぶつかったモダンなジオメトリック・ブームの象徴であるところが違う点である。
  襟元や足元の新たな解放感の中で、トルソー(ヒップ)にポイントを持たせるミニ・ショルダーのアクセントが、逆にウエアの流れに大きな刺激を与えているようだ。
」(繊研新聞1980年6月27日付17面「ファッションアイ」より)
  このミニショルダーもそうですが、年表に載っているさまざまな流行事例は、
狭い意味でのファッション関係のものがほとんどです。食品や家電など、ファッション以外のものの事例がほとんど載せてありません。これには理由があります。ファッション商品は流行から外れると二束三文でも売れなくなるということと、性別年齢が細かく分かれているという性質があります。それで、流行循環表の目印に適しているのです。
  ほかには、衣料品は上下方向に長いので、この〔上比長・下比長〕の流行がとくに重要だということがあります。逆らったら売れません。それと、私がこの分野に土地カンを持っているということも関係しています。他の流行に比べて私がよく知っている分野なのです。
  このようなわけで、それぞれの時期に書き込んだヒット商品の具体的な事例は、衣料品に片寄っていますが、この表は、実際には、もっと広い範囲の流行で使えます。形のあるものの流行ではすべて有効です。
  たとえば、書籍や新聞紙面、パンフレット、カタログのレイアウトから、髪型、食品の盛り付け、パッケージデザイン、建築、インテリア、家電、事務機器、文具、乗り物、産業機械の
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-トレンド予測 46段目−
デザインまで、すべてこれが適用できます。目に見えるものであれば、何にでも共通に使えます。
 
  あなたに〔上比長・下比長〕の知識があっても、最高のヒット商品が必ず作れるというわけではありません。やってもいいデザイン群とやってはいけないデザイン群に分けることができるだけです。やってもいいデザイン群のなかにも優劣はあるわけですが、それはこの知識だけでは分かりません。
  でも、やってはいけないデザイン群が分かるだけで、あなたのリスクはずいぶん軽減しているはずです。
 
07/07/12転載  
 
 
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目次 0 /
第1章 流行の原因には「特定要因」と「循環要因」の2つがある
1-1
/ 1-2 / 1-3 / 1-4 /
第2章 「曲」と「直」で流行が変る
2-1
/ 2-2 / 2-3 / 2-4 / 2-5 / 2-6
第3章 デザインの流行は「上比長」「下比長」に分かれる
3-1
/ 3-2 / 3-3 / 3-4 / 3-5 / 3-6 /
3-7
第4章 「同一視」と「対立視」を知って流行を読む
4-1
/ 4-2 / 4-3 / 4-4 / 4-5 / 4-6
第5章 「アリ型人間」と「キリギリス型人間」 は交互に現れる
5-1
/ 5-2 / 5-3 / 5-4 / 5-5
第6章 「エレガンス」と「カジュアル」もしくは
    「束縛」と「自由」
6-1 / 6-2 / 6-3 / 6-4 / 6-5 / 6-6 /
6-7
/ 6-8
第7章なぜ、まったく同じ流行が起きないのか(3つの理由)
7-1 / 7-2 / 7-3 / 7-4

 
 
―――46――――――――――――――――――――――――――――――――ファッション予測と流行予測、次へ